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小池都知事「静養」の、政治的理由

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【舛添要一が語る世界と日本(96)】小池都知事 都議選と東京五輪を前に戦線離脱

公開日: 2021/06/29 (政治, スポーツ/芸術)

CC BY CC BY /Dick Thomas Johnson

 6月25日に都議選が始まったが、小池都知事は22日夜に、過労のために都内の病院に入院した。

 28日には公務に復帰する予定であったが、27日夜、あと何日か静養を続けると発表した。

 結局、告示日にも姿を見せず、選挙期間のほとんどを不在で過ごすことになる。選挙は戦(いくさ)であり、政治家にとって最も大事なシーンである。多少の病などは押して活動せねばならない。まして、都議会最大政党を率いる立場ではないか。

 私は、国政、地方政治のみならず、数多くの選挙で応援に駆り出され、遂に体力の限界が来て、倒れて緊急搬送されたことがある。その経験からすると、過労で静養というのは虫が良すぎる。

 過労は病気ではない。医者が病名を公表すべきであり、たとえば新型コロナウイルスのような感染症ならば、万人が納得する。健康上の理由は分かるが、政治的病気であるような気がする。

 なぜ政治的病気に罹患したのか。

 それは、都民ファーストの会を見捨てたからである。若い頃から権力のある者の側にいることが特技であった小池都知事は、この都議選で自らの私党が大敗北を喫することは十分に予測している。

 しかも、彼女と同様に権力志向の公明党が、都民ファーストの会から自民党に鞍替えし、3月には自公間で選挙協力の約束をしてしまった。4年前の都議選では、小池フィーバーのポピュリズムで自民党バッシングが起こるのを見越して、公明党は都民ファーストの会と手を握ったのである。

 各種の世論調査でも、今回は自公が過半数を制すという情勢分析が出ている。下手に自公と対立すると、選挙後の都議会で痛めつけられる。そのためには、都民ファーストを支援しないほうがよい。実際に、「過労で」静養する前から、自分の子飼いの党には一切言及すらしなくなっている。

 国政は自公連立政権である。二階幹事長を通じて首相官邸との関係を改善しようとしている小池都知事にとっては、都民ファーストの会などどうでもよいのである。

 自分の私党が負けて責任を追及されても、入院を理由に弁解すればよい。自公が大勝すれば、入院して姿を消したことを恩に着せればよい。すべては政治的打算である。

 しかし、東京ではコロナ感染が再拡大しており、感染者数が、先週は先々週の2割増しといった状況である。この傾向が続いていけば、東京五輪開催中に緊急事態宣言をまた発令することになりかねない。都内の盛り場の人の流れを見ても増加しており、コロナが収束する目途は立っていない。

 しかも、インド(デルタ)型の変異株の感染が急拡大している。これは世界中で起こっており、ワクチン接種の進むイギリスでも、コロナ規制解除を1ヶ月先送りしている。イスラエルでも、屋内でのマスク着用をまた義務化している。

 そのような中での東京五輪の開催である。リスクが大きすぎて、公衆衛生上は開催は無謀である。わずか9人のウガンダ選手団から2名もがコロナ陽性であることが判明し、そのままホストタウンの泉佐野市に移動したため、バスの運転手や市の職員が濃厚接触者とされてしまった。ウイルスはデルタ株であった。

 五輪優先で水際対策まで不徹底になってしまっている。新型コロナウイルスは無症状でも感染するという特色があり、観客を入れれば、無症状感染者がウイルスを拡散する危険性は大きくなるのである。

 五輪を主催するのは東京都であって国ではない。開会式まで1ヶ月を切った段階で、トップの都知事の不在は打撃である。

 五輪よりも、都議選よりも、コロナ対策よりも、国政に復帰し、総理の座を狙うという自らの野望を優先させるならば、そのツケは都民が払うことになる。都議会選挙では、そのこともまた問われていることを忘れてはならない。

舛添 要一 (国際政治学者)

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