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産経、読売は冷ややか 社説でも取り上げず

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【論調比較・森友疑惑に関わった職員の遺書】朝日、毎日、東京は第三者委など真相究明を要求

公開日: 2020/04/07 (政治, IT/メディア)

佐川氏の国会証人喚問=Reuters 佐川氏の国会証人喚問=Reuters

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐり財務省の公文書改ざんに加担させられてうつ状態になり、2018年3月に自殺し、近畿財務局に公務災害に認定されている同局の男性職員の遺書をすっぱ抜いた「文春砲」(『週刊文春』の報道)が、世の中に衝撃を与えている。小泉純一郎元首相が別の雑誌インタビューで「安倍(晋三)さんは辞めざるを得ない」と、首相の進退も改めて議論になるメガトン級のニュースだが、大手紙でも産経と読売という安倍政権支持を基本にする2紙の扱いが、あまりに冷ややか、あるいは無視に近い。このことは、かえって安倍政権へのインパクトの大きさを浮き彫りにしているように見える。

 国有地の払い下げにあたり、異例の安値で売却され、その過程で、森友学園理事長と安倍首相ないし首相夫人の昭恵氏への配慮・忖度が疑われたのが「森友問題」だ。財務省は、内部の決裁文書から昭恵氏らの名が出てくる記述などを削る改ざんを認め、2018年6月、理財局長だった佐川宣寿氏(発覚後に国税庁長官を辞任)が主導したとする調査報告書を公表し、関係した職員を処分。また、告発を受けた大阪地検特捜部は有印公文書変造などの容疑で捜査したが、佐川氏や改ざんに関与した財務省職員ら計38人全員を不起訴処分にし、安倍政権としては〝決着〟した形になっていた。

 そこに、実際の改ざん作業をさせられた近畿財務局上席国有財産管理官、赤木俊夫氏(当時54)が、本省主導で公文書が改ざんされていく過程を、関係者の実名入りで詳述し、「すべて佐川氏の指示だった」「財務省が国会等で真実に反する虚偽の答弁を貫いている」などと記した遺書が明らかになった。財務省の調査では、なぜそんな違法行為に至ったのか、具体的な経緯や、佐川氏の一存だったのか、その動機など、肝心な点は財務省調査でもはっきりしていないし、そもそも内輪の調査として、客観性が疑問視されていた。

 今回、赤木氏の妻が国と佐川氏に計約1億1000万円の損害賠償を求める民事訴訟を、大阪地裁に起こし、自殺に追い込まれた原因など、真相を明らかにしてほしいと訴えている。

 野党も国会などで改めて追及。「(国有地売却に)私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」との首相の国会答弁後に文書改ざんが始まったことなどを挙げ、再調査を求めたが、首相、麻生太郎副総理兼財務相は「(遺書に)新しい事実はない」として再調査を拒否。これについて赤木氏の妻が3月23日、首相や財務省は「調査される側で、再調査しないと発言する立場ではない」と批判し、第三者委員会による再調査を要求するコメントを発表。ネット署名サイトでの第三者委員会による調査を求める署名は、4月6日正午現在、26万6800人という空前の数字に達している。共同通信の世論調査(3月26~28日実施)では再調査が「必要ない」19.6%に対し、「必要」は73.4%と圧倒的。さらに、小泉純一郎元首相が『週刊朝日』4月10日号(3月31日発売)のインタビューで、「誰が見たって(森友問題に首相が)関わっていたのはわかる」「責任を取って(首相を)辞めざるを得ない」との認識を示すなど、新型コロナウイルスの感染拡大のなかでも、余韻は収まる気配はない。

 文春オンラインで3月17日に「『すべて佐川局長の指示です』森友事件で自殺した財務省職員『遺書』入手」と、予告。18日に発売された「週刊文春」の記事はNHK大阪放送局で森友事件を取材し、人事異動で記者を外され、大阪日日新聞に転じた相沢冬樹記者の手になるものだった。この日、妻の弁護士が会見して遺書、正確にはA4サイズ7枚の経緯を詳述したパソコン文書と「最後は下部がしっぽを切られる」などとつづった手書きの手記(メモ)を公表し、同日の提訴を発表した。

 大手紙は翌19日の朝刊で一斉に第一報を伝えた。

 朝日は1面トップで「国・佐川氏を妻提訴」の本記と、その下に「究明不足問われる政権」とのミニ解説、2面「時々刻々」で「佐川氏の指示 再び焦点/職員手記 改ざんの経緯記録/政権冷ややか『今さら』」、社会面トップで「改ざん苦悩 震える字」とほぼ全面を使って詳しく報じた。また、27日朝刊で池上彰氏が、「新聞ななめ読み」で、「財務省職員自殺、遺族が提訴 記者の『共感力』あらわに」と論じている。

 東京も1面トップの本記、2面「核心」で「改ざん指示 多くは今も要職」、社会面トップで「どうか真実を」など大展開。

 毎日は1面左肩3段見出しの本記、5面政治面で「野党、森友改ざん再検証へ」、社会面トップで「自殺職員、苦悩と批判」と大きく扱ったほか、1ページを丸々使って遺書の全文を載せた(朝日と東京は要旨を掲載)。毎日は27日夕刊2面「特集ワイド」で、文春の記事を書いた相澤・大阪日日記者への与良正雄専門編集委員による大型インタビュー記事を掲載している。

 各紙はその後も国会論戦などを何回も取り上げ、再調査しないと繰り返す首相以下政権側が懸命に防戦努めていること、赤木さんの妻が首相らの対応を批判した23日のコメントなども報じている。

 これに対し、安倍政権支持の論調を基本とする産経はほとんど無視に近く、これを追求する野党にもっぱら批判の矛先を向け、同じく読売も産経ほどではないが、極めて冷ややかな報道ぶりに終始している。

 産経と読売は19日朝刊の第一報の本記は、そろって社会面3段見出しで、提訴の事実を淡々と報じた。読売は4面政治面の下の方で「再調査せず」との財務省官房長の国会答弁を2段見出しでごく簡単に報じたが、両紙は他に関連記事はなし。それでも、読売は手書きの手記の写真を、1段の小さな扱いながら載せたが、産経は、それもなかった。両紙の記事は、遺書の細かい内容にも触れず、苦悩の末に自ら命を絶った葛藤などは一切伝わらない。

 読売は、その後の国会での質疑については、「再調査に否定的」(20日4面=政治面2段見出し)、「野党『改ざん』再調査要求/首相『決着済み』強調」(24日4面=政治面3段見出し)などと取り上げたが、やり取りを淡々と報じる姿勢。産経はそうした国会質疑もほとんど報じていない。

 さらに両紙は、追及が盛り上がりに欠けるなど、問題に〝水を差す〟ような記事にも力を入れる。読売は28日の予算成立に合わせた国会の〝中間総括〟の記事で、「対決回避 苦悩の野党/コロナ配慮『見せ場』少なく」(4面=政治面)との見出しで、検事長定年延長、桜を見る会のほか、〈森友学園を巡る決裁文書の改ざん問題も改めて浮上したが、首相にかわされた〉と冷ややかに書いた。

 産経は24日、自社・FNN世論調査結果で安倍内閣支持率が41.3%と前月から5.1ポイントアップしし、野党支持率が下落していることを5面=政治面をほぼ全面使って詳述し、〈安倍政権は平成30年3月に文書改竄が発覚すると、支持率が大きく下がった。野党には「森友」で再び政権を窮地に追い込みたいとの思惑があるようだが、野党こそが支持率下落にあえぐ〉と、野党を揶揄。さらに、28日5面=政治面でも「対決路線 詰まる野党/コロナ深刻化 抵抗に厳しい視線」との記事を載せ、コロナ感染拡大を受け〈政府批判に終始する姿勢には厳しい目が向けられて(いる)〉、〈野党はなお……(森友問題を)追及する構えを見せる。……そもそも、国難ともいえる状況下で何を重視するのか。野党の国会戦術も厳しく評価されそうだ〉と、首相好みの「国難」をかざして野党批判に力を入れる。

 一連の読売と産経の記事で、新聞自体として、赤木氏の遺書の中身をどう評価するか、明確にしたものはない。政府の見解を、批判なしに報じているだけで、当然、社説(産経は「主張」)でも4月6日現在、取り上げていない。仮に取り上げれば、遺書の中身に立ち入り、読んだら当然浮かぶ疑問(なぜ佐川氏は改ざんを指示したのかなど)に踏み込まなければならないので、取り上げられないということだろう。

 他の3紙は遺書が明らかになった直後、3月20日に一斉に社説を掲げ、その後の国会でのやり取りを受けそれぞれもう1回書いている。さらに毎日は4月6日にも再び取り上げている。

 まず、政府は財務省調査で十分だとの姿勢を変えないことをそろって批判。

 毎日〈佐川氏は、首相らの関与が疑われるのを避けようと忖度(そんたく)したのか。あるいは官邸などからの指示があったのか。これこそが問題の核心だ〉(20日)

 朝日〈(財務省調査は)佐川氏が改ざんの「方向性を決定づけた」と認定しているが、具体的な指示があったのか、佐川氏の一存だったのかなど、肝心な点ははっきりしていない〉(20日)、〈「真実を知りたい」という遺族の切実な訴えに向き合おうという誠意は感じられない。……真相に迫るには、独立した第三者による調査が不可欠である〉(28日)

 東京〈(遺書に)国会が会計検査院に検査を要請した際には「検査院に資料を示さないよう本省から指示があった」とも……記されている〉(20日)、〈手記が公表され、新たな事実関係が明らかになった以上、再調査を拒む政府の姿勢は理解しがたい。財務省は内部調査にとどまらず、外部の専門家による再調査を行うべきではないか〉(24日)など、第三者委員会による調査を求める。

 佐川氏が国会喚問で、刑事責任を問われる恐れを理由に具体的証言を一切拒んだことを踏まえ、〈不起訴で終わっているが、立法府の行政監視機能がないがしろにされたのである。国会が真相解明に後ろ向きであってはならない〉(朝日20日)、〈佐川氏は「刑事訴追の恐れがある」と証言を拒み続けた。今回の裁判以外にも再度の喚問や記者会見の方法もある。今度こそ真実を語る時だ〉(毎日20日)、〈国会は、国政調査権を駆使して真相を究明すべきであり、与党も応じるべきなのは当然だ〉(東京24日)など、国会での再喚問も求めている。

 毎日は4月6日、「今まさに新型コロナウイルス対策を全力でやっている。ここで(政権を)放り投げることは毛頭考えていない」と安倍首相が力説していることを〈今は「森友」どころではないというような答弁〉と切り捨て、〈コロナ対策で政府は今、国民にさまざまな要請をしている。そこに不可欠なのは政府への信頼だ。……森友問題は、まさに信用に直結する話ではないのか〉として、コロナ対策と並行して真相解明を進めるよう訴えている。

長谷川 量一:論調比較 (ジャーナリスト)

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