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PCR検査を怠ってきたツケ・・コロナ感染急拡大

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【舛添要一が語る世界と日本(65)】感染症対策は検査と隔離が大原則

公開日: 2020/11/24 (政治, ソサエティ)

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 新型コロナウイルスの感染が急拡大している。北海道、首都圏、関西などで過去最多の感染者数を出すなど深刻な状況となりつつある。医療資源が不足する事態も懸念されており、政府も重い腰を上げざるをえなくなったようだ。

 勤労感謝の日を含む三連休には、GoToキャンペーンを利用した観光客が大勢各地に繰り出し、医療関係者からは危惧する声が高まっている。そのため、政府もキャンペーンの見直しをすることにし、作業を開始している。北海道は札幌市を、大阪府は大阪市をキャンペーンの対象から一時除外する方針を固めたが、東京都や愛知県でも急速な感染拡大が懸念されている。

 GoToイートのキャンペーンも始まったが、飲食の際にはマスクを外さざるをえないので、当然感染拡大のリスクは高まる。欧米などで、感染が再拡大した原因の一つが、喋りながらの長時間にわたる会食である。とくに、アルコール飲料が入ると、この傾向が強まる。菅首相の勧める「静かなマスク会食」は、あまり現実的ではない。

 年初の感染拡大以来、政府は様々な対策を講じてきたが、春節における中国人観光客の足止め、ヨーロッパからの渡航制限、緊急事態宣言など、いずれも手を打つのが遅すぎた。経済への配慮からであるが、それがかえって感染を拡大させ、より大きな被害を経済に与えるという繰り返しであった。

 今回のGoToキャンペーンの見直しもそうである。安倍首相から菅首相にトップは代わったが、自民党一強の長期政権は続いており、官僚の忖度は変わらないし、政府が召集する専門家集団も基本的には「御用学者」の域を出ない。

 政府に批判的な専門家も入った複数のチームを作り、あらゆる角度から情勢を分析させるという姿勢が今でもない。これでは、専門家の存在意義はなくなり、政府に判断の材料を与えるどころか、政府の決定を後押しするだけの役割しか果たせなくなっている。

 対策を困難にしている最大の要因は、無症状者が感染させるという新型コロナウイルスの特性にある。アメリカのCDCによると、新型コロナウイルスの感染の多くは無症状者によるものだという。日本でも事情は同じで、感染経路不明者が増えている。

 つまり、市中感染が拡大しているのであって、クラスター対策だけでは限界があるのである。これまでは、クラスター対策が一定の効果を上げてきたので、政府は、それに安住して市中感染の拡大防止に熱心ではなかった。

 もちろん、国民がマスクを装着し、人との距離をとり、手洗いをするなどの感染防止対策を励行することは重要である。しかし、同時にPCR検査を徹底的に行う必要がある。

 世田谷区は、高齢者施設や保育園などで全職員を対象にPCR検査の実施を始めたが、特養で無症状の職員10人の感染が確認されたという。検査をしていなければ、彼らは業務を続けていたはずであり、高齢の入所者に感染させていた可能性は大きい。

 この世田谷方式を、検査反対論者は非難してきたが、11月17日、遂に、田村厚労相は医療施設や高齢者施設で一斉にPCR検査をするように指示した。遅きに失したが、やらないよりは良い。

 PCR検査が進まないのは、厚労省や感染研の情報独占、情報隠蔽、権限死守といった積年の病弊の結果である。国全体で世田谷区のような徹底した検査を実施しないから、日本は第三波に襲われ、東アジアの劣等生となっているのである。

 中国の首都、北京では人口2千万人の半数に当たる1千万人にPCR検査を実施し、ウイルス感染の抑制に成功している。東京の人口は約1千400万人であるが、700万人の検査を行い、無症状者も含め感染者を隔離すれば、同様な効果が期待できる。

 経済は陰性者で回して行けばよいのである。感染症対策の基本は「検査と隔離」である。この基本に戻ることこそ、事態のこれ以上の悪化を阻止する道である。

 フランスは、11月は全土で都市封鎖を行い、それで感染を抑えて、12月1日に封鎖解除の予定である。これが予定通りに進むかどうか。一方、ポーランドでは、政府がクリスマスの旅行を控えることを国民に求めるなど規制を強化しているが、「クリスマスまでに終息は無理」という判断をしているのかもしれない。

 集団免疫論を採用しているスウェーデンですら、遂に規制強化に乗り出したが、WHOは、外出禁止令など欧州が採っている都市封鎖措置は一定の効果を上げていると述べている。しかし、同時に対策が不十分であり、第三波の到来を危惧せねばならないとも指摘している。

 ヨーロッパの経験を他山の石として、日本も感染症対策の原則を守るべきである。

舛添 要一 (国際政治学者)

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