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日本のワクチン体制、欧米に大きく後れ

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【医学者の眼】接種の遅れにはデータ分析できる効用も

公開日: 2021/02/22 (ソサエティ)

Reuters Reuters

 ようやく、我が国でも新型コロナワクチンの接種が始まりました。

 米国ではすでに2か月前から始まっており、なぜそんなに遅いのかなどの声もあります。

 一方で今回のワクチンが、遺伝子を利用した初めての製剤であることもあり、また十分な期間の評価を経ていないのではないかなど、その安全性についての懸念の声も聞かれます。

 これまでのところ、開始した各国では重大な副反応なども多くはなく、順調に接種が進んでいるようです。

 ところで新型コロナウイルスの感染状況は、昨年秋頃以降、感染力の強い変異株の出現もあり欧米で急拡大したものが、各国のロックダウンなどの強力な措置もあってか、最近では急速に鎮静化し始めています。

 こうした動きとほぼ同時期に予防接種が始まったので、感染鎮静化の原因は分かり難いかと思われますが、何れにしろ良い方向に向っているのは間違いありません。

 活動性の感染者が増えれば増えるほど、新たな危険な変異株の出現も増すと考えられるので感染者は減らす必要がありますし、感染が沈静化したらワクチンは必要ないということではなく、減った時にワクチンで新たな感染や重症化を予防することは、次の波を含め一段と対策の抑制効果が増しますし、医療提供体制の負担を軽減することにもつながります。

 我が国の接種の進め方は、先ず約4万人の医療関係者に接種し、その副反応など詳細なデータを検証しつつ、高齢者から一般に広げていくというものです。

 これは製剤の我が国への今後の搬入状況がまだ確定していないことなどもあり、時間がかかることになっていますが、医療関係者で時間をかけて検証するという戦略は、今回のワクチンが世界でも初の遺伝子ワクチンであることや、欧米でもその認可に必ずしも十分な時間がかけられていないことなどを考えれば、当分はソーシャルディスタンスなどの対策の継続は必要ですが、患者数の少ない我が国でも評価するためには賢明な方法であると思われます。

 欧米で多数の接種がされていれば、今さら日本で評価する必要はないのではないかとも思われますが、ワクチンが人種によってその効果や副反応の出方に差があり得ることはこれまでの他のワクチンの経験などからも分かっており、適正な接種量などについても我が国としての評価が求められます。 

 我が国のワクチン対策については、天然痘ワクチンによる脳炎、インフルエンザワクチンの効果への疑問、MMRワクチンによる無菌性髄膜炎などの問題から、1994年に予防接種法が改正され、義務接種、集団接種から個別接種、積極的勧奨と努力義務になり、ワクチン暗黒の時代とも呼ばれるように、大きく後退しました。

 こうしたことの結果、インフルエンザワクチンの接種は激減し、主要ワクチンメーカも撤退することとなり、我が国のワクチン体制は欧米に大きく遅れをとることになりました。(ワクチン・ギャップ)

しかし、最近になって、我が国でもワクチンの先進的な研究開発が進められるようになってきました。

 今回の接種も含めて、新型コロナ対策が順調に進むためには、ワクチンに対する国民の理解と納得が不可欠です。そのためには、適切な情報提供、情報開示とリスクコミュニケーションが必要です。

 新型コロナワクチンをきっかけに、ワクチン・ギャップの解消が一層進むことを期待したいと思います。

 参考:「新型コロナ 7つの謎 最新免疫学から分かった病原体の正体」宮坂昌之著 (ブルーバックス)はワクチンを含む様々な問題について、最新の知見から分かり易く解説しています。

中島 正治 (医師、医学博士、元厚労省局長)

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中島 正治(医師、医学博士、元厚労省局長)
1951年生。76年東大医学部卒。外科診療、医用工学研究を経て、86年厚生省入省。医政局医事課長、大臣官房審議官(医政局、保険局)、健康局長で06年退官。同年、社会保険診療報酬支払基金理事、12年3月まで同特別医療顧問。診療、研究ばかりか行政の経験がある医師はめずらしい。
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