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菅政権の改革・・「大国を治むるは小鮮を烹る が如し」の慎重さを求む

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【舛添要一が語る世界と日本(56)】省庁はデジタル庁に抵抗、国民の支持不可欠

公開日: 2020/09/22 (政治)

Reuters Reuters

 9月16日、菅義偉政権が発足した。各種世論調査を見ても、ご祝儀相場とはいえ、極めて高い支持率である。

 共同通信(16,17日):菅内閣支持率66%、不支持率16.2%、日経新聞(16,17日):支持率74%、不支持率17%、朝日新聞(16,17日):支持率65%、不支持率13%、毎日新聞(17日):支持率64%、不支持率27%、読売新聞(19~20日):支持率74%、不支持率14%といった具合である。

 政党支持率も、読売新聞の調査だと、自民党が47(+6)%。立憲民主党が4(±0)%、無党派が37(−3)%である。野党は合流しても支持率が増えないのに、自民党は菅人気で大幅に上昇している。

 この数字を見れば、支持率が高いうちに解散総選挙に踏み切るべきだという意見が自民党内から出てくるのは当然である。麻生財務大臣の発言がその典型である。

 政策課題について見てみると、行政改革とデジタル庁の創設が目玉である。

 行政改革については、縦割り行政、悪しき前例主義、既得権益を打破することを掲げ、河野太郎を担当大臣に任命して、その破壊力に期待している。河野大臣は早速、菅首相から指示のあった「縦割り110番」をネット上に開設して話題を呼んでいる。

 既得権益については、持論である携帯電話料金の引き下げを唱えているが、横滑りした武田総務大臣は、10%では値下げにならないとして、大幅値下げの意向を示している。

 その関連で、情報技術に強い平井卓也を担当大臣に据えて、デジタル庁の創設を目指すことにしている。廃止時期を明示した時限組織として、来年中に発足させるという。

 菅首相が、デジタル化の推進を目玉政策に掲げたのは、コロナ対策における様々な失敗の反省からである。全国民への10万円の現金支給のときに、マイナンバーカードが使い物にならず、手書きの書類を郵送で送ったほうが迅速に処理できるという失態があった。

 また、東京都でPCR検査数や陽性者数のデータ処理に、保健所からのファックス送信に頼っており、コンピュータが使われていないという実態も明らかになっている。

 このような状態を改善し、世界から遅れているデジタル化を進めるのは歓迎である。しかし、技術には使うメリットがないと意味がない。たとえば、キャッシュレス化が日本で進まなかったのは、現金のメリットが多かったからである。

 犯罪の少ない日本では、現金の持ち歩きが危険ではない。また、現金は、カードなどの入会手続きの面倒さも会費もない。カードの悪用など、セキュリティ上の危険性もない。このような現金の利点を上回るだけの魅力がなければ、キャッシュレス化は進まない。

 政府は、様々な特典をつけてキャッシュレス化を推進し、一定の効果はあったが、新型コロナウイルスには敵わなかった。買い物の際の現金授受が感染を拡大させるという恐怖が、キャッシュレス化を進めた大きな原動力だったのである。

 しかし、まだ諸外国に比べて、進んではいない。

 マイナンバーカードやキャッシュレス化の遅れには理由があるのであり、その点の考慮を欠くと、デジタル庁を設置しても、国民が喜ぶような改革ができないことになる。また、省庁は既得権益を守るために、デジタル庁の「越権」には抵抗するであろう。菅政権が1年で退陣すると思えば、時間稼ぎに精を出すであろう。そのような抵抗を抑え込むためにも、国民の支持が不可欠であり、それには国民にメリットを実感させるしかない。

 行政改革については、省庁による「通知」行政の弊害にもメスを入れてほしいものである。課長以上の役職が発する「通知」は、国会で成立する法律とは違い、国民の代表によるチェックがない。建前は「技術的支援」となっているが、実際は政策遂行の指示であり、今回のコロナ対策でも、厚労省から発出された「通知」がPCR検査の混乱などを招いている。

 官僚統制は、戦争など、よほどの危機のときでないかぎり難しい。官邸への権限集中も忖度官僚を生み出している。その愚を繰り返す結果になれば、改革は失敗する。「大国を治むるは小鮮を烹るが如し」という老子の言葉もある。

舛添 要一 (国際政治学者)

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