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谷内訪中、日中間の激論5時間半のなぞ

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安倍首相は抗日記念日式典に出席か

公開日: 2015/07/23 (政治)

Attribution License 北京の釣魚台迎賓館=Attribution License

五味 洋治 (東京新聞論説委員)

 北京市内にある釣魚台迎賓館は、うっそうとした樹木に覆われている。迎賓館というよりは、公園のような趣きだ。7月16日、ここを1人の日本人が訪れた。

 国家安全保障会議(NSC)の谷内正太郎国家安全保障局長だった。外交のトップである楊潔篪国務委員(副首相級)が中で待っていた。会議の冒頭の写真撮影が許可され、2人はカメラマンの求めに応じて握手をし、会談場のドアが閉められた。

 それから会談は延々5時間半にわたって続いた。会談後、日中が「ハイレベル政治対話」を開くことで合意したと発表されたが、これだけでは会談時間が長すぎる。

 今日本のメディアは、「5時間半」の中身を懸命に追いかけている。この会談に、今後の日中関係だけでなく、安全保障関連法案への批判を受け、支持率急落に苦しむ安倍政権の今後がかかっているとみているからだ。

 安倍晋三首相は9月3日に北京で開かれる「抗日戦争勝利記念日」前後に訪中し、習近平主席と首脳会談を行うことを前向きに検討しており、これについて何らかの意見交換があったのは間違いない。

 23日付の毎日新聞がヒントを1面で報道した。記事によれば、「式典に参加しない場合でも、靖国神社を参拝しないなど3条件を受け入れれば訪中を受け入れるとの条件を示した」という。

 私が中国政府に近い研究者から聞いたところでは、確かに2人の間では激論が交わされたものの、中国側からの明白な条件提示はなかった。

 逆に谷内氏が「抗日戦争勝利記念日」のイベントの一部に安倍首相が出席することを提案。楊氏にイベントの中身を質し、日本を批判する部分がないか慎重に確認したという。順調に行けば安倍首相は3日に訪中、翌4日に首脳会談を行う手はずだと、その研究者は話した。

 記念日のイベントは4つに分かれている。記念集会、軍事パレード、レセプション、文藝の夕べだ。中国の軍事拡大を批判している安倍氏は、もちろん軍事パレードに出るわけにはいかないが、他のイベントには内容次第で出席できる。

 23日都内で記者会見した程永華駐日中国大使も「招待された首脳は、軍事パレードに出なければならないのか」と質問され、「各国首脳の日程もある」と微妙な答えをした。
 日程を理由に遅く北京に入り、問題のないイベントだけに出てもいいというニュアンスにも受け取れた。

 イベント出席が実現すれば、日本側が大幅に譲歩したことになる。順番から言えば、今回は中国の首脳が日本に来る番だ。そこをわざわざ安倍氏が訪中する。しかも、国内の保守層の批判を浴びる覚悟で、「抗日戦争勝利記念日」という反日的な式典に出るからだ。
 
 そもそも中国は、安倍訪中を期待している。中国は9月に習主席の訪米が控えているからだ。中国が進める南シナ海の岩礁埋め立てに、米国は厳しい反応を見せている。しかし、訪米直前に日本との首脳会談を実現すれば、オバマ政権の対応も緩やかになるのは間違いない。
 一方安倍政権も「戦争を招く」との批判を浴びている安全保障関連法案の趣旨について、首脳レベルで隣国の中国側に伝えたと説明できる。

 日本政府は谷内訪中直後の22日、中国が東シナ海で新たなガス田開発を進めているとした写真公表に踏み切った。
 安倍政権としては訪中で譲る姿勢をみせているので、中国を多少怒らせてみようという「瀬踏み」の意味があったのかもしれない。

 9月3日まではあと1か月あまり。安倍訪中をめぐる両国のせめぎ合いは、今後激しさを増しそうだ。

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五味 洋治(東京新聞論説委員)
1958年生まれ。中日新聞社入社後、韓国延世大学留学。ソウル支局、中国総局勤務を経て、米ジョージタウン大学にフルブライトフェローとして在籍。著書に「父・金正日と私ー金正男独占告白」など。
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