• tw
  • mail

カテゴリー

 ニュースカテゴリー

  • TOP
  • 独自記事
  • IT/メディア
  • ビジネス
  • ソサエティ
  • スポーツ/芸術
  • マーケット
  • ワールド
  • 政治
  • 気象/科学
  • コロナ(国内)
  • コロナ(国外)
  • ニュース一覧

社会福祉法人 コロナで鎖国時代

あとで読む

【尊厳ある介護(102)】地域に開放されていた施設が閉鎖的に 感染地域では利用者戻らず

公開日: 2020/06/17 (ソサエティ)

CC BY CC BY / Ivan Radic

里村 佳子 (社会福祉法人呉ハレルヤ会呉ベタニアホーム理事長)

 前回新型コロナウイルスによって、福祉介護施設のコミュニケーションや介護の方法が変わったと書きましたが、変わったのはそれだけではありません。

 パラダイムシフトは社会福祉法人の在り方にもおよんでいます。

 これまで、私たちは地域に貢献するため施設を開放するとともに、災害時はセーフティーネットとしての役割を果たすよう取り組みました。

 地域住民と一緒に夏祭りなどのイベントを行ったり、認知症予防カフェの運営、ボランティアや研修生の受け入れを積極的に実施してきたのです。災害時には地域住民の入浴支援やボランティアの宿泊施設として施設を開放しました。また、福祉避難所として行政と協定を締結しています。

 しかし、それが新型コロナウイルによって中断されたのです。

 施設に感染を持ち込まないためには、地域の人をシャットアウトしなければなりません。なので、もしこの時期被災していたら、セーフティーネットとしての役割をとうてい全うできなかったと思います。

 振り返ると、社会福祉法人は措置制度の下、利用者の確保と措置費を保証されていました。ところが、介護保険制度の創設などに伴い、利用者がサービスを選択する契約制度へ変更されました。

 措置制度で保護されていた私たちですが、介護保険制度によってさまざまな業種の人たちが参入してきて、環境は激変しました。

 社会福祉法人は解き放たれて、競争の荒波にのまれていったのです。それなのに、現状は解放から閉鎖に逆戻りし鎖国状態です。

 社会全般が閉鎖的になっているので、違和感がなくなりつつありますが、閉鎖が長引くと自由と意欲を奪います。

 施設の利用者は外部の人との接触がなくなって、施設の人間関係や生活がすべてとなり、一層閉鎖的な生活を強いられています。

 スタッフは意識やパワーが内向きになると、感染を防ぐことが優先し、利用者を自分たちのペースで管理することに鈍感になります。

 管理された利用者はストレスをためこむようになり、不安や妄想などになって表れ、新型コロナウイルスで張りつめたスタッフの神経を刺激します。

 すると、虐待や不適切なケアに陥る危険性さえあるのです。

 解決方法の一つは、職場の人間関係の3密を避けることです。

 こまめな報告、連絡、相談で風通しの良い環境を整えて密閉を防ぎ、特定のスタッフや考えに密集をしないよう多様な意見を受け入れ、人間関係が密接になり過ぎないよう適切な距離をとることです。

 もう一方で深刻なのは、デイサービスなどの事業所の規模の縮小や閉鎖の連鎖です。

 クラスターが出た地域では、コロナショックで利用控えが起こり、感染が収まりサービスを開始しても、利用者が施設に戻って来なかったとお聞きしました。

 施設は感染で疲弊し、経営の悪化でダブルパンチです。今後、介護保険事業の新規参入にも抑制がかかるのではないでしょうか。

 加えて懸念しているのは、介護サービスを利用しなくとも生活できるという、既成事実が一人歩きをして、次期介護保険制度改正に悪影響を与えることです。

 ですが視点を変えて考えると、閉鎖の波は悪いことばかりを運んできたわけではありません。

 必要にかられ、ウエブ会議を取り入れたことで、朝礼や研修、利用者と家族の面会にオンラインを活用することが可能になりました。遅れていたICT化が駆け足でやってきたのです。

 また、フライデーオベーション(新型コロナウイルスの感染リスクと背中合わせで働く、医療介護事業者に毎週金曜日に感謝の拍手を送る取り組み)で、医療と肩を並べて介護の働きも認められたことは画期的でした。

 デイサービスやショートステイは、新型コロナウイルス対応で介護報酬の上乗せが認められました。加算を取るには複雑すぎて愚痴りたくなりますが、そこは私たちの評価として素直に喜びましょう。

 悲喜こもごもの中(悲の方が多いのですが)これから徐々に施設を開放していく予定ですが、以前のように全開というわけにはいきません。まずは、既成の価値観を再構築し、開放のステップを考えましょう。

 利用者の目線を最優先して。
続報リクエストマイリストに追加

以下の記事がお勧めです

  • 【尊厳ある介護】 介護現場はコロナ前には戻れない

  • 【尊厳ある介護】 一番怖い集団感染 スタッフ不足で施設崩壊も

  • 里村 佳子のバックナンバー

  • 福島の処理水問題 中韓台で激しい反発

  • ワクチン接種でも日本は後進国

  • トヨタとスバルが新型スポーツカー発売へ

  • 2009年の新型インフル・ワクチン輸入でも技官が嘘つき抵抗

  • プロフィール
  • 最近の投稿
avator
里村 佳子(社会福祉法人呉ハレルヤ会呉ベタニアホーム理事長)
法政大学大学院イノベーションマネジメント(MBA)卒業、広島国際大学臨床教授、前法政大学大学院客員教授、広島県認知症介護指導者、広島県精神医療審査会委員、呉市介護認定審査会委員。ケアハウス、デイサービス、サービス付高齢者住宅、小規模多機能ホーム、グループホーム、居宅介護事業所などの複数施設運営。2017年10月に東京都杉並区の荻窪で訪問看護ステーション「ユアネーム」を開設。2019年ニュースソクラのコラムを加筆・修正して「尊厳ある介護」を岩波書店より出版。
avator
里村 佳子(社会福祉法人呉ハレルヤ会呉ベタニアホーム理事長) の 最新の記事(全て見る)
  • 【尊厳ある介護】応援側にも経験値というメリット -- 2021年4月11日
  • 【尊厳ある介護(122)】躊躇せずセカンドオピニオンを -- 2021年3月23日
  • 【尊厳ある介護(121)】言葉にできない認知症患者に過去が逆襲することもある -- 2021年3月10日
Tweet
LINEで送る

メニュー

    文字サイズ:

  • 小
  • 中
  • 大
ソクラとは 編集長プロフィール 利用案内 著作権について FAQ 利用規約 プライバシーポリシー 特定商取引法に基づく表示 メーキングソクラ お問い合わせ お知らせ一覧 コラムニストプロフィール

    文字サイズ:

  • 小
  • 中
  • 大
  • 一覧表示を切替
  • ソクラとは
  • 編集長プロフィール
  • 利用案内
  • 著作権について
  • メーキングソクラ
  • お知らせ一覧
  • FAQ
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー
  • 特定商取引法に基づく表示
  • お問い合わせ
  • コラムニストプロフィール

Copyright © News Socra, Ltd. All rights reserved