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共産党大激震・松竹伸幸氏除名で党内から異論続出!

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京都では「志位委員長遊説」宣伝ボイコットも

公開日: 2023/02/22 (政治)

シン日本共産党宣言の著者・松竹氏=角田映す シン日本共産党宣言の著者・松竹氏=角田映す

角田 裕育 (政治経済ジャーナリスト)

  本誌1月12日付けの内田樹氏へのインタビューでも紹介した日本共産党員の松竹伸幸氏(京都市のかもがわ出版勤務)が執筆した『シン・日本共産党宣言』(文春新書)が志位和夫委員長らの逆鱗に触れ、松竹氏が除名処分になった。

 朝日や毎日などの社説も批判論陣を張っている。松竹氏は新著で「共産党も党首公選をすべき」だとか、「自衛隊は合憲、政権入りするなら安保は堅持」と主張。志位氏ら党執行部は「党内にある異論を党外に出した。規約違反である」として、松竹氏の所属する京都市の日本共産党南部地区委員会から除名。京都府委員会が承認した。

 一方で、同時期に発売された『志位和夫委員長への手紙』(かもがわ出版)を執筆し、同書内で「志位委員長は辞任せよ」と過激な主張をした党員の鈴木元氏は除名どころか、警告などの軽い処分も受けていない。小池晃書記局長が松竹氏除名を発表した記者会見で「日本共産党員を名乗る鈴木元なる人物との党攻撃の分派的活動」とまで断言されたにも関わらずである。

 同党で何が起きているのか?  

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 まず、『シン・日本共産党宣言』発売を知ったのは昨年12月頃。内田樹氏へのインタビューが予定されていたので、内田氏が推薦人になっている本書について見解を聞いた。

 内田氏に「昔なら『反党分子に転落した松竹伸幸と、支援する反共学者内田樹』なんて見出しが『赤旗』に踊ったでしょうね」と話すと、「まあね、今はそんなことは出来ないんじゃないかな」としたうえで、「今時、除名は出来ないだろう」と見ていた。

 その後、本サイトにUPされた記事を見た松竹氏が自ブログ「超左翼おじさんの挑戦」の中で記事を紹介、私は松竹氏と1月下旬に東京駅で会った。初対面だったが、内田氏以外にも共通の知人の編集者・記者が多くいることがわかり話は弾んだ。

 松竹氏は「リアリスト左翼」を称するだけあって、共産党が政権入りした際の外交安全保障などの議論は一致点が多かった。松竹氏も「除名はないだろう。したら大変なことになる」との見解だった。

 2月8日に本誌コラムニストでもある東京新聞の五味洋治氏と松竹氏を交えてtwitterスペースで会談番組をやることとなった。五味氏は外交記者として、外交安全保障政策に取り組んで来た松竹氏とは面識があるとのことだった。

 そして、松竹氏が書籍発売に関する記者会見を催す前日の2月5日に松竹氏を除名処分にするという前提で京都市南地区委員会が松竹氏を調査(昔で言う査問)し、翌日の6日には早々と除名が確定してしまった。

 日本記者クラブでの記者会見での松竹氏の様子で思ったのは、除名自体は想定内ではあったが、余りの速さに困惑していた。記者会見から2日後の五味氏とtwitterスペースの番組で松竹氏と討論を行う(私のスマホ・パソコンの調査が直前で悪くなり筆談となった)。多数のリスナーがいた。

 私が、「政権入りするなら中村喜四郎氏が言うように、外交安全保障政策を野党間協議するのは当然ではないでしょうか?」という質問に松竹氏も同調していた。  

 この間、親しい赤旗記者からは盛んにアプローチがあり、「全体を見てください」とか「明日の2月9日に志位さんが国会で記者会見をやるから」と連絡があった。参議院本館野党記者クラブ主催の志位氏の記者会見に赴いた。私の質問に対する志位氏の返事は何とも歯切れの悪いものばかりだった。

 志位氏と私のやり取りを要約すると以下の通りである。

 私「鈴木氏を除名しないのはなぜか?」

 志位「今、処分が検討されているだろう」

 私「中央委員会に責任はないのか?」

 志位「私たちは京都府委員会の報告を受けただけ。南地区委員会の処分を京都府委員会が承認したのを確認ということ」

 私「中央委員会は除名を承認したのか?」

 志位「中央が承認する立場ではない。報告を受けただけ」

 というものであった。私は他にも「京都府委員会の問題というなら中央の越権ではないか?」という質問もしたが、「越権とかの問題ではない」と志位氏は言い張り、実に釈然としない答えであった。

 その後、記者会見で松竹氏除名を批判した朝日新聞の社説に触れ「朝日に指図される筋合いはない!」と若手の朝日新聞記者に吠え立て「あなたの責任を問うつもりはないが、社論として掲げた以上、そういう性格の問題だと自覚して欲しい!!」と朝日新聞への敵意をむき出しにする始末であった。

 若かりし頃、彼が書記局長だった時代はキレのある冷静で論理的な議論をテレビ番組や国会中継で展開したものだが、そのころの志位氏とは別人のように映った。そういう印象を抱いたのは私だけではあるまい。

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 翌週、2日連続で松竹氏が都内の集会に参加した。その直前に松竹氏からある文化人とある党最高幹部が食事をするという情報を得た。その結果を集会に来ていた当の文化人から直接聞いたが、「共産党の若者たちが『除名とか怖い』と言って来たので、そこは反省している。だが、処分に納得して欲しい」と語ったそうだ。

 内田樹氏は「処分保留を」と再三訴えていたが、「処分は保留しないかと聞きましたか?」と尋ねると「そこまで聞かなかった。それに仲裁は私では力不足。難しい」と話していた。

 さらに翌日、小さな飲食店で開催された松竹氏を含むミニ集会。そこには関西からわざわざ上京してきた日本共産党の女性市議もいた。名刺を渡すとtwitterスペース等で私の存在を知っている方だった。

 二次会で松竹氏や女性市議を含め話し込みその席上で松竹氏は、「僕は志位さんと抱擁したい」と発言し、その女性市議は活動のモットーを「私は革命とかではなく、『すべてを包み込む愛』です」と話してくれた。

 翌日の2月16日に前週に続いて志位氏の定例記者会見が行われた。記者会見では防衛問題も重要テーマだったが、やはり関心の半分は松竹氏の問題である。

 私は志位氏に、

 「松竹氏に昨日会ったが、和解したい意向だ。志位委員長と『出来れば抱擁したい』と言っている。仲介人を立てる気はないか?」

と尋ねるが、

 「それは、彼が今の立場が根本的に間違っていたと彼が言うなら別だが、今彼がやっていることはまさに、私たちの党に対する攻撃とかく乱だと考えている」

 とかたい表情で述べた。特に私が「昨日松竹氏に会った」と述べた際には、明らかに不快感を表情に浮かべた。

 「昨日、松竹さんのミニ集会に御党の市会議員が来ていた。彼女は活動のコンセプトを『革命とかではなくすべてを包み込む愛』だと言ってました。どうか『包み込む愛』で松竹さんを…」

 と尋ねると、志位氏は「クスリ」と苦笑いを浮かべ、一瞬その場が和んだ。しかし、志位氏の返事は、

 「それは、まあ今お答えした通りです」

 と除名処分を変更する気はないという返事であった。だが、「根本的に間違っていたと言うなら」という条件付きとは言え、“和解”の言質を得たのは一歩前進ではないかと思えた。その日の産経新聞(ネット配信)がこの回答を記事としてクローズアップした。

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文春新書 2023年1月19日発売 税込990円

 こうしているうちに、松竹氏のみらず様々な共産党員やシンパなどから情報が寄せられた。驚いたのは、「3月5日の統一地方選に向けて、京都市で志位さんの遊説があるが、京都の共産党が宣伝ビラを印刷しない動きもあるらしい」という情報が共産党に詳しい筋から入ってきた。

 「京都市南地区が除名処分の判断をしたことになっているが、実際は党中央主導で除名処分は行われた」という情報もあった。

 鈴木氏が未だに処分を受けないのは、同氏が京都府における同党の最大拠点校である立命館大学の出身で「立命閥」を掌握しているからではないかとのことだった(松竹氏は長崎県出身で一橋大学だから京都では外様である)。

 京都府委員長らを凌ぐ実力者であり、立命館後輩の穀田恵二氏(京都1区選出・同党国対委員長)も学生時代からの付き合いの上に、選挙等にお世話になりっぱなしのため鈴木氏に対し弱い立場らしい。

 なお、鈴木氏はこの遊説に抗議の意思を込めて参加するという。ほかにも「京都府委員会は副委員長の市田派と鈴木派に分かれてにらみ合っている」という説もある。事実だとしたらすでに分裂的様相を呈しているとも言える。

 実は2月9日の志位氏の記者会見に穀田氏が同席していたので少し会話をしたが、私が松竹氏と接したことを話すと驚いた表情をしつつも「ご自由にどうぞ」と発言した。

 私は個人的意見として「穏便に解決願います」と言ったら「ハイ・・・」と弱々しい返答をしてきた。穀田氏はかなり疲弊しているように見えた。大学の先輩でもある鈴木氏と党首である志位氏の板挟みに遭っているという状況が、取材を通してわかり納得できた。

 あるマスコミの調査によると党中央勤務員でも志位擁護派は少数で、大半は「松竹氏を支持する」ないし「松竹支持ではないが、志位さんは酷い」という意見だそうである。松竹氏のミニ集会に参加した関西の女性市議の地域も似たようなもので、志位氏を絶対擁護する党員は少数派らしいとのことだった。

 なお松竹氏はあくまで「党規約」第55条の明文である「被除名者が処分に不服な場合は、中央委員会および党大会に再審査をもとめることができる」という規定に従い、来年の党大会で除名不当の再審査求める意向である。
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角田 裕育(政治経済ジャーナリスト)
1978年神戸市生まれ。大阪のコミュニティ紙記者を経て、2001年からフリー。労働問題・教育問題を得手としている。著書に『セブン-イレブンの真実』(日新報道)『教育委員会の真実』など。
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