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8月後半から感染者数が減った4つの理由

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【舛添要一が語る世界と日本(109)】次期首相が採るべきコロナ対策は

公開日: 2021/09/28 (政治, ソサエティ)

CC BY-SA CC BY-SA /pyjeo

 19都道府県に発令している緊急事態宣言について、政府は全面的に解除する方針を固めた。

 感染の第5波は、8月20日が25,867人で最大であり、8月26日の24,955人から減少傾向が続いている。簡単に言えば、一日の感染者が2万5千人に達するような感染が8月25日頃でピークアウトしたと言ってよい。

 菅首相は9月3日に退陣を表明したが、8月26日以来、感染の減少傾向が10日間も続いており、尾身会長に率いられる現在の分科会とは異なる優秀な専門家を側に置いていれば、コロナ失政で辞めることはなかったのではないか。

 2009年の新型インフルエンザ感染爆発のとき、厚労大臣の私は尾身チームAに対して、神戸大学の岩田健太郎教授など若手の優秀な研究者からなるチームBを側近にしていた。両者の提案を見て、私はチームBのほうが正しいと判断したのでそちらを採用し、パンデミックの早期収拾に成功したのである。

 この1年半以上にわたるコロナ対策の失敗は、安倍・菅政権の責任であるが、政府に助言する分科会などの専門家集団の責任でもある。「検査と隔離」という感染症対策の基本原理を無視し、PCR検査を抑制してきたことから間違いが始まっている。その後も、対策が後手後手に回り、間違った対策を実行してきたのである。

 それをマスコミも無批判に垂れ流す。まさに大本営発表をオウム返しに伝えた戦前と何も変わっていない。

 そもそも、8月後半からなぜ感染者数が減っていったのか。専門家はきちんと説明できていないので、私なりに説明したい。

 第一に、ワクチン接種の効果である。

 2回接種完了者の感染を防ぐ効果はあり、また感染しても重症化したり死亡したりするリスクは激減している。その意味で、若い世代への接種のさらなる加速化が必要である。

 第二に、人流が減っているからという説明は無理である。

 事実を言えば、むしろ増えている。その点を指摘すると、外で飲食をしないなど人々の行動変容が理由だというが、盛り場では夜遅くまで若者が騒いでおり、この説明はあまり説得的ではない。

 そこで第三に考えられるのは、季節的要因である。

 昨年の感染の波を見ると、第1波は4月11日の720人が、第2波は8月7日の1605人がピークであった。今年に入って、第3波は1月8日の7955人がピーク、第4波は3月下旬から感染拡大し5月8日の7234人がピークであった。そして、7月から拡大した第5波は、先述したように8月25日頃にピークアウトしている。

 この季節的要因が重要だとすれば、寒くなる11月頃から年末年始に感染が拡大することが予想される。これが第6波となる。危惧されるのは、第5波以上に感染が拡大することである。

 第四に、変異株の影響である。

 とくに関西で感染が拡大した4波は、強力な感染力を持つアルファ株(イギリス株)が大きな役割を果たしたのである。そして、第5波の感染拡大は、アルファ株よりも感染力の強いデルタ株の影響が大きいと考えられる。

 これからも、ミュー株など、次々と変異株が現れ、それがワクチン接種効果を殺ぐような性質を持つことも想定せねばならない。

 そこで、今後のコロナ対策が問題となる。2回のワクチン接種を完了した人の割合を多い順に見ると、
①スペイン77.73%
②中国70.78%
③カナダ70.18%
④イタリア67.04%
⑤イギリス65.53%
⑥フランス64.96%
⑦ドイツ63.33%
⑧マレーシア59.44%
⑨日本56.11%
⑩アメリカ54.52%
――となっている。

 日本はアメリカを抜いて、ヨーロッパ先進国に近づいているが、とくに若い世代に対してワクチン接種の進んでいる欧州ではワクチン接種証明書や陰性証明書の提示を条件に、飲食店、イベントなどへの出入りを許可している。マスク着用義務もほとんど解除している。ワクチン効果で重症化や入院を阻止できるからである。こうして、経済との両立を図っている。

 日本もそのような方向を目指すべきである。政府は、イギリスで行われたような規制緩和の実証試験を行う予定であるが、早期に実施すべきである。

 さらには、特効薬の開発が期待されている。抗体カクテル療法療法もその一つであり、早期に行えば重症化しないですむ。今年中には経口治療薬も承認されるという。日本でも、WHOは推奨していないが、イベルメクチン、アビガン、カモスタットなどの既存の薬を使って治療効果を上げている例も報告されている。患者にとっては、どのような薬であれ、重大な副作用がなく、完治することが重要なのである。新薬やワクチンの承認の前提となる治験のあり方の改善が不可欠である。

 ワクチン効果で重症化する人が減れば、病床の逼迫なども減るが、第6波に備えて必要なのは病床の確保である。国立病院機構(NHO)や地域医療機能推進機構(JCHO)の病床の活用、公共施設を利用した臨時病院の設置など今から準備しておく必要がある。

 以上のような対応を採ることが次期首相の仕事である。

舛添 要一 (国際政治学者)

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