安倍首相は28日、新たな安全保障法制を審議する衆院特別委員会で、米軍支援のための「重要影響事態」の判断基準について、「武力紛争が発生または差し迫っている場合、我が国に戦禍が及ぶ可能性から判断する」と述べた。
それにしても、26日の党首討論から始まった議論はまったくかみ合っていない。戦後70年の節目に日本の安全保障体制を大きく転換し、集団的自衛権に道を開く重要法案の審議なのに、野党の質疑に首相を始め政府側が真正面から応えていないためだ。
27日には、自衛隊員のリスクを問う野党に対し、中谷防衛相が「リスクは増大しない」と繰り返し、「答えていない」とやじが飛ぶ場面も。維新の松野代表は首相答弁に「誠意を感じない。もっときちんと答えて問題点が出てこなければ、とても修正にはいかないだろう」と語った。
民主党の高木国対委員長も28日の会見で、「聞かれてもいないことを長々と話す。悪意を感じる」と話している。27日の審議では、野党質問者の抗議が30回以上もあり、浜田委員長の注意が9回にも及んだ。
野次が飛び交い、安倍首相が色をなして、野次をたしなめる場面も。いらだつ首相は28日、質問中の民主党の辻元議員に対し、「早く質問しろよ」と不規則発言、抗議を受けて、陳謝した。
入口の議論に終始し、具体論にまで踏み込めないまま進む国会審議をめぐる記事を、28日の動きを中心に、以下にまとめました。