「ウソのようなホントの話をさせていただきたい」
昨年8月4日の会見(※1)で、突然こう切り出した吉村洋文・大阪府知事。「ポビドンヨード(=イソジン)でうがいをすると、コロナの陽性率が減少する」と、前のめりに語ったのだ。
吉村発言の根拠になったのは、大阪府立病院機構「大阪はびきの医療センター」の研究だ。府の宿泊施設の療養患者41人を対象に、ポビドンヨードをつかったうがいを1日4回させ、毎日PCR検査を実施。その結果、ポビドンヨードをつかったうがいで「宿泊療養者の唾液ウイルス陽性頻度は低下する」という研究成果に至ったと説明した。

吉村知事のフリップ資料、山中教授の名前が載っている
吉村氏の会見後、ポビドンヨード成分を含むうがい薬が全国で品切れになる一大騒動に。しかし、専門家からはその信ぴょう性を疑う声が、即座に相次いだ。そもそも、研究はまだ途中にすぎず、同センターの倫理委員会の審査すら通っていない段階だったのだ。
こうした中で、吉村氏も翌日には「予防薬でも治療薬でもない」と一気にトーンダウン。その後、ポビドンヨードが感染のリスクを下げる効果があるのかどうかは、杳として知れない。
〝イソジン会見〟と揶揄された一連の騒動への関与を、どう考えているのか。山中氏は改めて説明するべきだろう。
※1:「ポビドンヨード配合薬でうがいを」大阪府の吉村知事【会見ノーカット】(SankeiNews)
https://www.youtube.com/watch?v=xpEPcfBiytc
※2:同フリップは六月十七日現在、大阪府のホームページで閲覧可能
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/39143/00000000/hurippu.pdf