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オンラインで団結強まる チームワーク

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【尊厳ある介護(116)】全施設つなぎオンライン夕礼も実施

公開日: 2020/12/30 (ソサエティ)

写真はイメージ 写真はイメージ

 「先輩たちがいろいろ指導してくれるのは有難いのですが、教える内容が一致していないので困っています」と、介護スタッフ米沢佳美さん(仮名52歳)は、沈んだ表情で言いました。 定例の個別面談時でのできごとです。

 それだけならまだしも、指導する介護スタッフの言葉と口調に、自尊心がズタズタになって、仕事を続ける自信がなくなったそうです。

 米沢さんは前の職場ではリーダー的な存在でしたが、思い切って転職をし、私たちの施設に勤めるようになりました。

 何事にも尻込みせずチャレンジする姿勢に、私は可能性を感じていました。

 ところが、働きだして少し経った頃から、ネガティブな発言が見られるようになったので、心配していたのです。

 米沢さんの悩みを聞いて、私には心当たりがありました。

 「コロナで心に余裕がないのに、新しいスタッフに仕事を教えるのは骨が折れます」と、言っていたスタッフの言葉を思い出したのです。

 なので、すぐに管理者と話し合って、米沢さんに担当の指導者を付けて、迷ったり悩んだりした場合は相談できるよう配慮しました。

 加えて、念のため時期を早めて全スタッフを対象にハラスメント研修会を開きました。

 それから半年後、再び個別面談の時期が来ました。

 私たちの施設では毎年2回個別面談(非常勤のスタッフは希望者のみ)を実施しています。

 個別面談の目的の一つに、表出されていないスタッフの悩みや思いを汲み取って、ストレスを緩和したり、離職を防ぐことがあります。

 この度は新型コロナウイルスの感染を考慮し、対面の個別面談を実施するかどうか迷いましたが、反対にこのような時期だからこそ、面談の必要性を感じました。

 そこで、希望者には従来とおり対面の面談をし、それ以外のスタッフはオンラインで行うことにしました。

 最初はオンラインでは画面に遮られて、お互いの微妙な感情は伝わらないのではないかと、案じていました。

 実は、私は面談時にはスタッフの緊張が和らぐよう、まずは努力した点や評価できるところを認めて始めるようにしていたのです。

 さらに、本心は言語より非言語に表れるので、些細な表情の変化にも気を配っていました。

 ところが、実際にやってみると、スタッフの表情の変化や感情が画面越しでも伝わってきたのです。

 オンラインの方がリラックスできて、率直な話ができたというスタッフさえいました。

 オンライン面談の効果はそれだけではありません。

 以前は度々面談時間が長引いていたのですが、予定通りの時間で終了したのです。

 オンラインなので、私もスタッフも時間を意識して、話が横道にそれなかったことが一因です。

 一番懸念していたのは、コロナ禍のストレスが原因で出てくる退職希望者でしたが、おかげさまで取り越し苦労に終わりました。

 介護の仕事は感情労働なので、セルフケアが上手くいかないと、ストレスを溜め込んで、燃え尽きる人が少なくありません。

 今年は新型コロナウイルスによるストレスも重なって、スタッフはダブルパンチを受けています。

 そんなストレスフルな環境からスタッフを守るのは、チームワークです。

 チームワークを強固にするためには、日頃のコミュニケーションが基本なのですが、職場ではそのコミュニケーションの機会も減少しています。

 コロナ禍なので、親睦会などは全て取りやめ、休憩時間も密にならないよう時差で取っているのです。

 解決策として考えたのは、これまで拠点ごとに対面で行っていた夕礼を、全ての拠点(東京は除く)をつないでオンライン夕礼をすることでした。

 同じ時間に同じ情報を参加者全員共有できるので、団結力が高まりました。

 悩みを訴えた米沢さんですが、オンライン面談で「厳しく教えられたので、仕事を覚えることができました。今ではこのチームで働けて感謝しています」と、ふっきれた表情で話してくれました。

 その報告を聞いてどれほど嬉しかったことか。

 もし、個別面談を実施していなければ、大切なスタッフを失っていたかもしれません。

 (注) 事例は個人が特定されないよう倫理的配慮をしています。

里村 佳子 (社会福祉法人呉ハレルヤ会呉ベタニアホーム理事長)

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里村 佳子(社会福祉法人呉ハレルヤ会呉ベタニアホーム理事長)
法政大学大学院イノベーションマネジメント(MBA)卒業、広島国際大学臨床教授、前法政大学大学院客員教授、広島県認知症介護指導者、広島県精神医療審査会委員、呉市介護認定審査会委員。ケアハウス、デイサービス、サービス付高齢者住宅、小規模多機能ホーム、グループホーム、居宅介護事業所などの複数施設運営。2017年10月に東京都杉並区の荻窪で訪問看護ステーション「ユアネーム」を開設。2019年ニュースソクラのコラムを加筆・修正して「尊厳ある介護」を岩波書店より出版。
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