12日午後0時半ごろ、JR埼京線の池袋-新宿を走行中の貨物列車が急停車して立ち往生。同区間を走行する埼京線と湘南新宿ラインのダイヤが大幅に乱れ、約16万人が影響を受けた。
池袋-新宿が不通となるだけで、宇都宮・高崎から小田原・逗子まで、長時間ダイヤが乱れなければいけないのか、冷静に考えてみよう。
私は、講談社「現代ビジネス」にて、住みたい街2015【沿線革命】の連載63回を持ち、鉄道をより良くする方策を多数提案した。 【063】“世界一の鉄道”に事件・トラブル多発!?(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45736)では、京浜急行は、トラブルが起きると運行可能な区間での折返し運転をすぐに始め、ほぼ定時運行できるのに対し、JR東日本は残念ながらそういったノウハウを持っていないと紹介した。今回はその典型だ。
トラブルが起きたのは池袋-新宿なのだから、埼京線も湘南新宿ラインも、北方面は池袋で、南方面は新宿で折返し運転をすれば良い。トラブルが起きてすぐに始めれば、池袋-新宿以外はほぼ定時運行とできる。
などと書いても、多くの読者は信じないだろう。
JR東日本は京浜急行より運行本数が圧倒的に多い? そんなことはない。池袋以北の埼京線と湘南新宿ラインの線路は別で、昼間はそれぞれ9往復と4往復。新宿以南は同じ線路を運行するが3往復と4往復の併せて7往復。京浜急行よりずっと少ない。
池袋は、埼京線は3・4番線、湘南新宿ラインは2・3番線にて北方面へ折返せる。埼京線は3・4番線、湘南新宿ラインは2番線とすれば相互の平面交差はなくスムーズに折返し運行できる。新宿は、2・3番線にて南方面へ折返せる。片方を埼京線、もう一方を湘南新宿ラインとすれば良い。
鉄道に多少詳しい人は、「ダイヤ乱れ時は、車両や乗務員が足りなくなり、そんなきれいな運転整理をできない」と言う。増発するのではないのだから、トラブルが起きてすぐに折返し運転を始めれば、車両も乗務員もスムーズに回る。
また、「ホームが人で溢れて次の列車が到着できなくなる」と心配する人もいる。新宿と池袋に到着したら必ず他路線へ乗換えてもらうように案内する。利用が集中する山手線は増発したいところだ。
東京の鉄道のトラブルが減り、運転再開が早くなり、折返し運転がスムーズにできるようになって欲しい方は、【沿線革命】(http://light-rail.blog.jp/archives/1014464871.html)をご覧願いたい。
トラブル区間以外は定時運行も可 |
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JR埼京線・新宿-池袋での貨物列車の立ち往生から考える
公開日:
(ソサエティ)
スマホのJR東日本アプリより
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阿部 等(交通コンサルタント会社「ライトレール」社長)
1961 年生、東大工学部都市工学科大学院修了。JR東日本(1期生)に17年間勤務し、鉄道の実務と研究開発に従事。2005年、交通コンサルタント会社「ライトレール」を創業し、交通計画のコンサルティングに従事。各種メディアにて鉄道に関してコメントする機会も多い。
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