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IOC 太っ腹のワクチン負担の裏は

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【都政を考える 五輪開催】ワクチン・コロナ対策費など追加費用の押し付けか

公開日: 2020/11/17 (ワールド, スポーツ/芸術)

Reuters Reuters

澤 章 (都政ウォッチャー)

 IOCバッハ会長の来日に日本中が注目した。それを、誰よりも固唾をのんで見守っていたのは、実は組織委員会の職員たちだったのではないか。

 本来なら東京2020大会はとっくに終了し、大半のスタッフが元の職場に戻り、組織委員会自体も残務整理に入っていた時期である。実際、多くの契約が今年9月末に期限切れを迎え、民間企業からの派遣組の一部は任期満了で自社に戻ってしまった。

 そのため、一時期、残留組の東京都職員に過度な負荷がかかったとも聞いているが、一方では、新規の派遣社員が増加した部署もあり、組織委員会の人員は常時、増減を繰り返し安定していない。

 今回、バッハ会長が観客を入れての開催に自信を示したことで、組織委員会も再起動する必要が迫られるが、開催に向けては、人員の増員と安定的な確保が不可欠である。

 そして、最大の課題は言うまでもなくコロナ対策を誰がいくら、どのように負担するかである。委員会職員の誰もが異口同音にそう話す。しかし、大会のコロナ対策はまだ固まっていない。というか、本格的な検討はこれからである。

 コロナ対策は大会運営の細部にわたって影響を与える。選手・関係者への対応もさることながら、観客を前提にすれば、すべての面でコロナの要素を入れ込まなければならない。海外からの水際対策、PSA(歩行者スクリーニングエリア)での対応、競技会場内での対策など、計画をゼロから組み立て直す必要さえ出てくる。それを思うと、職員の憂鬱は想像に難くない。

▽「選手ワクチン費用をIOCが負担」の裏読み

 そんな組織委員会に配慮してなのかどうか、バッハ会長は選手用ワクチンの費用をIOCが負担すると、金にうるさいIOCにはめずらしく太っ腹なところを見せた。コメントに込められた真意は何か。

 ひとつは、ワクチンを打ってでも開催を実現するという強い意志だ。IOCはコロナ禍での開催をオリンピック存続の試金石と捉えている。オリンピックは戦争以外の理由で中止・延期されたことはない。

 今後、新型コロナに代わる未知の感染症や自然災害が発生するたびに、中止・延期をしていては、IOCそのものの存続が危うくなる。ワクチン費用負担発言には、こうした彼らの危機感がストレートに表されているのである。

 もうひとつの意図は、コスト負担の問題に絡んでいる。バッハ会長のコメントを超意訳してみよう。

 選手用のワクチンを購入する費用ぐらいはIOCで持ちましょう。そのかわり、ワクチン接種に係る具体的な対策全般に関しては、日本国でお願いします。医療スタッフの確保、PCR検査体制の整備、選手村での対策など、多岐にわたると思いますが、日本国の力を持ってすれば、たわいのないことでしょう。

 それから、1年延期によって生じた各種の追加コストについては、そういうわけですから、IOCには期待しないでください。すべて日本国でお願いします。

 IOCの狙いは、最小のコスト負担(選手用ワクチンの費用負担)で最大の効果(コロナ禍での開催)を勝ち取ることである。日本政府も東京都も、IOCの思惑に付き合わざるを得ない立場にある。延期による追加コストは、正式には公表されていないが、一部報道では3000億円とも見込まれている。

 仮に開催が実現しても、コスト負担問題は国内にくすぶり続ける。コロナ不況のもと、政府にも東京都にも財政的な余力は残っていないのである。

 東京2020大会の来夏開催は、バッハ会長の言う「トンネルの先の光」となるのか、あるいは、日本にとって割に合わない高い買い物に終わるのか。すべてはコロナ次第だが、事の結末はまだ誰にも分からない。
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澤 章(都政ウォッチャー)
1958年、長崎生まれ。一橋大学経済学部卒、1986年、東京都庁入都。総務局人事部人事課長、知事本局計画調整部長、中央卸売市場次長、選挙管理委員会事務局長などを歴任。(公)東京都環境公社前理事長。2020年3月に『築地と豊洲「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』(都政新報社)を上梓。著書に『軍艦防波堤へ』(栄光出版社)、『ワン・ディケイド・ボーイ』(パレードブックス)、最新作に「ハダカの東京都庁」(文藝春秋)、「自治体係長のきほん 係長スイッチ」(公職研)。
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