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周到に準備された安倍辞任

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投げ出し批判の回避狙う、衆院解散が視野に

公開日: 2020/08/28 (政治)

Reuters Reuters

土屋 直也 (ニュースソクラ編集長)

 安倍首相が28日夕、記者会見し辞任を表明した。祖父の岸首相の実弟、佐藤栄作首相を総理大臣連続在職日数で月曜日に抜いたばかり。最長在職日数の記録を塗り替えて首相を辞任した。

 28日の会見をセットした火曜日以降、かなり近い政治家へも首相周辺から「続投」宣言になると伝わっていた。そのため永田町では辞意表明に驚きの声を上げる人が多かった。だが、振り返ってみれば周到に準備された辞任だった。

 最側近の菅官房長官、今井秘書官を中心に練りに練った辞任日程からは、第一次政権のときのような「投げ出し辞任」の批判を避け、有終の美を飾らせることに腐心していたのがよくわかる。病気が重いことを検査日帰り入院などを繰り返して浸透させた。

 今日も新型コロナ対策を纏め上げる日とし、次期首相選出までの政治空白が生まれても内政上の非難が起こりにくいように仕上げた。辞任表明の日にあわせてコロナ対策もまとめるよう調整したものと思われる。

 辞任が28日だったのは外交上の最大の盟友と位置づけてきたトランプ米大統領への配慮もあった。トランプ氏の共和党の大統領選候補の受諾演説が終わる日を待った形になった。

 外交上の配慮は関係は微妙だが大切な隣国である中韓への目配りもしている。

 中国に対しては尖閣に漁船が押し寄せて事実上の占拠状態になることを強く警戒していたが、それが杞憂に終わって辞めやすい環境ができた。韓国との間では、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)継続が決まるのを待っていた。どちらも緊張感はまだまだ高いものの、落ち着きを感じさせる国際環境のなかで辞任を選択したといえるだろう。

 病気の悪化は昨年末ごろから続いていたが、本当に辞任もやむなしとなったのは7月に執務室で倒れたところからだった。政治成果をめざした憲法改正、北方領土返還、拉致問題解決に打開の道筋がたたず、さらには五輪の延期が決まって、もはや続ける気力は残っていなかったとみられる。それがストレスが左右しやすい病状にも影響したのだろう。

 水面下での「辞任止む無し」が固まって以降は、長期政権らしい危機管理のうまさが目立ったと思う。辞め方への批判が出にくい日程、環境管理は見事だった。それは安倍氏へのはなむけであると同時に、政治の安定を海外にも感じさせている点で大切なことだったと思う。

 今晩からは自民党内の派閥の動きが活発化するのは間違いない。安倍首相は会見で後任選びには口をだすべきでないと思っていると述べた。

 ひとついえることは自民党という立場にたてば、9月の衆院解散を決めてもおかしくない環境にあることだ。経済は悪化しており、選挙に有利な環境とはいえないが、来年に先送りしても有利になるとは限らない。衆院解散は次期首相の判断しだいだが、それも選択できる時期を選んで辞任したように見えてならない。
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土屋 直也(ニュースソクラ編集長)
日本経済新聞社でロンドンとニューヨークの特派員を経験。NY時代には2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった1991年の損失補てん問題で「損失補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年、日本経済新聞社を退職、ニュースソクラを創設
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