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G7+印韓豪の「D10」 中国と対峙する、新しい「西側」 

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【けいざい温故知新】デジタル分野の中国標準阻止へ強力な布陣

公開日: 2021/02/01 (ワールド)

2017年のG7サミット=Reuters 2017年のG7サミット=Reuters

 中国の習近平主席が、世界経済フォーラムのオンライン会議 で講演し「国際社会のガバナンスは、1国や数か国の命令によるべきではない」と語り、米国主導の新冷戦をけん制した。 

 「同盟関係を再構築し、再び世界に関与する」と述べたバイデ ン米大統領の就任演説を、多分に意識したのだろう。 米国の同盟国といえば、米欧日の主要7か国「G7」が核にな る。昨年は、1975年に始まって以来45年ぶりにG7サミットが 開かれなかった。当初の予定が新型コロナで流れ、9月開催と いうトランプ大統領の代替案を、メルケル独首相が蹴った。 前回19年8月のピアリッツ・サミットは、トランプと他の首脳らの意見が折り合わず、議長のマクロン仏大統領が、どうにかこうにか1枚紙の首脳宣言を取りまとめた。米欧の亀裂が深 く、トランプ再選なら、G7は機能を停止しただろう。今年のG7は「再生サミット」になる。議長国の英国は、6月中旬にイングランド南西部コーンワルでの開催を発表。インド、韓国、オーストラリアの3か国をゲストに招く。 G7+印韓豪の10か国「D10」(DはDemocracy)の枠組みを 発案したのは、ジョンソン首相ら英国の中国懐疑派だ。米国の華為技術(ファーウェイ)排除を機に、中国に依存しない次世代通信規格(5G)構築や、サプライ・チェーン対応で、民主主義国の結束の場として提案した。D10には、日米豪印の4か 国戦略対話「QUAD」諸国も内包されている。 

 ゲスト3か国は、G7の正規メンバーに加わらなくても、準メ ンバー待遇を受け続ける可能性が高い。コーンワル・サミットは、G7の対中同盟化、D10という「新しい西側」誕生の場として、歴史を画するかもしれない。 

 新型コロナの初期対応で不信を強めたこともあろう。欧州諸国の中国への警戒感は急上昇した。インド太平洋への艦艇派遣が象徴的だ。英国は、空母「クイーン・エリザベス」を中核とする空母打撃群の西太平洋展開を予定し、フランス海軍は日米との共同訓練を行い、ドイツも艦艇の極東派遣を検討中。「自 由で開かれたインド太平洋」を目指すQUADへの支援となる。

 「新しい西側」は、冷戦期の西側と、どう違うのか。まず、対決一辺倒ではなく気候変動対策などでは、中国との協力を惜しまない。旧COCOM(対共産圏輸出統制委員会)のような経済封じ込めもしない。RCEP(東アジア地域包括的経済 連携)は昨年11月、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国と 日、中、韓、豪などの15か国が締結した。昨年末にはEUが、 中国と投資協定を結んだ。 

 ただ、先端技術分野の対中対応は厳しくなる。トランプ政権が関税上乗せの理由にしたように、進出外資が技術移転を強いられるなど、中国の知的財産権侵害に先進諸国の不満が強い。 

 さらに「デジタル・レーニン主義」とも評されるデジタル技 術を共産党統治の道具として監視国家化を強め、その技術を他 の権威主義国に広める動きは、民主主義国には受け入れがたい。デジタル化の中国標準阻止は、新西側の主要な課題になり、「ファーウェイ排除」のようなケースが常態化するだろう。

 新彊ウイグル自治区の強制収容所、一国二制度を踏みにじる 香港での民主派弾圧など、人権や民主主義の侵害には、より厳しい態度で臨む。トランプは人権に関心が薄かった。元安全保障担当特別補佐官ボルトンは著書で、トランプが習近平との会 談で、ウイグル族の強制収用に賛成したと暴露した。インド太平洋での、中国の地政学的な攻勢には、総出で対抗することになる。欧州勢の艦船派遣は、その一環だ。 冷戦期には、非同盟諸国の雄で旧ソ連とも近かったインドが、新西側に与する意義は大きい。遠からず人口で中国を抜く発展途上国インドの参加で、D10は「先進国クラブ」の枠を脱し、総人口も20億人を超える。新しい西側は、強力である。

土谷 英夫:けいざい温故知新 (ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)

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土谷 英夫:けいざい温故知新(ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1948年和歌山市生まれ。上智大学経済学部卒業。日本経済新聞社で編集委員、論説委員、論説副主幹、コラムニストなどを歴任。
著書に『1971年 市場化とネット化の紀元』(2014年/NTT出版)
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