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菅内閣、際立つドイツ政府との対応力の違い

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【舛添要一が語る世界と日本(68)】決断できない日本の政治

公開日: 2020/12/15 (政治)

Reuters Reuters

 菅内閣の支持率が急降下している。遂に、「支持しない」が「支持する」を上回った。

 12日に行われた毎日新聞の世論調査によると、内閣支持率は40%と先月よりも17%も下がっている。逆に不支持率は49%と13%増加した。9月16日の政権発足からわずか3ヶ月足らずで、不支持率のほうが支持率よりも高くなってしまった。

 政府の新型コロナウイルス対策については、「評価する」は14%で20%も数字が落ちている。逆に「評価しない」は62%と35%も増えている。まさに政府の対応に、国民は不満を募らせているのである。

 それは感染の再拡大が止まらず、収束の兆しが全く見えないからである。

 毎日新聞の世論調査が行われた12日の18:30現在で、全国のコロナ感染者は3031人と3千人を超えてしまった。東京621人、大阪429人、神奈川223人、愛知206人、埼玉199人、北海道189人、兵庫137人など、深刻な感染状態である。

 そして、検査数が少ない週末・週明けの陽性者数も高止まりのままである。市中感染が拡大しており、もはやクラスター潰しに特化していて解決できる状況ではない。国民は、マスク装着、手洗い励行など、感染防止策をきちんと講じているが、どこに感染者がいるか分からない状態である。とくに無症状者の感染者から感染が拡大するという厄介な事態なのである。

 問題は、人の移動や集まりが増えていることである。とくに、懇親会など飲食の場での感染が拡大している。政府は、感染が完全に収束しない段階で各種のGoToキャンペーンを展開したが、これが旅行(GoToTravel)や飲食(GoToEat)を後押しし、感染の拡大に一役買ったことは、東大の調査でも明らかになっている。

 医師会などからは、キャンペーンの一時停止を求める声が上がったが、経済活動への配慮から菅政権は容易には動こうとしなかった。14日夕方になって、GoToTravelを12月28日から1月11日まで全国一斉に停止する方針をやっと決めたのである。

 ヨーロッパも感染の再拡大に悩み、11月になって、飲食店の営業時間の短縮など厳しい規制を講じた。

 その結果、フランスでは11月7日には86,852人いた感染者が2~3週間で感染が減り、今では1万人前後にまでなっている。

 ところが、ドイツでは、一進一退の状態が続き、数千人から3~4万人の間を推移し、死者数も1日で500人を超えるなど、収束の兆しが見えない。

 なぜ、フランスよりドイツのほうが深刻になったのか。それは、11月にフランスが強力な手を打ったのに対して、ドイツは緩やかな規制しか行わなかったからだ。これで感染がまた増えたのである。

 危機感を抱いたメルケル首相は、16日から1月10日まで小売店の営業禁止や学校の閉鎖など、強力な都市封鎖を断行することを決めた。

 経済への配慮もあるが、今は感染防止を優先させて、連邦政府(メルケル首相)と州政府が都市封鎖に合意したのである。迅速な決断である。

 これに対して日本政府と小池都知事は意地を張り合って、判断と責任を押しつけ会ってきた。その間にも感染状況は深刻さを増していった。

 政治指導者に不可欠な資質は決断力であるが、菅首相、西村大臣、田村厚労相、小池都知事、皆、自ら決めようとはしない。

 極東軍事裁判で明らかになったのは、誰も責任をとらない大日本帝国の壮大な無責任体制である。それが太平洋戦争の敗北につながったのである。ニュルンベルク裁判では、ナチスの指導者たちは、自らの責任で決定したと明言している。

 日本の無責任体質は、残念ながら今も変わっていない。これではウイルスとの戦いに負けるのは当然である。

 しかも、政治指導者の言葉に重みも危機感もない。その典型は小池都知事であり、記者会見の度にフリップを使って「5つの小」などという言葉遊びを繰り返している。対策は都民任せで、実質的な政策は皆無と言ってよい。

 菅首相もネット番組で「ガースーです」と自己紹介の挨拶をして、厳しい批判に晒されている。まさに、衆愚政治の極みであり、ワイドショー政治である。このレベルの人気取りで国民が喜ぶような状況ではない。感染状況が深刻なときに、この冗談はないだろう。

 リーダーたちの気の緩みは、国会が閉幕してしまったことにもある。ドイツでは、連邦議会でメルケル首相が感情もあらわに危機感を表明し、議員たちの真剣な議論が続いている。通年国会が必要なのではなかろうか。少なくとも、国家が危機に直面しているときには、国権の最高機関である国会が機能していないのは、問題である。

 経済優先の菅首相は、「いったん登山を始めたら、嵐になっても下山しない」という姿勢を貫いてきたが、その頑固さが感染のさらなる拡大につながれば、国民の命が危なくなる。今、菅首相に問われているのは、危機の時代のリーダーシップである。

舛添 要一 (国際政治学者)

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