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本末転倒ばかり目立つ改正案、感染収束の展望なし

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【舛添要一が語る世界と日本(73)】コロナ対策の要の特措法・感染症法改正案に問題山積み

公開日: 2021/01/19 (政治)

CC BY CC BY /NIAID

舛添 要一 (国際政治学者)

 1月18日、通常国会が始まった。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴い、緊急事態宣言が発令されてから10日間も国会が開かれなかったことは、国権の最高機関として怠慢である。

 この間、感染は収束するどころか、地方へもじわじわと拡大しつつあり、各地で医療資源が逼迫している。

 コロナ対策こそ、国会審議の最大のポイントであるが、特措法や感染症法の改正がまずは焦眉の急とされている。

 特措法については、強制力と罰則を明記する。時短などの命令に応じない事業者に対しては、緊急事態宣言下では行政罰として過料50万円以下、また「蔓延防止等重点措置(予防的措置)」を新設し、その場合には30万円以下を科す。また、立ち入り検査を拒否した場合も20万円以下の過料を科す。

 問題は罰則を設けての措置には、休業補償が伴わねばならないということである。支援措置を「講ずるものとする」と記されるが、事業規模などに応じた補償でなければ不公平感が増し、事業者の不満は高まるであろう。昨年2月から今日までのコロナ倒産件数は900社に上っている。

 感染症については、入院を拒否した感染者に対して、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、また保健所による行動歴などの調査を拒否した場合には6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金を科すとしている。

 今の問題は入院したくても入院できないという病院崩壊なのであり、何かピント外れな感じである。私が常に主張しているように、感染症対策の原則は「検査と隔離」である。検査もまともにせずに、隔離のみを強調するのは本末転倒である。

 刑事罰が科されるとなると、PCR検査を受けない人が増える可能性が出てくる。とくに無症状者で陽性の者が、多くの人に感染させるというのが、新型コロナウイルスの厄介な特性なのである。だから、感染者が急増しているのであり、全市民に検査を行う中国のような徹底した対策が奏功する。

 したがって、このウイルス特性に応じた改正が必要なのである。厚労省は、感染者の濃厚接触者であっても、無症状者は検査対象から除外するという致命的な失敗を犯した。

 感染症法の第3章(12条〜16条)「感染症法に関する情報の収集及び公表」の規定は、感染症の疑似症患者などに「行政検査」をし、濃厚接触者などに「積極的疫学調査」をするとし、検査費用は公費負担である。

 医師や看護師などがPCR検査を受けようとすると、感染症法上の規定がないため、感染者や濃厚接触者でないかぎり自己負担となる。スーパー、郵便や宅配便の配達、公共インフラの維持などに携わるエッセンシャル・ワーカーについては、公費でPCR検査を行うような法改正が必要である。

 今の感染症法は、新型コロナウイルスのようなウイルス特性を持つ病原体に適応する条項に欠けているので、この点での改正が肝要なのである。

 この点については、私は昨年の夏頃から主張してきたが、政府も国会も何らの行動をとらなかった。そして、年末年始の感染の再拡大に驚いて、十分な議論も尽くさないまま、特措法や感染症法の改正案を提示してきたのである。

 また、感染症改正のもう一つの点は、コロナ患者用の病床を確保するため、民間病院に病床を増やすように協力を「勧告」できるとした、感染症法16条の2は「協力を求めることができる」と「要請」ベースだったのを格上げし、応じない場合には、その医療機関名を公表するとしている。

 しかし、民間病院への勧告には限界がある。まずは、コロナ治療に当たることが可能な医療機器や人材が揃っているのかが問題である。勧告拒否の病院名が公表されれば、そこにはコロナ患者が入院していないことが明らかになるので、むしろ一般の患者は増えるのではないか。パチンコ屋の営業自粛拒否と同じ現象が起こってしまう。

 コロナ専用病院を整備して、その他の医療と峻別すべきである。中国で行われているように、突貫工事でコロナ専用病院を作り、そこに患者と医療資源を集中したほうが遙かに効率がよいし、コロナ以外の患者も助かる。

 この点でも、本末転倒の感が否めない。政府のコロナ対策は、「病膏肓に入る」の状況で、これでは感染収束の展望はない。
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