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行政失敗のツケ 第四波が到来

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【舛添要一が語る世界と日本(83)】都内の子供の感染率が急上昇 変異株の流行映す

公開日: 2021/03/30 (政治, コロナ(国内))

CC BY 渋谷(2021年3月20日)=CC BY /Antonio Tajuelo(cropped)

舛添 要一 (国際政治学者)

 新型コロナウイルスの感染がまた増えている。残念ながら、前回コラムで予想した通りになっている。

 緊急事態宣言は3月21日に全面解除されたが、ウイルスの潜伏期間が10日~15日であることを考えると、今、発症して感染者数に計算されている人は、宣言解除前に感染したことになる。

 政府や自治体が感染防止対策の継続を国民に要請しても、宣言解除となると、解放感からか、一気に緩みが出てきて、容易には応じてもらえない。とくに、それは若い世代に顕著で、陽性者数の人口比率を見ても、20代、30代が増えている。

 学校の春休みに加えて、花見のシーズンとあって、各地で人出が多くなっており、行楽地や繁華街で人びとの密集が続出している。25日に始まった聖火リレーの沿道の観衆も同じであり、感染の可能性は高まっている。

 たとえば、この3月末に感染した人たちが発症するのは4月中旬であり、この人出の急増を見ると、これから5月の連休にかけて感染者が急増する可能性が高まっていると思わざるをえない。

 28日の大阪府のコロナ感染者は323人で、313人の東京都よりも多くなり、3日連続で300人を超えた。大阪で緊急事態宣言が解除されたのが3月1日であり、それ以降、とくに3月半ば以降は確実に感染が拡大している。

 この例に顕著なように、宣言解除が残念ながら、感染増の引き金を引いたようである。

 東北では、宮城県で感染が急拡大し、3月中旬以降1日に100人を超すような日々が続いている。隣接する山形県でも同様で、ゼロだったのが25日には49人と多数に上っている。

 沖縄県でも、連日60人を超える勢いである。愛媛県も3月23日以降に感染者が急増している。地方では、首都圏と違って医療資源に限りがあり、医療崩壊を引き起こす危険性が高まっている。

 このような全国の感染状態を見ると、すでに第4波が到達していると判断して、対策を講じる必要があるのではないか。

 ヨーロッパでは、感染が急拡大して深刻な状況になっている。この1週間の平均で1日の感染者数は、フランスが37,569人、イタリアが22,303人、ドイツが16,242 人である。そのため、これらの国ではまた都市封鎖という厳しい規制措置が講じられている。感染者が増え始めたのは2月中旬以降である。

 日本の感染の推移を見ると、このフランス、ドイツ、イタリアに1ヶ月遅れるような動きをしている。フランスの医療関係者によると、医療機関の逼迫状態は第一波のときよりも酷く、医療崩壊状態になりつつあるという。

 その原因は、変異株である。ヨーロッパでは感染の半分以上が変異株であり、感染力が強いため、患者が急増して医療資源が追いつかないのである。

 一方、イギリスでは、国産のワクチンを持つ有利な立場から接種が進んでおり、その効果が出て、1月9日の59,660人をピークに減少しており、5,416人にまで下がっている。

 イスラエル、チリなどとともに、ワクチンを先行接種した国の強みであるが、独仏伊もすでにワクチン接種を進めている。

 たとえば、フランスでは、一回接種者は720万人、二回接種者は259万人で、人口の1割強が一回は接種を完了している。日本では、一回接種者が78万人、2回接種者が4万人であり、とにかく遅い。日本の10倍以上が接種しているフランスですら、感染爆発が抑えられないでいる。

 筑波大学の研究チームによるAIを駆使して試算では、ワクチン接種がコロナ感染を抑制する効果は限定的だという。東京都で第2波と同じペースで感染が進むと、1日の感染者数は、5月中旬にピークとなり、接種なしの場合で1850人、毎日人口の0.3%(3万5千人)に接種の場合で1650人(−10.8%)、人口の1%接種(11万5千人)の場合で1540人(−16.8%)になるという。ワクチンに過剰な期待を寄せてはならないという戒めでもある。

 とくに変異株の市中感染には注意が必要である。変異株感染数は、兵庫県94件、東京都14件と格段に違うが、この違いは、検査をまともに実施しているか否かによる。陽性者中で、変異株検査を都は僅かに10%前後しか検査していないが、神戸市は60%以上行っているからである。変異株は子供にも感染しやすい。子供の感染率は都内で急上昇しており、そのデータは変異株の感染拡大を示していると言えよう。

 政府や東京都は、きめ細かい感染防止対策や経済対策を十分には行っていない。

 グローバルダイニングが、東京都の時短命令を不当だと東京地裁に提訴したが、それは、都が、ドイツのように前年売り上げ(税務データで直ぐ分かる)の75%というような補償ではなく、一律6万円とか4万円とかいう手抜きの対策しか実行していないからである。

 これこそ、行政の怠慢であり、さらに言えば、飲食店のみを標的にするのも問題で、その根拠となる明確な科学的データが欠如している。

 このような感染防止・経済対策の失敗のツケが第4波の到来となって現れている。

 EUは、ワクチン不足のため、域内からの輸出制限を厳しくする方針である。これでまた、日本への供給が予定通り進まない可能性が高まった。東京五輪を無事に開催できる環境はまだ十分には整っていないと言わざるをえないだろう。
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