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金まみれ五輪に、ロシア・ベラルーシ参加という新たな火種

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【舛添要一が語る世界と日本(179)】古代ギリシャで五輪前後は3か月休戦だったが

公開日: 2023/01/31 (ワールド, スポーツ/芸術)

CC BY-SA 建設中のパリの水泳施設(2022)=CC BY-SA /Arne Müseler

 ウクライナでは、西側がウクライナに主力戦車を提供するなど、停戦どころか、戦火が拡大する方向となっている。

 そのような中で、1月25日、来年に迫ったパリ五輪を巡る方針をIOCが明らかにした。

 国際スポーツ大会から除外されているロシアとベラルーシの選手を、中立の立場などの条件付けで本格的な復帰を検討していくという。

 アジア・オリンピック評議会(OCA)は、これに賛同し、今年の秋に中国の杭州で開催される第19回アジア競技大会に両国の選手が参加する機会を提供することを表明した。

 昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻の直後、IOCは、全ての国際競技連盟や大会主催者に対して、両国選手の除外を勧告していたのである。

 このIOC の「軟化」に対して、ウクライナのクレバ外相は、「IOCはロシアの戦争犯罪を無視している」と批判した。

 また、フトツァイト青年スポーツ相は、ロシアとベラルーシの選手がパリ五輪に参加すれば、ウクライナはパリ大会のボイコットも辞さないと述べている。そして、両国選手の参加が認められないように、国際的な運動を開始するという。

 さらに、「中立地は存在しない。それを自らの目で確かめてもらうためにバッハ氏をバムフトに招待する」と述べた。バムフトは、東部で激戦が行われている都市である。

 27日、ゼレンスキー大統領は、「このような戦争が起きているときに中立はありえない。ロシアの選手が掲げる中立の旗が血にまみれたものとなるのは明らかだ」と動画で訴えた。28日にもSNSに投稿し、「オリンピックの原則と戦争は根本的に対極にあるものだ」と述べている。

 来年のパリ五輪までに停戦に漕ぎ着け、和平が成立すれば、以上のような問題は解消するが、そうなるかどうかは分からない。もし、停戦が実現しても、講和の条件の確定、戦争犯罪の捜査などには時間が必要である。

 そのことをIOCも想定して、先の「軟化」方針を打ち出したのであろうが、ウクライナの選手とロシアやベラルーシの選手が仲良く並んで競技する光景は想像できない。

 ギリシャで始まった古代オリンピックは、大会開催中、及びその前後を含めて3ヶ月間は休戦期間としたのである。この例に習い、1994年のリレハンメル五輪以降は、オリンピック開幕の7日前からパラリンピック閉幕の7日後まで休戦することが国連決議として決められることが慣例となっている。

 ウクライナ戦争が続いている場合に、パリ五輪のときも同様な休戦決議が採択されるのであろうか。

 近代五輪の歴史を振り返ると、1916年のベルリン大会は第一次世界大戦で中止となっている。第二次世界大戦のときには、夏季大会は、1940年の東京は返上、ヘルシンキは中止となったし、1944年のロンドン大会は中止になっている。

 冬期大会は、1940年に札幌、サン・モリッツが返上、ガルミッシュ・パルテンキルヘンが中止、1944年のコルチナ・ダンペッツォが中止になった。

 オリンピックが平和をもたらすわけではない。オリンピックに関わりなく、政治は動いていく。

 2008年の夏の北京大会では、開幕の日に、ロシアはグルジア(ジョージア)に侵攻した。2014年のロシアによるクリミア併合は、ソチでのオリンピック閉幕後、パラリンピック開幕前の出来事である。2022年のウクライナ侵攻は、北京でのオリンピックが終わり、パラリンピックが始める前である。国連の休戦協議など死文化してしまっている。

 ウクライナ戦争の期間は、五輪を中止するという決断はないのであろうか。

 五輪絡みで、日本では東京地検特捜部の捜査が続いている。スポンサー選定をめぐって、贈収賄の容疑で、組織委員会の元理事で電通出身の高橋治之容疑者、紳士服大手のAOKI、出版大手のKADOKAWA、広告会社の大広などの経営者や幹部が逮捕・起訴されている。

 最近、東京地検特捜部は、東京五輪を巡る入札談合事件の捜査を進めているが、契約額5億4千万円のテスト大会は、「一社応札」で決まっている。そして、テスト大会を受注した9社・1共同企業体が、そのままスライドして本大会運営などの随意契約を行ったのである。契約総額は約400億円である。

 本大会についても、組織委員会の元次長が深く関わっていたとして、立件する方向だという。

 スポンサー選定といい、大会運営企業の選定といい、このような汚職が起こるのは、全ては五輪に巨費が必要なことが原因である。組織委にしてみれば、何としてもスポンサー企業や運営会社を確保したいという思いで努力したところに、高橋容疑者のような人物が暗躍する余地が生まれたのである。

 カネまみれという問題を放置したままで、五輪の再生はありえない。

舛添 要一 (国際政治学者)

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