2004年の球界再編を機に始まったセ・パ交流戦も今年で11年目。かつて、観客動員力で劣るパ・リーグが、増収策の切り札として懇願していたものだが、人気が均衡してきた現在、その面の意義は薄らいできたようにもみえる。交流戦とともに議論された球界改革の理想もどこへやら……。
あんなに観客数を水増ししていいのか? それはこっちのセリフだ……。面と向かってやりとりされているわけではないが、観客数の発表を巡って、球団の営業担当者間のさやあてがあるらしい。
どうみても1万人しか入っていないのに、発表は2万人。こうした水増し発表もかつては公然の秘密で、各球団お互いさまであるために、いちいち話題にもならかった。
球場のフェンスなどに掲示する広告は、お客さんが来てみてくれないと効果ゼロ。閑古鳥が鳴くような球場に広告を出すクライアントはいないわけで、それがプロ野球の観客水増しの背景にあったともいわれている。
こうした前近代的な経営から脱却し、持続可能なビジネスモデルを作る、という決意が観客の実数発表などを申し合わせた球界改革にはあったはずだが、もし、またぞろ水増しが始まっているとすると……。
今季から交流戦の試合数が削減された。ホーム、ビジター2試合ずつで6カード、各球団計24試合だったのが、今年から18試合となった。18試合の内訳はホームでの3カード×3連戦、ビジターでの3カード×3連戦。来年度はそのホームとビジターをひっくり返し、18試合を行う。つまり2年でワンセットというわけだ。
試合数が多すぎる、2連戦ではよい投手を効率的に使えるチームが有利で、3連戦方式ではありえないような極端な成績になりやすい、といった指摘があったようだ。
セ・リーグ側からパ・リーグの本拠地への遠征がきつい、という声が出ていたのも事実である。セ・リーグの球団は新幹線の駅に近いところばかりだが、パ・リーグはそうではない。特に千葉のロッテ、所沢の西武への遠征はセ・リーグ球団にとって案外大きな関門になっていたようだ。
それくらいのことで音をあげてもらっては困るわけで、その背後にはどうも「交流戦はもういい」という現場レベルでの厭戦気分が感じられるのである。
今年からセ・パ、両リーグの対抗色を強くし、通算勝ち星の多いリーグが、ドラフト会議の指名の優先権を得ることにした。
オリックスが沈んでいることもあり、セ、パの勝ち星は拮抗しているが、プロ野球らしい「華」という点では、日本ハム・中田翔や西武のホープ・森友哉らがドンパチ打ち上げているパ・リーグの方が華やいで見える。セも引き立て役になるだけの交流戦はまっぴらごめん、となっても不思議ではない。
地域密着に成功し、経営基盤を固めているパ・リーグ球団も、「土下座してでも交流戦をお願いしたい」と言っていた時代とはもう違う。となると今後、両リーグはお互いに〝内向き志向〟を強めていくことになるのだろうか。
球界再編の強い危機感から始まった交流戦は、限られた球団数のなかで行き詰まり感が出てきたクライマックス・シリーズとともに曲がり角を迎えている。