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医療資源の適正配分と検査の拡充が絶対必要

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【舛添要一が語る世界と日本(72)】緊急事態宣言だけでは効果薄い

公開日: 2021/01/12 (政治)

小池知事(左)と菅首相=NHKより 小池知事(左)と菅首相=NHKより

舛添 要一 (国際政治学者)

 新型コロナウイルス感染者は、1月7日が2447人、8日が2392人、9日が2268人と3日連続で2千人を超えた。10日も1494人、11日も1219人と収束する兆しは全く見えない。

 8日には全国で7882人と、約8千人が感染するという厳しい状況である。この傾向が続けば、1日の感染者数が1万人を超える日も遠くないであろう。

 政府は7日に、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に緊急事態宣言を発令したが、春の第1回目に比べ、対象を飲食店などに限定した制限措置である。問題は、この措置が感染抑制に効果があるのかどうかということである。

 実は、東京都で判明した感染経路のうち、飲食店は1割以下であり、5割は家庭内である。つまり、無症状者が自覚しないまま、家庭や施設(1.5割)や職場(1.1割)で感染を広げているのである。したがって、PCR検査を徹底して、無症状の感染者を炙り出し、隔離していかねばならないのである。

 ところが、日本では、厚労省が民間の検査機関の協力を仰ぐのに消極的であり、検査の絶対数が少ない。

 これに対して、「検査と隔離」の原則に忠実なのが中国である。

 北京に隣接する河北省でコロナ感染が増え、そこの中心都市、石家荘では全市民1025万人にPCR検査を実施した。その際に、大量のエアー・テントをわずか10時間で立ち上げ、迅速に検査を行ったのである。

 その結果354人の感染が判明した。当局は都市封鎖を行い、全住民は1週間の自宅待機を命じられた。このような徹底した検査のおかげで、中国はウイルスの封じ込めに成功している。

 日本の緊急事態宣言発令の背景には、感染の拡大に伴って、列島各地から医療崩壊の声が上がってきたことがある。

 しかし、日本で医師・看護師や病床が絶対的に不足しているわけではない。日本の医療資源の量と質は世界に誇る水準にある。コロナ専門病院を増やし、そこに資源を集中しなければ、コロナ医療も、その他の医療も共倒れとなる。

 実際に、コロナ患者で病床が埋まり、緊急患者の受け入れを休止している病院が出ている。また、中小レベルでは、コロナ以外の患者の減少で、経営が苦しくなっている病院が沢山ある。

 このような状況を放置してきた小池都知事の責任は重い。全国の司令塔である厚労省にも責任があるのは当然であるが、実際に各地域の病院を動かすのは知事であり、絶大な権限を持っている。私は、厚労大臣と都知事の両方を経験したが、国立病院以外は大臣にほとんど権限はなく、知事が絶対的な支配権を握っているのである。

 小池都知事に煽られた形の緊急事態宣言となったが、菅政権への国民の期待は急速に薄れつつある。

 9,10日に行われた共同通信の世論調査によいれば、内閣支持率は41.3%と9.0%も下がっている。逆に、不支持率は42.8%と10%増加し、支持と不支持が逆転している。緊急事態宣言については、「遅すぎた」が79.2%、政府のコロナ対応については、「評価する」が24.9%、「評価しない」が68.3%と極めて厳しい評価である。

 東京五輪については、「開催すべき」が14.1(ー16.5)%、「再延期すべき」が44.8(+12.6)%、「中止すべき」が35.3(+6.3)%と、開催派が激減している。

 同じ日に行われたJNN世論調査は、さらに厳しい結果であった。内閣支持率は41.0(−14.3)%、不支持率は55.9(+14.8)%である。政府のコロナ対応については、評価28%、不評価63%であり、緊急事態宣言については、「遅すぎる」が83%、東京五輪は「開催できる」が13%、「開催できない」が81%である。「桜を見る会」前夜祭の安倍前首相の説明については、「納得する」が12%、「納得しない」が80%となっている。

 東京五輪については、ワクチンのみが頼りの綱といった感じだが、気になるのはコロナの変異株が世界に拡散していることである。これは感染力が強いので、一気に爆発的感染を起こす危険性がある。

 ブラジルから2日に羽田空港に到着した4人がコロナの変異株に感染していることが判明したが、これはイギリスや南アフリカで流行しているのとは異なるものだということでる。ウイルスは、生き残るために変異を繰り返している。感染力や重症化傾向などについては、感染研での解明が待たれている。

 万が一にも、開発済みのワクチンが効果がないとなると、国民が心配している通り、東京五輪の開催は難しくなる。
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