<バイデン時代、南北平和ショーへの未練を捨て米中間の選択圧迫に備えるべき> 朝鮮日報
<目前に迫ったバイデン時代、北核と同盟における韓米の調整を急げ> 東亜日報
<当選可能性が高まったバイデン氏…文大統領は外交リセットで備えるべき> 中央日報
<米大統領選挙、バイデン氏有力…文政権は「対北ショー」も「親中幻想」もあきらめるべき> 文化日報
米大統領選挙でバイデン民主党候補の当選が有力視されている6日、韓国の保守系新聞は一斉に、文在寅(ムン・ジェイン)韓国政権の外交安保政策の全面的な修正を求める社説を掲載した。
韓国は世界で最も米国を愛している国だが、トランプ大統領に対する好感度は極めて低い。9月、世論調査機関の「韓国ギャラップ」が韓国人を対象に実施した『米大統領選世論調査』では、韓国人の59%がバイデン氏を支持し、16%だけがトランプ氏を支持した。
トランプ大統領は在任期間中、韓国に在韓米軍防衛費分担の大幅上昇を迫り、交渉のてことして在韓米軍の撤収を脅かした。北朝鮮の金正恩(キム·ジョンウン)委員長との米朝首脳会談を2度も開き、北朝鮮の地位を高めたほか、韓国の安全保障に欠かせない韓米合同軍事演習を「金のかかる戦争ゲーム」と非難し、中断させた。
ビジネスマン出身のトランプ大統領が、徹底した「アメリカファースト」主義を掲げ、同盟よりお金を重んじていると韓国人は受け止めた。特に、米韓同盟を重んじる保守層の立場としては、トランプ大統領は文在寅(ムン・ジェイン)大統領とともに、米韓同盟の破壊者であった。
米国のバイデン新大統領の誕生は、韓国の保守層にとっては、伝統的な米韓関係への復元とともに、南北関係改善を最優先の外交課題としている文在寅政権の外交政策の転換を促す契機につながる絶好の機会となった。
『朝鮮日報』は冒頭の社説で、トランプ大統領と金正恩北朝鮮委員長との間の米朝首脳会談は「韓国や北朝鮮の政権が作ってくれた‘トランプ氏の選挙用ショー’に過ぎなかった」と、文在寅政権が誇ってきた「朝鮮半島仲裁者」との役割を強く批判した。
<バイデン政権は、北朝鮮核問題において、実務交渉を通じて合意履行を段階的に踏むアプローチを取ることは明らかだ。トランプ氏の無知や虚栄を利用した金正恩との‘サプライズ平和ショー’は終わったのだ。北朝鮮の核脅威が拡大しても、終戦宣言を実施しようとする(文政権の)「逆走行構想」も寿命を迎えた>
『中央日報』は同盟体制や多国間条約の秩序を支持するバイデン候補は、米韓同盟、米日韓協力の守護の意志も堅固だと評価し、対北朝鮮低姿勢や親中に固執してきた文在寅政権の外交路線転換を要求した。
<何より、過去3年半の間、米韓連合軍事訓練を一度もまともに行われなかった韓米同盟を復元し、CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な)原則に基づいた核廃棄に韓米の力を合わせなければならない。極度に悪化した韓日の対立に和解の突破口を開く一方、米中間の二股をかける曲芸式外交から脱皮し、原則や価値を元に国益を極大化する戦略的外交を駆使すべき時期だ>
夕刊の『文化日報』は5日付の社説を通じて文在寅政権の外交課題を分析した。
<韓米同盟の不信や亀裂を埋め、北核廃棄のための協力に集中しなければならない。米中の覇権競争もさらに激化する可能性が高いだけに、‘中国の困難が韓国の困難’‘中国は高い峰、韓国は小さな国’といった親中幻想も止めなければならない>
<確かなことはトランプ式の‘外交ショー’は終わったという事実だ。文政権はこれをはっきりと悟り、明らかな対北原則を再確立し、韓米日の三角協力を軸に自由陣営と価値同盟を強化する契機にしなければならない>
進歩系の『京郷新聞』は、バイデン候補が過度な在韓米軍防衛費分担金や在韓米軍撤収に反対する立場を明確にしたことに期待する一方、北朝鮮の非核化交渉は再調整が避けられないと憂慮した。
<バイデン氏はこれまで数回にわたってトランプ氏のトップダウン方式を廃棄し、実務交渉による原則的アプローチを強調した。しかし、このような変化が、北朝鮮核問題の解決を先送りにしてはならない。バラク·オバマ政権のナンバー2だったバイデン候補が当時のように‘戦略的忍耐’政策に後退してはならないということだ>
<(韓国政府は)大統領選挙の局面が整理されていない米国の不確実性に適切に対応しつつ、新政府との協力を模索しなければならない。トランプの時とは違い、南北関係の進展と韓米同盟のバランスを合わせることにもより留意する必要があるだろう>(「当選有力のバイデン氏の課題と注目される韓半島政策」6日付の社説)
韓国大統領府は5日、「誰が当選しても韓米同盟をしっかりと維持する」と言いながら、「韓米関係の発展と韓半島平和プロセス進展のための努力に空白がないよう協力していく」と明らかにした。
韓国政府は8月から、外交部に崔鍾建(チェ·ジョンゴン)第1次長を中心とする米大統領選挙タスクフォースを設け、状況別シナリオを作成してきた。『韓国日報』によると、このタスクフォースでは、文政権がバイデン政権に提案する「北朝鮮核問題協力案」を樹立したが、ここには、北朝鮮の挑発を抑制するためのトップダウン方式を排除してはならないという内容が含まれているという。
しかしながら、韓国の多くのメディアの指摘のように、段階的な手続きを踏んで意見の隔たりを狭めていく交渉方式を好むバイデン候補が文在寅政権のトップダウンの提案を受け入れる可能性は低い。バイデン大統領の誕生は、米朝首脳会談がこれ以上韓国の選挙戦で「平和ショー」として活用される心配がなくなったという点だけでも、韓国の保守層から大いに歓迎されている。