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もはや政治の不能 五輪開催なら東京優先接種のはずだが

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【舛添要一が語る世界と日本(95)】開催に懐疑的多数の中で強行開催へ

公開日: 2021/06/22 (政治, スポーツ/芸術, コロナ(国内))

CC BY CC BY / Antonio Tajuelo(cropped)

 政府は、6月20日までの緊急事態宣言を、沖縄県以外は解除し、岡山県、広島県以外は蔓延防止等重点措置に移行させた。

 7月11日までであるが、7月23日は東京五輪が開会される。

 しかし、このところ開催都市の東京では、新型コロナウイルスの感染がまた拡大している。とくにインド型変異株の市中感染が拡大しており、感染力が従来型の2倍以上で、感染のスピードも速いので、警戒が必要である。下手をすれば、五輪開催中に緊急事態宣言を再発令せねばならないような事態にもなりかねない。

 公衆衛生上は開催強行は非常識であるが、コーンウォール先進国サミットで菅首相が開催を表明し、G7各国の支持を取り付けた以上、もう後戻りはできなくなってしまっている。

 IOCは金儲けのことしか考えておらず、2年に1度五輪が開催されることに存在意義とビジネスチャンスがある組織なので、日本国民の生命と財産が危殆に瀕しようが、それは知ったことではないのである。

 世論調査を見ると、五輪開催に懐疑的で、不安を抱く人が多いのに気づく。

 NHKの世論調査(6月11~13日実施)によると、東京五輪を「通常開催」が3%、「観客数制限で」が32%、「無観客で」が29%、「中止」が31%である。そして、政府による大会開催意義の説明については、「納得」が25%なのに対し、「納得しない」が67%に上っている。

 11~14日に行われた時事通信社の世論調査では、東京五輪は「中止」が40.7% 、「開催」が30.4%、「再延期」が22.2%である。開催の場合も、「無観客」が63.9%、「観客数制限」が27.1%、「制限せず」が4.1%である。

 毎日新聞の世論調査(19日実施)によると、東京五輪は「中止」が30%、「再延期」が12%、「無観客開催」が31%である。また「安心・安全な大会」はできるかという問いにたいしては、「可能」が20%、「不可能」が64%である。

 19~20日に調査された共同通信社の世論調査では、東京五輪は、「無観客」が40.3%、「中止」が30.8%、「観客数制限」が27.2%である。そして、五輪開催に「不安」があると86.7%が回答している。

 朝日新聞の世論調査(19,20日実施)でも、東京五輪は、「開催」が34(+20)%、「中止」が32(−11)%、「再延期」が30(−10)%である。既に開催が決定されている以上、こうなるのは当然だが、五輪で感染拡大することに不安を感じる人が83%にも上っている。開催する場合も、「無観客で」が53%、「観客数を制限して」が42%である。

 これらの世論調査結果から読み取れることは、五輪の開催は決まったものの、国民は五輪がコロナ感染をさらに拡大させるのではないかという不安感を抱いているということである。

 内閣支持率・不支持率を見てみると、37・45%(NHK)、33.1・44.2%(時事通信)、34・55%(毎日新聞)、44.0・42.2%(共同通信)、34・42%(朝日新聞)と、共同通信以外は、不支持のほうが上回っている。

 支持率に僅かながら改善が見られるのは、ワクチン接種が加速化されつつあるからであろう。

 職場や大学での接種も始まったが、G7の中では日本が最も遅い状況は続いている。イスラエル、米国、英国、欧州大陸諸国などで日常が回復しつつあるのは、成人の半分が少なくとも1回の接種を完了したからである。

 100人当たりの接種回数は、日本は22.9回であり、イスラエル117.5回、イギリス108.6回、アメリカ94.3回、ドイツ76.6回、イタリア72.3回、フランス67.7回と比べると、見劣りがする。つまり、1ヶ月後の五輪開催時には、日常への回帰は無理であり、マスクを外すこともできない。

 19日に来日した、東京五輪海外選手団第2弾のウガンダ選手団の1人が、空港検査で陽性と判明し隔離された。アストラゼネカのワクチンを2回接種済みだという。

 少人数の選手団でもこのような事が起こる。本国での検査や接種体制も十分でない国も多い。五輪開催のリスクを浮き彫りにした出来事であり、海外のメディアも、ワシントンポスト紙やBBCは五輪開催のリスクについて警告している。世界ではインド型変異株の感染が拡大しており、100%の水際対策はありえないからである。

 政治とは選択である。つまり、優先順位をつけることである。

 コロナ感染の恐れのない寒村で全住民がワクチン接種を受け、東京や大阪など大都会の感染地では遅い。東京で五輪を開催するのなら、首都優先で都民の半分は開催前に接種完了とすべきである。それが実現すれば、選手も観客も不安なく東京に来れるであろう。

 政府や東京都が何が何でも東京五輪を開催しようとするのなら、東京でのワクチン接種を最優先にしなければならないはずである。ワクチン接種を見ても、政府の体をなしていないと言わざるをえない。

 東京五輪観客数の上限、5者協議で、収容定員の50%以内で1万人を原則とすることを決定したが、これも合理的な根拠があるのだろうか。

舛添 要一 (国際政治学者)

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