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カンニング竹山発言にとどまらない小池知事の「言論いじめ」

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【都政を考える】「アッコにおまかせ!」への抗議に現れた知事の報復体質

公開日: 2021/04/05 (政治)

Reuters Reuters

澤 章 (都政ウォッチャー)

TV番組、異例の謝罪

 今月4日日曜のTBS「アッコにおまかせ!」は不思議な終わり方をした。エンディングのテロップが流れたあと、画面は男性アナウンサーに切り替わり、前週での出演者の発言に関して訂正、謝罪したのだ。

 事の発端は、前週の同番組の生放送中にカンニング竹山氏が発した一言だった。日頃から小池知事への辛らつな物言いで知られる竹山氏。この日は都のコロナ関連の広報費を批判したのだ。昨夏以降、知事自身が登場するCMやYouTube動画が事あるごとに流されてきたが、その制作に1本当たり4億7千万円の税金が使われていると発言した。

 正確には、この4.7億円とは動画制作費ではなくコロナ対策の広報費全体の数字であり、動画制作には8本の合計で1800万円が投入されていた。間違いに気づいた竹山氏は同番組の中で「広告費全体だった」と訂正・謝罪をしている。ところが、この言い間違いに抗議してきたのが小池知事率いる都庁だった。放送翌日早々、TV局と竹山氏が所属する事務所に抗議文を送りつけたのだ。

 放送後、都庁には苦情や批判の電話が多数寄せられた。慌てたのは都庁の役人である。竹山氏が訂正したにも拘わらず都として抗議した事に対して、都庁側は「数字が一人歩きしないように」と説明するが、その裏には、自分への批判に過度に神経質になっている小池知事の心理状況があるのだろう。それにしても、まったく大人げない反応というべきか、首都東京とは思えない度量の小ささではないか。

 都庁に詳しい関係者によれば、TV局との交渉には知事側近の特別秘書が動いたようであるが、実は、竹山氏の発言には前段があった。TV番組出演の前日深夜、竹山氏は自身のネットテレビ番組に前知事の舛添要一氏と上田令子都議をゲストに招いて2時間近くにわたって小池知事批判を展開した。その過程で、都議から様々なデータが示され、その中に例の広報費4.7億円も入っていた。竹山氏は広報費全体で4.7億円と言うべきところを動画制作の費用と混同してしまった。

 ある都庁の本庁管理職は今回の騒動をこう評した。「この程度の発言、やり過ごせばいいのに。いちいち噛みつく小池知事には今更ながら失望した。」

広告引き上げで新聞社を兵糧攻めに

 小池知事のメディアに対する態度は両極端に分かれる。ひとつは、自分をヨイショしてくれるメディアには定例記者会見などの場で毎回のように指名してアメを与えて手懐ける。その一方で、自身に批判的なメディアに対しては、徹底的に無視して相手にしない。いわゆるネグレクト、まるで小学生の陰湿ないじめのようである。

 さらにこの「いじめ」がエスカレートすると、今回のように公然と圧力を掛けて潰しにかかるというのが、小池知事の常套手段である。

 実際、小池知事に目をつけられて潰されそうになっている新聞社がある。都政新報社だ。都内の自治体職員向けに週二回、専門紙を発行している。都庁職員にはお馴染みの新聞である。小さな新聞社ゆえ、購読料と同時に広告収入が経営上大きなウエイトを占めている。

 その広告に待ったを掛けたのが小池知事だ。昨年11月、都のいわゆる外郭団体に対して個別に電話での指令が飛んだ。

 「都政新報の新年号に掲載予定の広告をすべて引き上げよ。」

 その方法も、各団体の総務部長に対して総務局の行政改革部長が直電、副知事経験者が在籍する団体には現役の副知事が直々に連絡を入れるという熱の入れようである。

 都政新報の新年号には例年、外郭団体をはじめ都の関係団体がこぞって四角囲みの名刺広告を載せ、紙面が埋められる。都政新報社にとっては年に一度の広告費のかき入れ時である。そんな台所事情を知った上で、小池知事は敢えて広告一斉引き上げを厳命したのだ。

 表向きの理由は、コロナ対策などの厳しい状況下で経費の見直しを行う必要があるというものだったが、都政新報を狙い撃ちにしている。

 なぜなら、同紙は歴代知事に辛口の記事を書くことで知られており、加えて、都庁職員アンケートを実施し現職知事を採点するなど、ユニークな企画で知られるが、小池知事一期目の採点結果は百点満点中40点台と歴代知事の最低を記録したのだ。小池知事として面白いわけがない。つまり、小池知事にとって同紙は「目の上のこぶ」的な存在だったのだ。

 いつかねじ上げてやると機会をうかがっていたのであろう。都庁幹部が忖度して新年号の広告停止という手法をご注進したのかもしれない。いずれにしても、外郭団体の広告が皆無となった新年号の発行から3か月が経過した今でも、都政新報の広告欄には自社の書籍広告ばかりが並び、それまで頻繁に掲載されていた外郭団体等の広告はゼロという有り様だ。兵糧攻めは鋭意続行中なのである。

 かく言う筆者も昨年3月、著書『築地と豊洲「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』を都政新報から出版し、小池知事の逆鱗に触れた。4か月後には外郭団体の理事長を解任された。

 小池知事は自らを批判する者を決して許さない。機を見て逆襲する姿勢を緩めることはない。こんな人物が、都知事の座に座り続け、連日のようにコロナ対応でメディアに登場していることを、都民はもっと深刻に受け止める必要があるだろう。
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澤 章(都政ウォッチャー)
1958年、長崎生まれ。一橋大学経済学部卒、1986年、東京都庁入都。総務局人事部人事課長、知事本局計画調整部長、中央卸売市場次長、選挙管理委員会事務局長などを歴任。(公)東京都環境公社前理事長。2020年3月に『築地と豊洲「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』(都政新報社)を上梓。著書に『軍艦防波堤へ』(栄光出版社)、『ワン・ディケイド・ボーイ』(パレードブックス)、最新作に「ハダカの東京都庁」(文藝春秋)、「自治体係長のきほん 係長スイッチ」(公職研)。
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