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菅総理の退任 小池知事は蚊帳の外

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【都政を考える】「訴訟の嵐になる」との発想は市場問題の時と同じ

公開日: 2021/09/06 (政治)

Reuters Reuters

澤 章 (都政ウォッチャー)

 先週金曜日(3日)午後2時過ぎ、都知事の定例記者会見は5分以上遅れて始まった。息せき切って現れた小池知事は、菅総理の総裁選不出馬のことなどおくびにも出さず、新型コロナ対策や水害対策などの都の対策を20分以上にわたり蕩々と説明した。

 その間、滑舌はいつも以上に滑らかで、都政に専念する姿勢をことさらに強調するかのようだった。

 会見後半の記者からの質問に対しては、いつもの調子で当たり障りのない返答を繰り返した。菅総理の総裁選不出馬表明に対しては「大変、驚いた」とし、次期首相については「私には投票権がございません。自民党内で決めること」と無関心を装った。

▽菅退場で出番がなくなる

 ただし、内心は気が気ではなかっただろう。会見が始まるまでの間、永田町の情報収集に奔走し、その結果、会見時刻に遅れたのではないか。

 もともと小池知事の国政復帰シナリオは、こうだった。

 コロナの感染拡大を秋までに封じ込め、菅総理の不人気で動揺する自民党の混乱に乗じて、秋の衆議院選挙で自らがキャスティングボードを握るというものだ。そのためには、コロナをワクチン接種の加速と抗体カクテル療法の普及によって沈静化させる必要がある。コロナ対策では首相官邸や自民党本部に足繁く通い、頼みの綱の二階幹事長に媚びを売るとともに、犬猿の仲の菅総理と歩調を合わせることも辞さなかった。

 その上で、自民党内の政争が激化すればするほど、衆院選で自分にチャンスが回ってくると踏んでいた。そうなれば、自民党の不満分子や野党の一部などと手を組み、一気に存在感を示すことができる。

 ところが、国民の不平不満を一身に背負ってくれていた菅総理が突然、舞台から消えてしまったのである。同時に、恩師・二階幹事長も権力の座から降りる。総裁選の行方はまだ不透明だが、誰がなるにせよ、人心は一新され、少なくとも菅さんよりはましと国民が受け止めれば、衆院選の趨勢はガラッと変わってくる。

 そうなれば、小池知事のシナリオは大幅な修正を余儀なくされる。最悪、出番がなくなってしまう緊急事態だ。出番なしなら、都知事の残りの任期3年間、政治的には塩漬け状態に置かれる。政治家・小池百合子として受け入れがたい状況である。

 3日午後の会見は、表向き都政に専念するポーズを見せる小池知事と、内心シナリオ崩壊に動転する小池知事がせめぎ合う場面だったのである。

▽訴訟が怖い!?

 会見をリアルタイムで見ていた筆者がもうひとつ感じたことがある。

 コロナ対策に関する質疑の時だった。7月時点での感染状況の認識が甘かったのではとの質問が記者から飛んだ。小池知事は「特措法の中でできることをやってきた」とした上でこう付け加えたのだ、「法律をはみ出せば、訴訟の嵐になる」と。

 つまり、小池知事は法律の範囲内であればやることをやるが、法を踏み出すような危ないことはしない、と言ったのである。コロナの感染状況を災害級と称するのであれば、リスクを冒しても都民の生命を守るとリーダーシップを示すべきだと思うが、小池知事はそう考えないようである。

 既視感があった。小池知事が訴訟リスクに言及するのはこれが初めてではない。筆者が経験したのは、市場移転問題の最中のことだった。豊洲市場の建物下の地下水が汚染されていることに加え、当時問題化していたのは、豊洲市場に隣接するエリアに整備予定の「千客万来施設」の扱いについてだった。

 この施設は地元の江東区に設置を都として約束したものだったが、整備を請け負う民間事業者が、小池知事の「築地に食のテーマパークを」と発言したことに猛反発し、訴訟も辞さないと東京都に通告してきたのだ。

 当時、東京都中央卸売市場次長だった筆者は直接、小池知事が猜疑心を露わにする姿を目にしている。毎日のように、民間事業者の動向を報告するように命じられていた。この時、知事は民間事業者の動きに神経をとがらせ極度の疑心暗鬼に陥っていたのである。

 コロナの特措法の件と千客万来施設の民間事業者の件、2つの事例には、小池知事の思考パターンが如実に表されている。都知事として何をやるべきか、都民にとって何が必要かではなく、自らの責任逃れやダメージ回避を最優先に考える、これこそが政治家・小池百合子の核心部分である。そう考えれば、都のコロナ対策が後手後手に回り都民が不安に晒されている実態にも得心がいくのである。
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澤 章(都政ウォッチャー)
1958年、長崎生まれ。一橋大学経済学部卒、1986年、東京都庁入都。総務局人事部人事課長、知事本局計画調整部長、中央卸売市場次長、選挙管理委員会事務局長などを歴任。(公)東京都環境公社前理事長。2020年3月に『築地と豊洲「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』(都政新報社)を上梓。著書に『軍艦防波堤へ』(栄光出版社)、『ワン・ディケイド・ボーイ』(パレードブックス)、最新作に「ハダカの東京都庁」(文藝春秋)、「自治体係長のきほん 係長スイッチ」(公職研)。
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