• tw
  • mail

カテゴリー

 ニュースカテゴリー

  • TOP
  • 独自記事
  • コロナ
  • 統一教会
  • 政治
  • ワールド
  • マーケット
  • ビジネス
  • IT/メディア
  • ソサエティ
  • 気象/科学
  • スポーツ/芸術
  • ニュース一覧

中国で不動産融資規制 日本のバブル崩壊の端緒「総量規制」を連想

あとで読む

【けいざい温故知新】中国バブル崩壊、秒読みか

公開日: 2021/01/25 (ワールド)

中国人民銀行=Max12Max-ShareAlike 中国人民銀行=Max12Max-ShareAlike

土谷 英夫 (ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)

 新年早々、中国の金融当局が、銀行の不動産融資の規制に踏み切った。「総量規制」を報じた新聞の見出しに、デジャヴュ(既視感)を覚えた。日本も30年ほど前、総量規制を試みている。規制は1年9か月で解かれた。地価バブルが崩れたのだ。

 中国人民銀行と銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は昨年12月31日、銀行を規模別に5ランクに分け、不動産向け融資と個人向け住宅ローンの融資に、それぞれ上限を設けると発表、翌1月1日から実施した。

 元IMFのチーフエコノミストで、世界各国の経済危機の研究で知られるケネス・ロゴフ米ハーバード大学教授が、中国・精華大学の研究者と「Peak China Housing」と題した論文を発表し、中国の不動産価格が「不安定のピーク」にある、と警鐘を鳴らしたのは、昨年8月のことだ。

 翌月には、中国でトップ3に入る不動産大手「恒大集団」が、債務を減らすための資金繰りに、手持ち物件の一律3割引き販売に踏み切っている。

 そのころから、中国当局の不動産バブル・リスクへの警戒感が強まったようだ。11月末には郭樹清・銀保監会主席が「不動産市場が、金融リスクにおいて最大の灰色のサイ」と言明。「灰色のサイ」とは、大問題に発展する可能性が高いものの看過されているリスクのことだ。

 12月中旬の中央経済政策工作会議で決まった21年の経済政策の基本方針は、8つの重点施策の1つに「大都市住宅の突出した問題」の解決をあげ、「住宅は住むためのもので、投機のためのものではない」と明記したうえ、(投機対象にならない)長期賃貸住宅の建設などに力を入れる、とした。

 総量規制も、投機抑制策の一環だ。第1ランクは、中国工商銀行など6大国有商業銀行と国家開発銀行の7行で、融資全体に占める不動産向けは40%、住宅ローンは32.5%が上限。以下、中規模行の第2ランクは同27.5%、20%を上限にするなど、第5ランクまで小規模行ほど融資枠の天井が低くなる設定だ。

 不動産融資は不良債権化しやすいと見越した当局が、銀行の体力差を考慮したようだ。

 バブル期の日本の総量規制は、1990年3月末に大蔵省(現財務省・金融庁)の銀行局長通達として発せられ、金融機関の規模に関係なく「不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑える」という内容だった。

 翌年には地価が弱含みになり、91年12月に規制が解除された。

 だが、解除後も地価下落は止まらず、総量規制が「地価バブル」崩壊の引き金になったと評された。また、規制対象外の農協系統金融機関が、住宅金融専門会社(住専)などに貸し込み、巨額の不良債権が発生、公的資金投入につながった。

 ロゴフ論文は、中国の不動産市場は価格の不整合と地域的な需給のミスマッチがあり、調整は必要かつ不可避と指摘した。

 空き家(室)率の高さや、家計所得の伸び悩み、住宅購買年齢層(20-50歳)の人口減少なども理由にあげている。

 「鬼城」(ゴーストタウン)の発生など、地方都市から住宅価格の下落が始まっていて、価格が高止まりしている北京、上海、深圳などの1線都市の一部でも、価格下落が伝えられる。

 バブルが”爛熟状態”での総量規制導入は、30年前の日本の二の舞に、なるかもしれない。

 バブル崩壊の時機や規模を正しく予測するのは至難だが、ロゴフ教授らは、仮に不動産活動が2割落ちると、中国のGDPを5~10%押し下げる、と試算している。
続報リクエストマイリストに追加

以下の記事がお勧めです

  • 【けいざい温故知新】 G7+印韓豪の「D10」 中国と対峙する、新しい「西側」

  • 【けいざい温故知新】 「対中同盟」として蘇るG7

  • 土谷 英夫のバックナンバー

  • LGBT 国際政治の舞台でも対立

  • 中国国務院人事、改革派一掃か

  • 気球で延期の国務長官の訪中、習氏の訪露阻止で早期実現か

  • 朝日、毎日、東京、日経 同性婚差別発言に政権の姿勢問う

  • プロフィール
  • 最近の投稿
avator
土谷 英夫(ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹)
1948年和歌山市生まれ。上智大学経済学部卒業。日本経済新聞社で編集委員、論説委員、論説副主幹、コラムニストなどを歴任。
著書に『1971年 市場化とネット化の紀元』(2014年/NTT出版)
avator
土谷 英夫(ジャーナリスト、元日経新聞論説副主幹) の 最新の記事(全て見る)
  • 【けいざい温故知新】総書記目前の2月リポートを無視、いまや「中所得国のワナ」に -- 2021年10月6日
  • 【けいざい温故知新】不動産バブルが金融危機をもたらす「灰色のサイ」になりかねない -- 2021年9月16日
  • 【けいざい温故知新】あの夏からちょうど50年、佐藤首相の反対でお蔵入り -- 2021年8月23日
Tweet
LINEで送る

メニュー

    文字サイズ:

  • 小
  • 中
  • 大
ソクラとは 編集長プロフィール 利用案内 著作権について FAQ 利用規約 プライバシーポリシー 特定商取引法に基づく表示 メーキングソクラ お問い合わせ お知らせ一覧 コラムニストプロフィール

    文字サイズ:

  • 小
  • 中
  • 大
  • 一覧表示を切替
  • ソクラとは
  • 編集長プロフィール
  • 利用案内
  • 著作権について
  • メーキングソクラ
  • お知らせ一覧
  • FAQ
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー
  • 特定商取引法に基づく表示
  • お問い合わせ
  • コラムニストプロフィール

Copyright © News Socra, Ltd. All rights reserved