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読売「もどかしさ」、産経「判断遅く、矮小」と「与党メディア」も酷評

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【論調比較・コロナ対策】国民に語らぬ首相に各紙、会見など要求

公開日: 2020/12/01 (政治, ソサエティ, コロナ(国内))

Reuters Reuters

岸井 雄作 (ジャーナリスト)

 新型コロナウイルス対策が新局面を迎えている。感染者の急拡大を受け、政府は今後3週間を、集中的に対策を強化する期間として、「Go To」事業の一部停止などに踏み切った。ただ、感染拡大の勢いは衰えず、政府の対応が後手に回ったとの批判が強まっている。

 この間の経緯は、事態の深刻化に押されて、政府があたふたと対応に追われていると言っていい状況だ。

 11月になって感染者が急増する中、同20日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(尾身茂会長)が、感染状況について4段階のうちの上から2番目の「ステージ3(感染急増)」に入りつつあると指摘し、「Go Toトラベル」について「早急な見直しの検討」を求めた。

 これを受け政府はGo Toトラベルの直しを表明、感染が拡大する大阪、札幌両市への旅行を12月15日まで、割引の対象外し、飲食店支援のGo Toイートも、プレミアム付き飲食券の新規発行一時停止を都道府県知事に要請した。

 ただ、分科会は25日夜、さらなる対策を求める提言を示し、トラベルについて、ステージ3と判断された地域からの「出発分」も一時停止するよう求めた。提言の原案に、この部分はなかったが、専門家から「目的地の除外だけでは感染拡大の防止に不十分」との主張で急遽、盛り込まれたとされる。

 感染拡大のペースが急で、医療現場ではマンパワー不足などを含め、「医療体制は崩壊の危機に直面している」(中川俊男・日本医師会会長、25日の会見)との危機感を反映したものだ。

 ただ、政府は札幌、大阪「出発」については「自粛要請」にとどめ、菅義偉首相は26日夜、官邸で記者団の前で立ち止まった「ぶら下がり取材」(立ち話)で、「3密」を避け、マスクを着用するなどを呼びかけたが、Go Toに関する質問には答えずに立ち去った。

 菅首相は「感染防止と経済の両立」を繰り返し訴えており、またGo To事業が官房長官時代からの肝いりの政策政策であることもあって、停止を最小限にとどめたい意向とされる。

 また、専門家が感染拡大を懸念する地域として、札幌、大阪と並んで名が挙がった東京と愛知では、トラベル事業の見直しが決まらず、国と自治体が責任を押し付けあう構図になっている。

 大手紙は連日、感染拡大を大きく報じ、社説(産経は「主張」)でも繰り返し論じているが、菅政権支持を基本スタンスとする読売、産経も含め、政府の対応への批判があふれる。

 ようやくGo To見直しに動いたものの、〈政府の対応には、もどかしさを感じざるを得ない〉(読売12月1日)
〈半歩前進だが、判断は遅く、矮小(わいしょう)なものと断じざるを得ない〉(産経11月28日)など、日ごろの朝
日のような厳しい書きぶりだ。

 特に産経は、〈政府が今ごろ会合を開き、方針を決めたことすら遅いのに、具体的な実施対象、期間を示さないのはどうかしている。対応が後手に回っている感が否めない〉(22日)など、この間、3回の社説で繰り返し、政権批判に強い言葉を使っている。

 元々「Go To」は感染収束後に実施することにしていた事業で、〈政府は7月に見切り発車した〉(朝日25日
 )という経緯もあり、〈感染拡大地域での「Go To」の事業停止も選択肢である〉(産経20日)と、感染拡大を受け
見直し論は常識化していた。

 それだけに、読売、産経以外の各紙も〈先週末これまでの姿勢を一転し、事業を一時制限する方針を示した。首相判断は遅きに失したといえるだろう〉(東京25日)、〈いったん決めた方針にこだわり、事態を悪化させてから慌てて次の手を打つ。まさに「失敗の本質」を見るようだ〉(朝日28日)、〈危機意識が薄かったと言わざるを得ない〉(毎日22日)と、こぞって批判する。

 具体的には、遅すぎ、中身も不十分ということだ。〈感染急増地域に向かう旅行だけでなく、出発地とする分も停止すべきだ。分科会はかねて、医療体制が崩壊する事態を防ぐには、感染急増地域をトラベルから除外することが必要だと提言してきた。それなのに、政府は地域除外の手続きすら決めていなかった。このため国と自治体の役割分担があいまいになり、除外の判断を押しつけ合って対応が遅れている〉(毎日27日)

  〈菅首相は、両市から出発する旅行を控えることを呼びかけた。利用者の居住地域の特定が難しいとして、出発は自粛要請にとどめた。旅行代金の補助は継続したままで、実効性に疑問が残る〉(読売12月1日)といった具合だ。

 産経(11月20日)も〈日本医師会の中川会長は……「国が(移動を)推進することで国民が完全に緩んでいる」と述べた。これは事実だろう〉と、ズバリ指摘している。

 遅れ、不十分なのはなぜか。読売(12月1日)は〈政府による運用の見直しが小出しになっているのは、政策の失敗という批判を恐れているためではないか〉と喝破し、毎日(27日)も〈トラベルの成果にこだわる首相の姿勢が、方針転換の議論をためらわせてきたのであれば、弊害は大きい〉と指弾する。

 こんな中で、比較的マイルドな書きぶりなのが日経で、分科会の20日の提言を受けた21日でも「経済の急ブレーキ回避を」  )と題し、医療体制の悪化を懸念して、〈対策を徹底し、経済・社会活動に急ブレーキをかけるような最悪の事態は避けなければならない〉と、経済的影響への懸念を強調していた。

 だが、28日には「追加措置ためらうな」と題して〈状況がさらに悪化するようなら同事業の一時停止地域を増やすことも考えざるを得ないだろう〉など、経済活動に支障が出るのもやむなしのニュアンスを強め、微妙に軌道修正した。

 政権の情報発信にも注文が相次ぐ。菅首相は学術会議も含め、官邸の立ち話(ぶら下り)会見を数回し、個別インタビュー(数社ずつ=10月上旬)に応じたほかは、コロナ対策でもきちんとした会見は開いていない。国会開会中とはいえ、国会答弁も想定問答の棒読みが指摘され、国民のこころに刺さるような言葉は聞かれない。

 ここでも産経が〈菅首相も同様に「この3週間が極めて重要な時期だ」と強調したが、言葉の危機感に政策が追いついているとはいえない。菅首相は26日、「……一緒になって感染拡大を何としても乗り越えていきたい」と呼びかけた。これはただの「お願い」であり、強い危機感は伝わらない〉(28日)と厳しく指摘した。

 そのうえで〈菅首相が取り組むべきことはまだある。臨時国会の会期末(12月5日)を待たずに記者会見に臨み、自らの言葉でコロナ収束への取り組みと決意を国民に伝えることだ〉(22日)と、一番明快に、国民に直接語り掛けるよう要求している。

 他紙も〈感染症などの専門家でつくる政府の分科会が、25日にトラベル事業の一時停止を提言していた。だが政府は応じず、おととい取材に応じた菅首相は、同事業に関する記者の質問から逃げるように立ち去っていた〉(朝日28日)などと姿勢を疑問視。

 〈菅義偉首相は、延べ4000万人の利用に対し、感染者が約180人にとどまるとの数字を引き合いに出し、「感染拡大の主要な原因という証拠はない」との説明を繰り返している。しかし、無症状のまま感染を広げる可能性もある。そうした分析は不十分だ。気の緩みにつながる誤ったメッセージにならないか〉(毎日27日)など、ミスリードへの懸念の指摘もあり、適切な情報発信を要求。

 〈今後、コロナ禍対策とGoTo事業を具体的にどうやって舵取(かじと)りしていくのか。首相が自らの考えを自らの言葉で国民に語るべきである〉(東京25日)

 〈多くの人が移動する年末年始を控えて、菅首相が今後のコロナ対策を明確に示し、国民に理解を求めることが大事だ〉(読売25日)

 〈国民に対しては政策判断の根拠を丁寧に説明し、理解を得るべきだ。期待される対策の効果を具体的に示し、不安と混乱が広がるのを避けなければならない〉(日経28日)
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岸井 雄作(ジャーナリスト)
1955年、東京都生まれ。慶応大学経済学部卒。毎日新聞で主に経済畑を歩み、旧大蔵省・財務省、旧通商産業省・経済産業省、日銀、証券業界、流通業界、貿易業界、中小企業などを取材。水戸支局長、編集局編集委員などを経てフリー。著書に『ウエディングベルを鳴らしたい』(時事通信社)、『世紀末の日本 9つの大課題』(中経出版=共著)。
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