20年以上前に報じた慰安婦問題の記事を理由に脅迫を受けていた元朝日新聞記者植村隆氏(57)=北星学園大学(北海道札幌市)非常勤講師=と北星学園大学の田村信一学長は26日午前、札幌市の北星学園で会見し、植村氏が来年3月から1年間、韓国・私立カトリック大学校の客員教授を務めることになったと発表した。
北星学園との雇用契約は本年度で終了する。
会見での発言要旨は次のとおり。
植村隆氏 「私が新たな一歩を踏み出せるのは北星大がいっしょに戦ってくださり、全国の方々が支援してくださったからだ。感謝したい」
田村学長 「植村氏の雇用継続については学内に多様な意見があり、悩んでいた。雇用については何も決めていなかった。一連の脅迫事件と昨年来の北星大への攻撃は日本の大学のあり方への挑戦だった。今後、こういうことが起きないよう、攻撃や応援のメールなどをなるべく早く公開し、われわれの体験を広く社会(の皆さん)に考えていただきたい」
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本日11月26日午前6時に公開した「元朝日新聞の植村氏、韓国の大学客員教授に転職」の記事は以下のとおりです
20年以上前に報じた慰安婦問題の記事を理由に脅迫を受けていた元朝日新聞記者植村隆氏(57)=北星学園大学(北海道札幌市)非常勤講師=が来年3月から1年間、韓国・私立カトリック大学校の客員教授を務めることになった。これにより、北星大との雇用契約は本年度で終了する。
26日、田村信一学長との共同記者会見で発表する。関係者によると、カトリック大から、植村氏に打診があったという。植村氏はソウル近郊のキャンパスで週1、2回、日韓交流の歴史などを教える予定。講演活動や東京、札幌両地裁で起こした名誉毀損訴訟のため、日本と行き来する生活になる。
カトリック大は医学部もある伝統校。北星大との間には交換留学制度があり、植村氏の講義も多くのカトリック大生が受講し、好評だった。9月には、韓国に戻った教え子たちが、植村氏の雇用継続を求める署名917人分を集め北星大へ届けていた。朴永植(パク・ヨンシク)総長は、韓国民主化運動を支えた故・金寿煥(キム・スファン)枢機卿の秘書を務めた人物。招聘の背景には、民主主義を重んじる学風もありそうだ。
北星大は昨年、「国賊、捏造記者を辞めさせないと爆破する」などと植村氏解雇を求める脅迫を複数受けたものの、「脅迫に負けないで」という国内外の応援に後押しされ、2015年度の雇用継続を決定。現在、脅迫や抗議は収まったが、16年度の雇用については、警備費用の負担などを理由に、田村学長が今年7月、9月の2回、植村氏と会談し「継続は難しい」と伝えていた。これに対し、同氏は「私は捏造記者ではない。学内で説明させてほしい」と雇用継続を希望。
市民からも「脅迫に端を発する理由で雇用を打ち切れば、外部の圧力に屈したことになる」と心配する声が寄せられ、北星大の判断が注目されていた。