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「プーチン1月辞任」、今は推測の域超えず

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【ロシアと世界を見る目】プーチン大統領の健康不安説、来月の大記者会見に注目

公開日: 2020/11/16 (ワールド)

11月14日、東アジアサミットで演説するプーチン大統領(写真:大統領府提供) 11月14日、東アジアサミットで演説するプーチン大統領(写真:大統領府提供)

小田 健:ロシアと世界を見る目 (ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)

 今月初め、英米のメディアでウラジーミル・プーチン大統領が病気で来年1月に辞任するかもしれないとの記事を掲載した。

 突然の退陣説に、皆驚いたが、現段階では確かな根拠があるわけではない。

 英国のタブロイド紙「ザ・サンThe Sun(以下「サン」)」は11月6日、プーチン大統領がパーキンソン病で来年1月に辞任の意向を明らかにするかもしれないとの説を報じた。これを受けて英デイリーメイルや米ニューヨークポストがサンの記事を引用しながら同様に報じた。

 サンの記事は、モスクワの反政府活動家、ヴァレリー・ソロヴェイ、さらに「クレムリン・ウォッチャー」「在モスクワの情報源」「情報通のアナリスト」(いずれも複数)が提供した情報が基になっているが、基本的にはソロヴェイが情報源だ。

 ソロヴェイは、プーチン大統領がパーキンソン病の症状を呈している可能性があると指摘、この病のため、大統領の愛人と噂される元新体操世界チャンピョン・オリンピック金メダル獲得者のアリーナ・カバエヴァ元下院議員と大統領の二人の娘が辞任するよう説得していると述べた。

 さらに、大統領は「近く」、後継大統領に据える人物を首相に任命し、大統領は1月に辞任の意向を表明するようだと付け加えた。ソロヴェイはこうした情報をどこから得たかは明らかにしていない。

 一方、「クレムリン・ウォッチャー」らは、プーチン大統領の最近の映像をみて、手足の震えがうかがえると指摘した。

 サンは、オランダのラドバウド大学神経学研究チームが2015年にプーチン大統領の歩き方を分析した結果も引用している。左腕を動かさずに右腕を自由に動かす歩行は、パーキンソン病の症状である可能性があるという。

 もう1つ、プーチン大統領が演説する際、右腕を演台に載せ、左腕をまっすぐ伸ばして脇腹に付けていることに注目、サンはそうした仕草はパーキンソン病の可能性を示すと医学界では一般的に言われているとも指摘した。

 情報を提供したソロヴェイは、外交官を多く輩出している名門のモスクワ国際関係大学教授だった。政治学や歴史を担当、さらに広報部長を務めていたが、昨年解雇された。度を過ぎた政権批判が理由とされる。その後も、当局は新型コロナウイルス感染死亡者数を過少に発表しているとか、ハバロフスクでの反政府デモを応援しようと呼びかけるなど、積極的に活動している。

 実は彼がプーチン異変説を口にしたのは今回が初めてではない。今年5月にはプーチン大統領が薬の副作用でまともに活動できなくなっているとか、気分が優れず側近とでさえ面会を避けるようになっているとの情報をモスクワで流したことがある。

 10月には大統領の次女カーチャが父の癌を治療するため特効薬を研究しているとも述べた。つまり大統領はパーキンソン病ではなく癌だと言っていた。ただし、どの部位の癌かには言及していない。

 ソロウェイ以外にも、元下院議員のゲンナジー・グトコフやマルク・フェイギンといった反政府活動家が今年春頃からプーチンが深刻な病気にかかっているとインターネット・メディアを通じて流している。

 毎年恒例の大統領と市民の直接対話集会が今年は6月に開催される予定だったが、延期され、さらに9月に入ってその中止が発表された時も健康不安説が流れた。

 サンなどはプーチン健康不安説に関連して、大統領が最近、大統領の地位について2つの法案を提出したことも指摘している。

 1つは、大統領経験者に終身の上院議員の地位を与える法案。もう1つは、大統領経験者を刑事訴追の対象にしないという法案だ。前者は英国の貴族院(上院)の規定にならった法案だ。後者が成立すれば、韓国の歴代大統領がこうむってきたような処遇はなくなる。プーチン大統領がこうした法案を出すのは自身の辞任を想定しているからだろうという。

 11月6日、記者会見でサンの報道について聞かれたドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、プーチン大統領の健康状態に不安はなく、1月辞任説は「まったくのナンセンス」と一蹴した。

 日本では首相の病気と衆議院解散時期についてはウソをついてもよいと言われているようで、その意味ではペスコフ報道官がウソをついている可能性は完全には否定できない。

 しかし、プーチン大統領が重大な病気を患っているとの説は、少なくとも医師による具体的な診断結果に基づいておらず、推測の域を出ていない。しかも希望的観測の印象をぬぐえない。それもあってか、ロシアの主要メディアはまともには報じていない。

 プーチン大統領は14日には東アジア・サミット総会にビデオを通じて参加、演説した。素人判断だが、表情には特に異変は感じられなかった。

 12月には例年だと内外の2000人近い記者を集め大統領記者会見が開かれており、ペスコフ報道官は12日、今年も開催する方向で準備を進めていると明らかにした(日取り未定)。ただし、感染症拡大の最中であるので、例年とは異なる方式を取る可能性を示唆しており、ビデオを通じた会見になるのだろう。

 それでも会見は数時間に及ぶだろうからプーチン大統領の手足に震えが出るなど異変があれば、自ずと分かるのではないか。
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小田 健:ロシアと世界を見る目(ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)
1973年東京外国語大学ロシア語科卒。日本経済新聞社入社。モスクワ、ロンドン駐在、論説委員などを務め2011年退社。

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