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KDDIの通信障害 国家・企業・個人それぞれが対応策を

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【舛添要一が語る世界と日本(149)】障害原因と小規模にできなかったのはなぜだろう

公開日: 2022/07/05 (IT/メディア)

CC BY-SA CC BY-SA /Lorie Shaull

 7月2日午前1時半頃、KDDIで通信障害が発生した。

 原因は、機器を交換したことが発端で、連鎖的に障害が拡大したという。問題は復旧までに40時間以上必要だったことであり、多くのユーザーが影響を被った。

 私もその1人である。東日本では3日の17時半頃には復旧という発表だったが、その後も受発信が困難な状況が続いている。全面的な復旧は5日の夕方になるという。

 障害の影響を受けた回線数は3915万回線に上るが、auなどの自社携帯サービス用は3580万回線で、その他は、たとえばIoT機器向けの150万回線もある。

 金子総務大臣は、今回の件を「電気通信事業法上の重大な事故に該当すると認識している」と述べている。

 個人の通話のみならず、宅配便の配達、アメダスの情報収集、コネクテッドカー、訪問診療、保健所によるコロナ患者への連絡、海難事故通報、銀行のATMなど広範囲にわたって影響が出た。110番、119番への連絡も固定電話に頼らざるを得ない状況だった。

 人々が公衆電話を探して、連絡手段としているのを見ると、一昔前に逆戻りした印象である。因みに、今の子どもたちは、公衆電話の使い方を知らない。固定電話がない家も多いし、インターネットの利用で、ファックスを使う人も激減している。

 これまでも携帯大手の大規模な通信障害は起こっており、2018年12月には、Softbankが交換機のソフト異常で4時間半にわたって通信できず、3060万回線に影響した。2021年10月には、通信網工事の失敗により、NTTdocomoが通信障害を起こし、1290万人が影響を受けている。

 特定の箇所の不具合がシステム全体に波及しないような対策を各社とも講じているが、今回は功を奏しなかった。徹底した原因究明と、再発防止策を講じてほしいものだ。

 さらには、通信障害発生について、いつ、どのような形でユーザーに伝えるべきかという点でも課題を残した。深夜に不具合が起こったということもあり、マスコミを通じた情報入手は難しかった。私の携帯電話にも、「発信できません」などの表示は出てきたが、原因については明記されない。そこで、多くの利用者は、auショップに駆け込んだのである。

 原因の公表、復旧までに要する時間などについて、断続的に情報を公表すべきである。今回は、その情報提示が遅れたようである。とくに、復旧の進み具合については、定期的に情報を出すことが必要である。

 これから5Gの時代となり、生活も仕事も通信に頼る度合いが強まってくる。たとえば、自動運転である。システムは、自動車本体のみで機能するわけではなく、道路情報が無ければ動かない。

 今でも、乗り合いバスの停車場に、バスの運行状況や到着時間を知らせるパネルがあるが、これも通信障害が起これば作動しない。

 インターネットでモノをつなぐIoTは、通信機能が正常に作動することを前提にしている。たとえば、エアコンを帰宅する前に外出先からオンにするような便利な機能であるが、通信不良だと動かない。

 個人のレベルの危機管理策としては、複数の携帯電話会社と契約し、複数の回線を使うと良いが、コストがかかる。私は、30年前からそうしているので、今回もauが駄目でも、他社の回線を利用して通信ができたのである。今回のような事故が多発するようであれば、自衛策としてそうせざるをえなくなるだろう。

 いまウクライナで戦争が行われているが、戦車や戦闘機や軍艦といった兵器だけではなく、マスメディアは言わずもがな、SNSを駆使したプロパガンダ、サイバー攻撃などが、交戦国のロシア、ウクライナ双方で展開されている。このような複合的な戦争を「ハイブリッド戦争」と呼ぶが、ロシアは、2014年のクリミア併合のときも、この戦略を採用している。

 日本では、最近は経済安全保障ということが強調されているが、サイバー攻撃など、ハイブリッド戦争の様々な要素を検討し、しっかりとした対策を講じることが不可欠である。サイバー攻撃などによって日本の通信網を破壊すれば、兵器で建物を攻撃する以上の効果があるからである。

 今回のKDDIの通信障害は、現代社会の脆弱さを示しており、国家レベルでも企業単位でも個人でも危機管理を万全にする必要がある。

舛添 要一 (国際政治学者)

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