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ワクチンに頼りきれない、不便でも対応継続の覚悟を

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【医学者の眼】政府は適切な情報提供を、医療体制の脆弱なぜ

公開日: 2020/12/11 (ソサエティ, コロナ(国内))

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 最近の我が国のコロナ感染状況は、連日2000名を超える新規感染者が生じ、死者も1日30名前後に増加するなど、これまでの波を超える規模になってきています。

 また、首都圏など都市部中心だったものが、地方に拡散して増加していることもこれまでとの違いで、今後さらに拡大するという予測もあります。治療に当たる医療機関も対応の限界に近づいているとして、今後が憂慮されています。

 一方、都市部や観光地の飲食業などは自粛の影響で閉店、倒産が急増しており、経済の速やかな回復が求められています。こうした状況で、各自治体は危機感を募らせ、独自の対応を取り始めていますが、国は比較的冷静?にGoToキャンペーンの継続など、ねじれの印象も持たれます。

 世界に目を向ければ、米国はここ連日一日の新規感染者が20万人を越え、死者も1日に3000人に迫り、なお増加傾向です。なんと我が国の約100倍、人口対比でも30倍程度という恐ろしい状況です。医療先進国の米国で、ここまで広がってしまったのは大統領選挙やBLM運動等に伴う混乱も影響しているのでしょうか?

 欧州ではやや先んじて大きな第2波に襲われましたが、ほぼピークは過ぎた感があります。しかし依然として高値で、クリスマス、年越しの混雑の時期を迎え、再度の拡大を阻止すべく各国は移動や営業の制限を厳しくしています。 

 こうした状況下で、様々な議論がやや錯綜しているので整理してみました。

 まず、マスコミはGoToキャンペーンを取り上げ、経済か感染防止かという二者択一を迫り、一部の専門家も先ずは感染防止だというようなコメントをしますが、GoTo問題に矮小化して良いような状況でないことは明らかです。

 感染防止のための営業自粛、外出手控えなどにより特に余力の少ない中小企業、自営業者、非正規職員などの生活に、自殺の増加なども含め大きな影響が出ています。

 一方、規制・自粛をかけるかどうかは別として、感染症が治まらなければ様々な営業が回復しないことも事実で、両者のバランスをとりながらコロナ後の社会経済の回復過程も想定しつつ進めていく必要があります。

 新型コロナ感染症の実態は次第に分かってきており、これに対する対処・治療法も改善されてきています。依然として高齢者に特異的に重症化、死亡が多いことは変わりないのですが、例えば80歳以上の感染者死亡率は当初の30%程度から、最近は15%程度まで改善してきています。

 これは、新たな治療薬の他、早期発見・治療などの効果もあると思われます。

 伝搬様式についても解明が進み、カラオケなどの他、多人数での会食を避ける、マスク着用などの効果も明らかになっています。

 ワクチンの開発も加速し、既に接種が始まった国もあります。しかし、今回のワクチンは新たな遺伝子ワクチンで、膨大な数の接種は世界で初めてであることを思えば、医療関係者や高齢者などの緊急を要する人は別として、そのリスクも注視しながら進めていく必要があります。

 何れにしろ、ワクチンによる予防の道が開かれつつあることは明るいニュースです。

 以上を踏まえて、現状で国民はどうすれば良いのでしょうか。

 この感染症が基本的に人から人へ移っていくことを考えれば、マスクやソーシャルディスタンス、在宅勤務などの基本的な感染予防を今後も各人が確実に実践することが、最も重要です。それによって感染が大きく抑制されるので、社会活動は相当程度回復できます。一方で、高齢者や基礎疾患をお持ちの方はリスクがまだ高いので、特別に慎重な対応が求められます。

 対策の程度の判断は、重症化に対する医療提供体制の状況によりますが、現状の我が国の感染レベルで医療体制が危機的状況というのは、欧米との比較ではあまりにも脆弱と思われ、その原因の解明と必要な支援などで早急に対処してほしいものです。

 そうはいっても、今現実に各地で医療がひっ迫しているのは事実で、今後さらに拡大する可能性もあることを考えれば何とか現状レベルで食い止めないと、一般医療まで大きな影響が出てより大きな犠牲が生じる恐れがあります。

 治療法の進歩とワクチンの効果に期待しつつ、感染防止を続けることになりますが、ワクチンを我が国で広く接種できるのは、来年の半ば以降になると思われます。また、その後も慎重に経過を見ていく必要があります。また、ワクチンを打ったから絶対大丈夫ということにもならないので、基本的な感染防止措置は当分の間は継続する必要があり、持続可能な対応とすべきと思われます。

 我が国や韓国、中国などアジアの国々は欧米に比べ感染の程度が低いですが、原因はまだ分かっておらず、今後ウイルスの変異などもあり、欧米のような流行にならないとも限りません。こうしたことを考えれば、当面、我が国でもこの年末年始は、ひたすら感染拡大防止を最優先に過ごす他ないと思われます。

 また、国民自身による十分な対応を促す意味で、適切な情報提供は不可欠です。残念ながら現状では、公的機関からの情報提供は大量、複雑、難解過ぎたりなどで必ずしも利用しやすいものになっていません。国民に分かり易く信頼されるリスクコミュニケーションについて、ぜひ検討していただきたいと思います。

中島 正治 (医師、医学博士、元厚労省局長)

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中島 正治(医師、医学博士、元厚労省局長)
1951年生。76年東大医学部卒。外科診療、医用工学研究を経て、86年厚生省入省。医政局医事課長、大臣官房審議官(医政局、保険局)、健康局長で06年退官。同年、社会保険診療報酬支払基金理事、12年3月まで同特別医療顧問。診療、研究ばかりか行政の経験がある医師はめずらしい。
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