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菅首相らしい人事と幕引き、裏目に

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【舛添要一が語る世界と日本(79)】山田内閣広報官の辞職

公開日: 2021/03/02 (政治)

CC BY 安倍首相に、内閣総理大臣秘書官の辞令を交付される山田氏(2013年)=CC BY /首相官邸ホームページ

 菅首相の長男による接待が問題視されて、国会で謝罪し、給与の一部を自主返納した山田真貴子内閣広報官が、体調不良で入院した。

 2週間の入院が必要だとして、職務に支障を来すということで、辞表を提出し、3月1日に受理された。

 健康が理由の辞職なら正面からは誰も反対できない。接待問題の責任をとっての辞職ではない。山田氏には早期の健康回復を祈るが、こういう形での辞任には理由がある。

 3月1日には、衆議院予算委員会で、総理及び関係閣僚出席の下、集中審議が行われ、そこに山田内閣広報官を出席する予定であった。来年度予算案を年度内に成立させるためには、3月2日には、衆議院を通過せねばならない。

 私は参議院予算委員会の筆頭理事も務めたことがあるが、予算案成立は政府与党にとって最重要課題である。

 とくに参議院は、衆議院可決後30日以内に議決しないと衆議院の議決が国会の議決となってしまう(憲法第60条)ので、衆議院側に早く議決するように圧力をかけたものである。

 「病気入院→辞職」ということになれば、衆議院での予算案議決での障害が一つ減る。国会対策上は、首尾良く難題処理というわけである。

 2月26日には、菅首相は、緊急事態宣言を首都圏以外は解除する方針について記者会見する予定であったが、これを急遽キャンセルし、ぶら下がり会見に切り替えた。山田内閣広報官は、総理の記者会見の進行役であり、接待問題に質問が飛ぶことは必至なので、それを避けたいという菅首相の意向で会見中止としたのであろう。

 しかし、会見の仕切り役不在のためか、苛立つ場面が目立ち、このぶら下がり会見は不評であった。

 「山田隠し」という厳しい批判もあったのである。だが、いつまでも、会見を行わないわけにはいかない。緊急事態宣言が全て解除されたら行うということなので、予定通り3月7日に首都圏で解除する方針が決まれば、今週中にも会見せざるをえなくなる。もはや「山田隠し」は不可能とみて、今回の辞職決定になったのであろう。

 菅首相は、内閣官房長官として安倍長期政権を支え、その間に全官僚機構を支配下に置いた。総務大臣時代に培った総務官僚人脈を活用し、ふるさと納税、携帯電話料金の値下げなど、国民受けする政策を繰り出してきた。山田氏を女性初の内閣総理大臣秘書官として推し、自分の政権になってからは内閣広報官に抜擢した。

 女性であれば時代の風潮にも合い、総務省審議官という履歴から、電波認定権を持つ総務省に頭が上がらないテレビ局の記者が総理会見で萎縮することも期待できる。そのような緻密な計算でこの人事を行ったところは菅首相らしい。

 東京五輪組織委員会の会長に女性の橋本聖子氏を就任させたのと同じ手法である。しかしながら、今やこの手法が裏目に出てきている。「飲み会を断らない女」が揶揄され、ワイドショーの恰好の餌食となってしまった感がある。

 敢えていえば、総務大臣秘書官を務めたこともある長男の会食依頼を断ることのできる総務省幹部はほとんどいないであろう。

 2014年5月30日に設置された内閣人事局の存在は、官邸に幹部官僚の人事権を集中させた。役人が、官房長官、そして今や官邸の主、首相である菅氏の覚えが悪くならないようにするのはよく理解できる。

 今回の菅首相による長男接待問題によって、携帯電話、放送事業など多くの許認可権を持つ総務省の信頼性が大きく揺らぐことになってしまった。信頼回復は容易ではなかろう。

 また、官僚を支配下に置く菅首相の政治手法も問題視されることになった。

 新型コロナウイルスのワクチン接種も予定通りには進んでいない。その上、東京五輪の行方も不透明さが増している。4月25日には、集議院北海道2区、参議院広島県、長野県選挙区の補選が行われる。

 菅内閣は正念場を迎えつつある。

舛添 要一 (国際政治学者)

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