現在も14ー45歳の約20%が陽性という高率です。
新型コロナウイルスがHIV感染者の体内に入り長期化すると、様々な変異が重なり、今回のオミクロン株のような多数の変異を持った感染性の高い変異株が生じやすくなるとも言われています。いわば、HIVがオミクロン株の温床になっている可能性もあります。
もともと南アは医療体制等が不十分で新型コロナ感染が生じ、ワクチン接種も十分に進んでいない。そんななかで、HIVの検査、治療もさらに困難になっているようです。
一方、新型コロナウイルス・ワクチンで成功したmRNAワクチンは、HIVワクチンとしても研究開発が進められています。ぜひ実用化が進むことを期待しますが、こんなところにも新型コロナウイルスとHIVは関連性があるといえます。
ところで12月1日は世界エイズデーで、我が国でも全国の自治体等で様々なイベントが行われました。しかし、コロナ問題に圧倒され、マスコミでの世界エイズデーの扱いはとても地味でした。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)によれば、2015年以降2020年までに新規HIV感染者は350万人増加し、エイズ関連の死者は82万人増加しました。いまだに世界的に大きな問題です。
今やHIV感染は、適切に治療が行われれば死の宣告ではなく、慢性的とはいえ、対処可能な病気となっています。UNAIDSはHIVの新たな感染ゼロ、差別ゼロ、エイズ関連死者ゼロのビジョンを掲げて、様々な国際組織と連携して活動しています。
世界ではまだHIV感染が拡大し、十分な医療も受けられない地域が多く見られます。そのひとつがオミクロン株が初めて発見された南部アフリカだったわけです。
HIV感染症は感染者の免疫力の大きな低下をもたらします。また、治療を行っていてもウイルスの増殖を抑制することが主体で、免疫力は基本的に低下したままです。

我が国での2020年1年間の動向としては、HIV感染者は750件、AIDS患者は345件であり、合わせた新規報告数は1,095件でした。累積では、HIV感染者22,489件、AIDS患者9,991件で計


2020年は新型コロナの影響で保健所は疲弊し、HIV感染者もなかなか相談に行けなかった可能性があります。2020年は感染者が減少したのに対し、患者数は2019年よりもやや上昇していることは、その表れかもしれません。
発見の遅れは、その間の感染拡大の可能性と共に、治療にも影響する可能性があるため、今後の動向が懸念されます。
HIV・エイズと新型コロナは予想外のところで関連があるようです。
新型コロナのワクチン接種の推進、HIV対策の推進とHIVワクチンの開発など、医療体制の充実を含め、総合的にグローバルな視点で進めていく必要があります。
また、HIVばかりか結核、がんや生活習慣病なども含めて、コロナ下といえども早期発見は非常に重要です。安易に先送りせず、適切なタイミングで受診したいものです。