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「人事の透明性」唱えた小池知事こそ、密室人事の常連

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【都政を考える】会長人事検討委の副知事 ルール無視都政人事に関与

公開日: 2021/02/18 (政治)

小池知事(左)と菅首相=NHKより 小池知事(左)と菅首相=NHKより

澤 章 (都政ウォッチャー)

 五輪組織委員会・森会長の後任問題は、相変わらずの政治主導による「密室人事」が色濃く、国民の多くは鼻白んでいるに違いない。

 そんな中、五輪開催都市の小池都知事は、後任の選定過程について「世界が見ている」「透明性が重要」との発言を繰り返し、森氏や菅首相の動きをしきりに牽制して見せた。

 だが、小池知事自身が密室人事・政治介入の常連であることを知る人は少ない。密室の舞台は都庁OB人事である。一例として、私が当事者となった昨年7月の理事長解任事件を取り上げたいと思う。

 2019年3月末に定年退職した私は、同年6月末から公益財団法人東京都環境公社理事長に就任した。世間で言うところの天下りである。とはいえ、手続きはルールに則って行われた。

 理事長就任には、評議員会での理事就任の了承と理事会での理事長選任の手続きが必須である。こうしたプロセスは、同じ公益財団法人である五輪組織委員会の場合と全く同様である。

 つまり、公営財団法人の理事長なり会長に就任するには、政治から独立した評議員会と理事会での意思決定が不可欠なのである。だが、昨年7月の私が解任された不可解な都庁OB人事はまったくこの原則を踏み外していた。

副知事は「理事長を辞めていただく」と言った

 昨年6月で任期が切れる理事長の続投は既定路線だった。事実、7月13日、環境公社では理事会と評議員会が相次いで開催され、今後2年間、私が理事長職を担うことが正式に決定された。コロナ拡大を受けて、リモートによる会議だった。

 ところが、同月22日、再び理事会が開催され、その場で私は理事長を辞することを表明した。その間わずか9日である。一体、何があったのか。

 7月10日午前11時40分、私は都庁第一本庁舎6階の副知事室にいた。目の前には多羅尾光睦副知事、少し離れた右横には人事部長と人事課長が座っていた。開口一番、副知事は「7月末を持って環境公社理事長を辞めていただく」と私に告げた。理由は、局長経験者としての常識に欠けるというものだった。

 その後1時間、押し問答が続いたが埒があかず、「納得できない」の捨て台詞を吐いて私は副知事室をあとにした。

 2019年3月、「築地と豊洲」を出版し市場移転問題の小池都政の内幕を暴露したことが小池知事の逆鱗に触れた。首を切られるのは時間の問題だった。だから、解任通告に驚きはなかった。

 だが、すでに週明け月曜13日の理事会は招集済みであり、理事長続投を土壇場で変更するには時間がなかった。そのため、一旦は私が引き続き理事長として手続きを踏み、舌の根も乾かぬうちに「やっぱり辞めます」というドタバタの段取りになったのである。

後任を決めるのは誰か

 こうして公益財団法人の理事長人事は、都庁の政治介入により、その公平性、透明性がいとも簡単に踏みにじられた。理事会、評議員会が名ばかりのお飾りに過ぎないのは、五輪組織委員会のケースと何ら変わらない。

 さらに、解任権だけでなく後任の選定権も都庁が握っていることはまぎれもない事実である。実際、解任通告の際、多羅尾副知事は「あなたの後任はAさんだから」とご丁寧にも教えてくれた。

 A氏自身は現役時代からよく知る適任者であり異論はなかったが、問題は、すべてを裏で決めておきながら表向きは環境公社が自らの意思で決定したようにカモフラージュして憚らない姿勢である。

 ちなみに多羅尾副知事は、五輪組織委会長の後任を選ぶ「候補者検討委員会」のメンバーのひとりになっている。小池知事の腹心としての都代表だから不思議はないが、都庁OB人事での評議員会や理事会無視の当事者だから、今回の「透明性」人事に係わるのは皮肉というほかない。

 東京都に関して言えば、黒幕は表には出ず、ナンバー2がまたも「人事」を取り仕切っていたことになる。

 私の首を切った黒幕の小池知事が、いくら透明性がない、密室人事だと組織委の裏にいる森氏や菅総理を暗に批判したところで、説得力はゼロだ。

 国民は、森氏も菅首相も小池知事も「同じ穴の狢」だと白けきっている。小池知事だけが安全地帯に逃げ込んでばかりはいられないのである。
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澤 章(都政ウォッチャー)
1958年、長崎生まれ。一橋大学経済学部卒、1986年、東京都庁入都。総務局人事部人事課長、知事本局計画調整部長、中央卸売市場次長、選挙管理委員会事務局長などを歴任。(公)東京都環境公社前理事長。2020年3月に『築地と豊洲「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』(都政新報社)を上梓。著書に『軍艦防波堤へ』(栄光出版社)、『ワン・ディケイド・ボーイ』(パレードブックス)、最新作に「ハダカの東京都庁」(文藝春秋)、「自治体係長のきほん 係長スイッチ」(公職研)。
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