週末の5~6日に行われた各種の世論調査で、菅内閣の支持率が急落した。
共同通信の世論調査によれば、内閣支持率は50.3(−12.7)%と低下し、不支持率は32.8(+13.6)%と増加した。わずか1ヶ月で10%以上も増減するのは異常である。
新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、それを防げない菅政権のコロナ対策に国民の不満が爆発したのであろう。感染防止と経済活動のどちらを優先するべきかという問に対しては、感染防止が76.2%に上っている。
政府のコロナ対応を「評価する」が37.1(−11.8)%、「評価しない」が55.5(+12.6)%となっており、この数字の変化も10%以上である。「評価しない」ほうが、「評価する」を上回る逆転現象である。
「桜を見る会」前夜祭の会費問題については、安倍前首相の説明を「納得できない」が77.4%、「納得できる」が14.7%であり、安倍前首相の国会招致が「必要」が60.5%、「不必要」が34.5%である。自民党支持層でも、「必要」53.1%、「不必要」43.1%という数字である。
政党支持率も、自民党は41.5(−3.2)%は減り、無党派層が32.5(+1.0)%と少し増えている。
読売新聞の世論調査によれば、内閣支持率は61(−8)%、不支持率27(+5)%であり、やはり支持率は大きく沈んでいる。政府のコロナ対策についても「評価する」が42(―14)%、「評価しない」が49(+10)%である。
GoToトラベルについては「やめる方がよい」が20%、「いったん中止する方がよい」が57%で、合計で77%である。「継続するほうがよい」は21%である。
「桜を見る会」前夜祭については、安倍前首相は「説明すべきだ」が72%であり、国会での説明についても安倍氏の「責任は大きい」が67%である。
政党支持率は、自民党が42(−8)%、無党派が40(+4)%であり、自民党から無党派へ支持が動いている。
JNN世論調査も同様な結果である。内閣支持率は55.3(−11.5)%、不支持率は41.1(+12.9)%である。政府のコロナ対策については、「評価する」が39%、「評価しない」が49%でる。優先は感染防止か経済かについては、「感染防止」が71%である。
「桜を見る会」前夜祭の安倍前首相の説明に関しては、「納得できる」が10%、「納得できない」が76%であり、菅首相の説明責任は、「ある」が54%、「ない」が37%である。前二社の調査とほぼ同じ結果である。
新型コロナウイルスの感染が再拡大し、現場では医療崩壊寸前といった状況になっており、大阪府や旭川市は自衛隊に看護師の派遣を要請している。このような現状を目の当たりにすると、国民の多くが今は感染防止に集中すべきだと考えるのは当然である。
菅首相の方針は、経済優先である。また、経済再生のためには東京五輪は絶対に開催するという立場も揺るがない。いったん決めたら、様々な問題が発生しても、その方針を堅持するのが菅首相の特色である。ふるさと納税制度が、その典型である。
そのため、柔軟性を欠いて、マイナスになることもある。今回のコロナ対策がその例である。経済社会活動を再開させたり、海外からの入国を緩和させたりしているのも、東京五輪成功への工程表だと考えてよい。しかし、それらの諸施策が感染の再拡大につながれば、元の木阿弥になってしまう。
4日には、国会閉幕に当たっての記者会見を開いたが、官僚の用意した文書を淡々と読み上げるのみで、自らの言葉で発信するという姿勢が見られなかった。あくまでも地味な菅カラーであるが、それでは官房長官は務まっても内閣総理大臣は務まらない。
私は、菅義偉議員は首相にならないほうが良かったのではないかという思いを強くしている。少なくとも、危機の時代のリーダーには相応しくないように感じる。
発信力不足の菅さん 首相になるべきでなかった? |
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【舛添要一が語る世界と日本(67)】菅内閣支持率、異常な下落ぶり
CC BY-SA /Indiana jo
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舛添 要一(国際政治学者)
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