広域暴力団山口組の1年の締めくくりと新年のスタート告げる「事始め」が、12月13日、山口組総本部(神戸市灘区)で執り行われる。
全国から直系組長が集まり、親分の司忍六代目から盃をもらい、新年の決意表明、親分からの訓示などがある。
山口組にとって2014年の最大の出来事は、高山清司若頭が恐喝事件の上告を取り下げ、6月に収監されたことだろう。
ナンバー2の不在が5年以上、続くが、山口組執行部は、高山若頭の跡目を継いだ竹内照明・三代目弘道会会長を、11月5日に開かれた年内最後の定例会で幹部に昇格させ、司体制を固めた。
内部の引き締め強化と他の組織に対する平和外交路線で、警察当局からの“弾圧”に備えている山口組だが、環境は厳しくなる一方である。
山口組元直系組長が明かす。
「驚くほど組員が減った。もう、実働部隊は5000人ぐらいしかおらんのと違うかな。これからも減ることはあっても、増えることはない」
衝撃的な数字である。
警察庁が、14年3月6日に発表した暴力団構成員の数は2万5600人。このうち最大規模の山口組は約45%の1万1520人である。
ただ、それは籍だけ置いている組員も含めた警察の机上の計算。実際にしのぎを持ち、構成員として認知されるような活動を行っている組員数は半数にも満たない。
なぜ、そうなってしまったのか。
「ひとことでいえば、暴力団では食えん。昔は、山口組の代紋で仕事も出来たし、カネも取れた。でも今は、代紋があったら逆に仕事ができない。離れて行くのも当然や」(前出の元組長)
92年に施行された暴力団対策法の度重なる改正。そして11年10月に全国施行された暴力団排除条例は、確実に暴力団の息の根を止めつつある。
暴力団構成員であるというだけで、銀行口座を持てず、部屋を借りられず、ゴルフが出来ず、飲みにも行けないような環境では、新規に暴力団に入るような若者はおらず、高齢化は進む一方だ。
この傾向は、15年以降も続き、「事始め」を始めとする暴力団特有の儀式と義理事は残るものの、暴力団そのものは衰退していくのだろう。