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信頼されるリーダーは「実績、情報を隠さない、人間味ある発信」

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【論調比較・世界のリーダーの指導力】読売は独首相ら称賛しつつ安倍首相への評価回避、東京は「モリカケなどのツケ」指摘

公開日: 2020/05/02 (政治)

Reuters Reuters

長谷川 量一:論調比較 (ジャーナリスト)

新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)は、日常生活や経済活動への不安を広げている。国や地域によって感染の程度や影響そのあらわれ方は違うが、対応に追われる各国のリーダーの対策や国民への語り方には大きな違いがあり、それによって評価を上げる首脳もいれば、世論の批判を浴びるリーダーもいる。大手紙ほかのメディアは、これを様々に論じている。

 この間、各国指導者の取り組みを各メディアが取り上げている。いくつか並べておこう。

朝日「コロナ G7首脳どう発信/医療崩壊の危機 団結求める」(3月26日朝刊)

産経「欧米首脳分かれる国民の評価 独メルケル氏存在感/仏マクロン氏の対応不満」(4月13日)

ニューズウィーク「コロナ対応で『株を下げた人』『上げた人』の差」(4月14日号)

毎日「独メルケル首相、台湾・蔡総統…新型コロナ対応で株を上げた女性リーダーたち」(21日電子版)

朝日「首相に『身びいきのイメージ』 演説に透ける首脳の個性」(22日 電子版)

読売「メルケル独首相『復活』/危機管理で支持急増」(23日朝刊)

日経「欧州で政権支持率上昇/外出制限など指導力発揮」 (23日朝刊)

朝日「世界発2020 NZ首相、際立つ発信力/全土封鎖が奏功 一部緩和へ」(23日朝刊)

フォーブスジャパン「新型コロナ対策で各国リーダーの支持率が軒並み急上昇、一部の例外も」(23日電子版)

プレジデントオンライン「コロナ地獄の中で、神対応が話題の各国リーダーたち。一方で安倍晋三は…」(23日)

産経「女性リーダー牽引/米メディア 台湾や独『迅速な行動 奏功』」(24日)

東京「こちら特報部 非常時のリーダーシップとは/通常は不安抱く国民が期待 安倍首相支持率低下/カギは国民との対話」(24日朝刊)

産経「ブラジル大統領 強い逆風/コロナ対策軽視 強権政治」(26日)

毎日「NZ きょう致死封鎖緩和/首相、自宅から国民と対話」(28日朝刊)

日経「ブラジル大統領 求心力低下/コロナ対策・汚職疑惑で対立 主要閣僚離反相次ぐ」 (29日朝刊)

※トランプ米大統領、安倍晋三首相については記事が極めて多いため省略

 これらの記事を通じて評価が高いのがメルケル独首相、蔡英文台湾総統、アーダン・ニュージーランド(NZ)首相だ。

 メルケル氏は〈再び、「頼れる指導者」として浮上した〉(産経4月14日)。特に世界的に評価されたのが、旧東独で育った自らの経験を踏まえ「移動や旅行の自由を勝ち取った、私のような者にとって、こうした制限は絶対に必要な時にだけ正当化される」と、移動制限で他者との接触を減らすことの大切さを、カメラを直視して諄々と語った3月18日のテレビ演説。 

 日本でも、SNSでも様々に拡散され、称賛の声が沸き起こった。「ドイツ第2公共放送」が4月6~8日に1175人を対象に行った定例の世論調査では、74%が政府の感染抑止策を評価した。

 もちろん、この高評価には、〈危機の最中でも冷静に対策の必要性を説き、影響を受ける人々に手厚い経済支援を提供する一方、感染被害の抑止にも一定の成果を出している点〉(毎日4月21日)があり、演説だけでない「実績」も貢献しており、さらに、〈2年前に退任への意思を表明し、EUの表舞台から遠ざかっていたが、「まとめ役」として再び強さを発揮した〉(産経24日)と、国際的な地位もアップしている。

 これに続くのがアーダン氏だろう。感染者が少ない3月下旬の段階で最も厳しい「レベル4」の封鎖策が効果を上げて抑え込みに成功、4月28日から「レベル3」に緩和され、飲食店は持ち帰りサービスができるようになり、建設工事や製造業、林業も再開できるようになった。

 この間、非常事態が宣言された3月25日の記者会見をはじめ、約1カ月で連日のように19回の会見で自ら状況を説明。また、フェイスブックでも上着はリラックスしたトレーナー姿で語り掛ける自宅からの動画を配信し、国民の信頼を勝ち取った。

 政策的にも外出を禁じる一方、影響を受ける企業には、フルタイムの従業員1人あたり、週給で585.8NZドル(約3万8000円)を12週間支給するなどの支援策を打ち出したことも奏功。4月上旬の民間調査会社の世論調査で84%が対策を評価していると答えた。朝日(23日朝刊)は現地の大学教授の「アーダーン氏が優れているのは、語り口に、思いやりや人への情があふれていることだ」とのコメントを紹介している。

 蔡氏も、早期の水際対策と徹底した隔離対策が効力を発揮したとされ、「世界最高レベルの対応」(米CNN)と評される。特に、〈歯科医でもある陳時中・衛生福利部長(衛生相)が連日記者会見を行い、記者の質問に徹底して回答。温かい語り口もあって「鉄人大臣」として国民の信頼を獲得した〉(毎日21日朝刊)ことも高評価だ。3月末の地元TVの世論調査で蔡氏の支持率は60%と、2月中旬から6ポイント上昇した。

 ほかにも、女性リーダーの活躍がメディアで取り上げられている。ノルウェーのソルベルグ首相は子ども向けの会見を開き、「こわがってもいい。でも私たちには優秀な医師や看護師がおり、優れた病院がある」などと語り、フィンランド、アイスランドも早期の対応や徹底した検査の実施などで、それぞれ、評価を高めた。

 女性以外でも、当初、感染が急拡大した韓国は検査の徹底と感染者情報の共有などの効果で封じ込めに成功し、文在寅大統領の支持率が急上昇し、4月15日の総選挙での与党圧勝に導いた。

 感染の拡大が深刻で死者も多数出ている欧州では、イタリア、フランス、英国などで、やや意外だが、ロックダウン(都市封鎖)など強硬手段に出たことで政権の支持率上昇が報じられている。

 マクロン仏大統領の支持率は4月になって39%と、2019年末に23%まで下落していたところから急上昇した。3月上旬まで「外出する習慣を変えてはならない」と語っていたが、感染者急増を受け、同16日にテレビ演説で外出禁止令を宣言したことで求心力が一気に高まったとみられる。

 米国に次ぎ死者数が2番目に多いイタリアのコンテ首相は、1月に欧州で最も早く非常事態を宣言し、世論調査で政権を「信頼する」という回答が68%にのぼる。〈コンテ氏は医療や経済対策で、欧州連合(EU)にユーロ共同債発行による救済を各国メディアで懸命に訴え、その姿が国民の支持を集める〉(産経4月14日)と分析され、外出禁止令への支持は、全国で実施されてから1カ月以上たつが、90%に達している。

 死者が2万人を超えた英国も、30%台だったジョンソン首相の支持率が3月下旬には52%に上がった。全国に外出禁止令が出されたのが評価されたとみられるほか、〈3月末には国内の約3000世帯に手紙を送付。飾らない言葉で支持を集めた〉(プレジデントオンライン4月23日)との評もある。

 ただ、その後は陰りも見える。フランスでは政府の対策を「信頼している」と答えた人は3月後半の55%から4月中旬には38%に急降下。英国でも、3月初めまで、人口の一定割合が感染して免疫をつけることで感染を終息させる「集団免疫」を志向したことから外出制限や検査体制整備などが遅れ、ジョンソン氏自身も感染して入院したほどで、ドイツなどに比べて多数が死亡したとの批判が高まっている。

 危機対応を巡って批判を集め支持率が低下またはほとんど上昇していないのが、トランプ大統領、ボルソナロ・ブラジル大統領、そして安倍首相だ。まず、トランプ氏。危機に直面するなか、米ギャラップ社が発表した世論調査の支持率は、3月末に49%に上昇し、不支持率が45%に低下して支持が上回ったものの、4月中旬には支持43%と6ポイントダウン、不支持は9ポイントアップの54%と、再び不支持が上回った。

 米国では、危機に際して大統領支持率は大きく跳ね上がるのが常で、同時多発テロ(2001年)後のブッシュ大統領(息子)は50%から90%に、湾岸戦争(1991年)時のブッシュ大統領(父)は59%から89%に、イランの米国大使館人質事件(1979年)でもカーター大統領は32%から56%に急上昇しており、今のトランプ氏が支持率の上がり方も少なければ、不支持に早々に再逆転されるのは、異例といえる。

 トランプ氏は連日、時に2時間にも及ぶ記者会見を開き、「戦時大統領」を演出している。しかし、1月下旬時点で「いずれよくなる」「完全に制御している」など楽観的な発言を繰り返して初動対応が遅れたほか、経済活動再開重視の姿勢、現場で感染拡大と戦うニューヨーク州のクオモ知事(民主党)らとの対立、消毒液の注射を推奨するような発言の迷走などもあり、国民の信頼を集めるには至っていない。もちろん、ワクチンや特効薬の開発、経済のV字回復などがあれば支持率急回復の可能性はあると指摘される。

 感染者が7万人に迫るブラジルのボルソナロ大統領はもっと極端で、コロナの脅威を軽視して州政府による外出自粛要請を批判して自らマスクもせずに街に出て支持者と素手で握手、外出規制を推進していた保健相を解任するなどして批判を浴び、大統領の対応への支持は3割に過ぎない。トランプ氏と同様、熱烈な支持者に支えられ、経済への打撃回避を図る狙いだが、治安の悪化も伝えられ、厳しい政権運営を迫られている。

 最後に安倍首相だが、一部世帯に30万円給付を撤回して1人一律10万円給付に方針転換したほか、PCR検査が思うように増えず、国民受けを狙ったマスク1世帯2枚配布が不評で、不良品が多数出て一部回収に追い込まれ、さらには星野源さんの映像に付けた自宅で犬とくつろぐ自身の映像の投稿がひんしゅくを買うなど、不手際も目立つ。毎日の世論調査(18、19日)で、安倍政権の対応を「評価しない」53%、「評価する」39%、産経・FNN調査(11、12日)でも、緊急事態宣言発令自体は65.3%が評価しつつ、「遅すぎる」が82.9%に達した。

 内閣支持率・不支持率は、毎日がそれぞれ41%(2ポイント減)・42%(4ポイント増)、産経・FNNがそれぞれ39.0%(2.3ポイント減)・44.3%(3.2ポイント増)と、不支持が支持を逆転する厳しい状況だ。

 感染者数・死者数とも、例えばドイツの16万人・6000人に比べはるかに少ないのに、メルケル氏は賞賛され、安倍首相の評価が低いのはやや不公平の感はあるが、そこは「発信力」。記者会見で質問を打ち切ってサッサと切り上げるなど、パフォーマンスとしても失点を重ねたのが大きな原因だろう。その点、国内でも安倍首相が小池百合子東京都知事に後れを取っているのも明らかだ。

 大手紙の社説も、コロナ関連を連日取り上げているが、リーダーの指導力も一つのテーマだ。

 これを正面から取り上げたのが読売の「危機下の指導者 コロナ対応で何を語るべきか」(4月19日)で、〈新型コロナウイルスとの戦いは長期化が避けられない。適切な措置をどのように打ち出し、住民の理解と協力を得ていくか。世界の政治指導者が模索を続けている〉として、クオモ・NY州知事、メルケル独首相らを取り上げ、クオモ氏は〈都合の悪い情報を隠さず、人間味のある発信を続けていることが、一定の信頼を生んでいるのだろう〉、メルケル氏は〈派手さとは無縁の実直な呼びかけで、国民に理解を求めている〉などと称賛したうえで、最後に〈トランプ米大統領や安倍首相も日々、感染拡大防止策や経済対策の発信に腐心している。国民の目にはどう映っているだろうか〉と〆めた。さすがに首相の得点として書き込むネタが見当たらない中、評価を控えたわけだが、安倍首相への読売なりのエールか、皮肉か。

 東京の社説欄の日曜定番「週のはじめに考える」で「コロナ禍と民主主義」(12日)と題して論じている。〈必要最小限の私権制限までは否定できません。問題はどんな方法で、どこまで私権を制限するか、その措置に国民の理解が得られるかです〉と問題提起し、メルケル氏の呼びかけを評価し、中国が自国の制度の優位を宣伝していることを批判したうえで、安倍政権について〈安全保障関連法など反対が強い法律の成立を強行し、森友・加計学園や桜を見る会の問題では国民の疑念を解消しようとしません。そのつけが今、回ってきているのではないか。感染拡大を抑え込むためにも、政権不信解消にも真摯(しんし)に取り組むべきです〉と、ズバリ指摘している。

 他の大手紙では緊急事態宣言の発令、全国への拡大前後に安倍首相を中心にリーダーの指導力、発信力などを論じたものが多かった。

 朝日(15日)は〈多くの人々が、これまで当たり前だった日常を失うなか、国民のいのちと暮らしに重い責任を負う首相から、心に届くメッセージがこの間あっただろうか〉と問いかけ、〈これまでの対処に問題はないと言い募るだけでは、国民の不安に具体的に応えることはできまい。……国民への発信を含め、担当の西村康稔経済再生相に丸投げしているように見える〉と疑問を呈し、自宅でくつろぐ映像の投稿、アベノマスクにも〈国民感覚とのズレを如実に示した〉と苦言を呈し、〈自粛の要請に強制力はない。……成否のカギは政治指導者のことばが握っている〉と強調している。

 毎日は、14日に〈(首相は)感染拡大が抑えられなかった場合でも「私が責任を取ればいいというものではない」と語っている。これでは国民に危機感は伝わらない〉と疑問を呈し、17日にも〈納得感が不足したまま、警戒ばかり強めても限界がある。首相は国民や地方自治体、事業者の協力を得られるよう十分な説明を尽くすべきだ〉とくぎを刺す。

 産経はこの間の主張(社説に相当)で、安倍首相の指導力を直接テーマにしていない。緊急事態2週間の24日で〈政府や自治体にもできることはもっとあるはずだ。政府、自治体の責任者はやるべきことに全力で取り組んでいるか胸に手を当てて考えてもらいたい〉と書くにとどまる。
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