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コロナワクチン 接種をする人、しない人

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【尊厳ある介護】ワクチンハラスメントなど同調圧力は警戒を

公開日: 2021/07/14 (ソサエティ)

Reuters Reuters

里村 佳子 (社会福祉法人呉ハレルヤ会呉ベタニアホーム理事長)

 「過去予防接種を受けてアレルギー反応が出たのですが、コロナワクチンを打たなくてはいけませんか」

 私が一人でいると、介護スタッフがやって来て顔をこわばらせて尋ねました。

 「接種するかどうかは任意なので、心配だったら主治医に相談してみたらどうですか」と話すと、「主治医は私の既往歴を考えて、打たなくても良いと言われました」と、答えます。

 「くれぐれも体調管理に気をつけて、何か変わったことがあれば遠慮なく申し出てくださいね」と言うと、笑顔になってその場を去りました。

 私たちの職場では国の説明とおり、「ワクチン接種は強制ではないので、自分の意思に基づいて受けてください」と、スタッフの皆さんには伝えています。

 それでも聞いてきたのは、施設で集団接種をすることになり、ほとんどのスタッフや利用者がワクチン接種を希望したので、接種できない自分の理由を誰かに分かっていて欲しかったからでしょうか。

 利用者に直接関わる介護スタッフは、感染源になってはならないという目に見えないプレッシャーを常時受けています。なのに、追い打ちをかけるように、ワクチンを打てないあるいは打たないことで孤立すると、職場を去ってしまう懸念があります。

 実はこのような傾向はスタッフだけではありません。

 施設利用者の新垣ヨネ子さん(仮名83歳)は、事務所に来て小さな声でおっしゃいました。

 「私はいろんな病気を持っているので主治医に相談したら、国産のワクチンが出るまで、もう少しようすを見なさいと言われました。必ず国産のワクチンは接種しますのでもう少し待ってください」。

 また、利用者の岡山春広さん(仮名85歳)は基礎疾患と薬のアレルギーがあります。日頃からくしゃみや鼻水が出るので、通院していますが完治していません。

 他の利用者から「コロナが怖いので、くしゃみや鼻水の治療をきちんとして欲しい」と言われ、随分落ち込んでいらっしゃいました。

 だから岡山さんから「ワクチンを接種したい」と言われた時は、「お薬手帳を持って、必ず主治医に相談してください。」とお伝えしました。

 当然ですが、施設利用者に対してワクチン接種を強要していませんが、ワクチンを打てない人や打たない人は、肩身が狭い思いをされています。

 他方でワクチン接種を希望されないご家族もいます。

 利用者の吉谷文広さん(仮名95歳)は病弱でほぼ寝たりきりでした。外出する利用者よりは感染リスクは低いのですが、スタッフなどがコロナウイルスを持ち込んだ場合は重症化する怖れはあります。

 そのリスクと、基礎疾患を複数抱えているのでワクチン接種すると一般的な副反応でも生命に危険が及ぶリスクを、秤にかけて判断されたのです。

 感染拡大を顧みない自分勝手な意見だとお叱りを受けることを覚悟して書くと、私は情報を充分精査し、周りに流されないで自分の体調や考えを優先して、ワクチン接種の選択をしてほしいと願っています。

 なぜなら、その選択の結実は自分で刈り取ることになるからです。

 実際ワクチン接種をした高齢者が40度以上の高熱が出てハラハラした例がありました。また、接種後体調不良を訴えて亡くなられた方もいました。お医者様は接種が原因ではないと言っておられましたが、ご家族は後悔されているようでした。

 少し前から「ワクチンハラスメント」や「同調圧力」という言葉を耳にするようになりました。私はワクチン否定派ではありませんが、多数派の意見や考えが正義になって、少数派の声が無視される社会には生き辛さを感じます。

 ワクチンを接種する人もしない人も、お互いを認め合えるそんな明日がくるよう、小さな声でもあげていきましょう。

(注)事例は個人が特定されないよう倫理的配慮をしています。
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里村 佳子(社会福祉法人呉ハレルヤ会呉ベタニアホーム理事長)
法政大学大学院イノベーションマネジメント(MBA)卒業、広島国際大学臨床教授、前法政大学大学院客員教授、広島県認知症介護指導者、広島県精神医療審査会委員、呉市介護認定審査会委員。ケアハウス、デイサービス、サービス付高齢者住宅、小規模多機能ホーム、グループホーム、居宅介護事業所などの複数施設運営。2017年10月に東京都杉並区の荻窪で訪問看護ステーション「ユアネーム」を開設。2019年ニュースソクラのコラムを加筆・修正して「尊厳ある介護」を岩波書店より出版。
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