東海道・山陽新幹線で2月23日、以前からあるデッキ部の他にデッキ通路部と客室内にも防犯カメラを設置し、常時録画する車両が運行を開始した。昨年6月の焼身事件を踏まえての対策だ。
Yahoo!ニュースに各テレビ局のニュースが配信され、多数のコメントが投稿された。
「一般の人は不利益ない」「やましいことがなければ録画されていようと気にならない」「車内迷惑行為や迷惑客から乗務員への暴力も減る」といった賛成意見に「そう思う」が多数集まった。
一方、「なんでカメラ増設!やるなら消火設備の拡充じゃないの?」といった反対意見に「そう思わない」が多数集まった。さらに、「置き引き対策にもなりそう」「痴漢防止にもなり一般車両にも導入して欲しい」といったより前向きな意見に「そう思う」が多数集まった。
私は、以下のように不審物検知・追跡システムの導入を首尾一貫して提案してきた。
【沿線革命049】「東海道新幹線 焼身自殺による火災事故 鉄道テロ対策が急務だ!」
【沿線革命050】「鉄道テロ対策は手荷物検査より不審者検知・追跡システムを!」
THE PAGE「新幹線 荷物検査なら値上げ?」
日経産業新聞 2015年8月6日付「鉄道の安全、人の目・画像で」
週刊SPA! 2015年9月22,29日合併号「現状の安全対策では未然に防ぐことは不可能という現実」
駅構内と列車内(通勤列車も含む)に防犯カメラを多数設置してネットワーク化する。そして、駅係員と車掌の目や画像解析により挙動不審や荷物放置を見つけ、それを追跡する。必要により、改札口で声を掛けたり、現地へ人が急行して適正に対処する。
テロ対策ばかりでなく、迷惑行為や置き引き、忘れ物、急病人も即座に見つけられ、迅速に対処できるようになる。「ものづくり」大国日本のノウハウを活かしたハイテク「おもてなし」を実現でき、世界のトップランナーとなれる。
技術的ノウハウは既に充分にあり、投資額や運営費は、手荷物検査や警備員増員よりずっと少ない。問題はただ一つ、プライバシー侵害の反対意見だけと言える。それに対して、今回のヤフコメは予想外だった。社会の多くの人は、安全・安心のためにこういったシステムの導入を待ち望んでいたのだ。
鉄道は日々の生活やビジネスに欠かせず、社会からの注目も高いため、少しのトラブルでも大きな批判を浴びる。そのため、鉄道に関係する事業者や行政は、どうしても新たなチャレンジに臆病となる。不審者検知・追跡システムの導入は、多くの人が望んでいることが分かった。勇気を持って、一気に実現して欲しい。
鉄道に不審者検知・追跡システムの導入を |
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世論は防犯カメラ増設を歓迎している
公開日:
(ソサエティ)
共同通信社
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阿部 等(交通コンサルタント会社「ライトレール」社長)
1961 年生、東大工学部都市工学科大学院修了。JR東日本(1期生)に17年間勤務し、鉄道の実務と研究開発に従事。2005年、交通コンサルタント会社「ライトレール」を創業し、交通計画のコンサルティングに従事。各種メディアにて鉄道に関してコメントする機会も多い。
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