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五輪中止のシナリオも持つべき

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【舛添要一が語る世界と日本(80)】東京五輪7月開催に必須の4条件

公開日: 2021/03/09 (政治, スポーツ/芸術)

CC BY-SA 東京五輪の聖火特別輸送機=CC BY-SA /Miyuki Meinaka

 東京都など首都圏の緊急事態宣言が2週間延長された。

 しかし、このところ、新型コロナウイルス感染者の減少の速度は鈍化しており、あと2週間で、東京都の感染症数が専門家たちの望むような100人以下になるかどうかは不明である。この6、7日の週末の人出を見ると、むしろ増えており、人の流れは抑制されるどころか、逆の動きになっている。

 再延長された緊急事態宣言の期限は3月21日であるが、その4日後の25日には聖火リレーが始まる。

 ところが、ここに来て芸能人などの参加辞退が相次いでいる。走る前の2週間は外出などの自粛を要請されることもあるため、スケジュールの都合で不可能になったというのが理由である。

 緊急事態宣言を2週間ではなく1ヶ月延長すべきだという専門家の意見もあったが、聖火リレーの日程との関係で政治的に無理だったのである。

 もし、感染者が期待したように減らず、21日にさらに緊急事態宣言を延長するようなことになれば、どうするのか。それでも聖火リレーを開始すれば、世界中の人々は「非常識」として非難の声を上げるであろう。

 戦争が始まったのに悠長に聖火リレーを行ってるようなもので、それは「平和の祭典」には相応しくないだろう。何が何でも遂行するという精神論だけでは、国際社会の理解は得られない。

 10年目の3・11がやって来る。東京五輪は、この「震災からの復興五輪」のはずであった。しかし、今や、「人類がコロナに打ち勝った証」へと位置づけが変わってしまっている。

 ただ、本当に人類はコロナに打ち勝ったのか。幸い、ワクチンの開発が順調に進み、世界中で接種が始まっている。接種最速のイスラエルでは、2回接種済みの証明書があれば、コンサートなどに行けるし、あと2~3ヶ月もすれば集団免疫状況になるだろう。

 しかし、日本では医療関係者に優先的接種が始まったばかりであり、高齢者への接種が開始されるのは4月末である。ワクチンの供給が間に合わず、今や世界で争奪戦が繰り広げられている。たとえば、イタリアは、国内で生産したアストラゼネカのワクチンのオーストラリアへの輸出を禁止した。

 そのヨーロッパよりもさらに接種が遅れているのが日本であり、EUと日本は今年中に集団免疫を獲得するのは無理だと言われている。バイデン政権になって大車輪で接種を進めているアメリカは、早ければ今年の夏にも集団免疫状況になるという。

 無観客か否かは別として、7月に予定通りに東京五輪を開催するためには、以下の4条件を満たす必要がある。

 第一は、コロナ感染が世界的に下火になり、「抑制できている」という状況になることである。

 「ワクチン接種の開始=感染の抑制」ではない。時間差があり、アメリカ、イタリア、ドイツ、フランス、ブラジルなどでは感染が横ばいだったり、また拡大したりしている。イスラエルにしても、大幅に減少しているとは言えない状況である。とくに感染力の強い変異株は要注意である。

 第二は、ワクチンの接種が順調に進むことである。

 開催国の日本は、先進国の中でも接種の開始が最も遅れた国の一つである。海外から多数のアスリート、五輪関係者、観客が来日するときに、高齢者ですら接種が完了していない事態が許されるのかどうか。

 第三は、国民世論の動向である。

 「中止」と「再延期」が約8割を占め、予定通り「開催」は2割にも満たない。国民の支援があってこその五輪の成功である。

 第四は、国際社会の反応である。

 日本と同じように開催論は少ない。アメリカでは東京五輪には人々は無関心で、中国が人権侵害をしているという理由で2022年北京冬季五輪への参加ボイコット論の議論が先行している。ヨーロッパでは、ワクチン接種が順調に進まず、感染者もあまり減らない状況であり、東京五輪を開催するなど論外だという意見が強い。

 最悪の事態は、無理に東京五輪を開催して、大会参加者から感染者が出ることである。そうなった場合に、五輪そのものがぶち壊しになる。

 五輪準備に全力をあげるとともに、中止のシナリオもまた用意しておかねばならないのではないか。

舛添 要一 (国際政治学者)

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