新型コロナの健康2次被害とは感染への警戒感からの過度の外出自粛によって肥満や認知症の進行など感染とは別の健康被害が発生する現象。新型コロナ流行が長期化するなかで、感染予防や経済活動の再開と並んで健康2次被害の回避が重要。提言では健康維持のための外出や趣味、スポーツ交流も再開できるような施策の推進を訴えた。
提言をまとめたのはSmart Wellness City首長研究会(会長・久住見付市長、事務局長久野譜也筑波大学教授)と日本老年学的評価研究機構(代表理事・近藤克則千葉大学教授)、東京大学高齢社会総合研究機構(機構長・飯島勝矢東大教授)の3団体。3教授は100前後の自治体と10年以上にわたって健康促進のための取り組みを続けてきている。

手渡しは上川議員(左)と阪口:高石市長
東大の調査では、閉じこもりが増えた結果、欠食が起こるなど食にも悪影響がでているとし、過度の自粛の悪影響が単に運動不足などにとどまらない広がりを見せているとしている。久野教授のある企業への調査ではテレワーク1ヶ月で1日あたりの平均歩数が2000-3000歩しかない人が30%にも上るなど健康への悪化が懸念されるとし、健康2次被害は全世代に広がっていると説明した。
このため、適度な外出や健康維持イベントの実施のためのガイドラインの作成などが必要ではないかとしている。
近藤千葉大教授の機構が約2万4000名を対象にした調査では他人との交流が週に1回未満の「孤立している人」のうつ病の割合が約10%であるのに対し、交流がある人は5%程度にとどまり、オンラインや電話など非対面型交流でも、対面型と比率が変わらなかった。80歳以上でも容易に使用可能なネット環境を至急整備する必要があるとしている。
3団体による提言は、超党派のヘルス&コミュニティ議連会長の上川陽子衆院議員(元法相)に手渡され、来週、自民党のスポーツ立国調査会(会長、馳浩衆院議員・元文科相)で具体的な政策が話し合われる予定だ。