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プーチン大統領、ナヴァルヌイ事件への関与改めて否定

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【ロシアと世界を見る目】プーチン大統領の長時間会見、健康不安の兆候見えず 

公開日: 2020/12/18 (ワールド)

Reuters Reuters

小田 健:ロシアと世界を見る目 (ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が17日、年末恒例となった長時間大記者会見に臨んだ。内政から外交まで幅広い質問に答えたが、今年の最大の注目点は、8月に発生したロシアの反体制運動家アレクセイ・ナヴァルヌイ暗殺未遂事件をめぐるやり取りだろう。

 この会見開催に合わせるように3日前の14日、インターネット・ニュースサイトのベリングキャットがロシアの仲間であるロシアのザ・インサイダーなどと共同で実施した調査の内容を公表、それが衝撃的だったからでもある。

 連邦保安庁(FSB)職員の通話記録などを詳細に調べあげた上で、ナヴァルヌイ事件にはFSBが関与しており、しかもクレムリンの最高幹部からお墨付きを得て実行されたと結論づけた。

 FSBは2017年からナヴァルヌイを尾行、監視下に置き、特に専従の3人が中心になり、ほかに5人以上が協力、さらに毒物研究組織と連携して動いていたという。

 ベリングキャットは関与した人物の名前、写真、通話記録、さらに利用した航空便の記録などを具体的に提示、相当の説得力を持つことは間違いない。

 当然、記者会見でも質問が出た。質問したのはロシア人記者。

 これに対し、プーチン大統領は予想通りというか当然というか、ロシア当局の関与を全面否定した。ベリングキャットなどの情報は米国の情報機関から出ていると示唆、「情報戦争」が展開されているとの見解を述べた。

 さらに、FSBはナヴァルヌイを殺害しようとすれば、できるのにそうしていないこと、大統領自身がナヴァルヌイの妻の求めに応じドイツでの治療を承認したことなどを反論材料として挙げた。

 確かにベリングキャットなどの指摘が正しいとしても、ほかにもいくつか基本的な疑問は残る。なぜプーチン大統領に政治的脅威を与えるほどの影響力のないナヴァルヌイの命を狙う必要があったのかもその1つだ。

 大統領はナヴァルヌイについてこれまで同様、「ベルリンの病院の患者」などと呼び、彼の名前を発することはなかった。ナヴァルヌイは米国の情報機関の支援を受けているとも指摘しており、余程、忌み嫌っているのだろう。

 米欧とロシアの関係は2014年のウクライナ危機とロシアによるクリミア併合を機に一気に悪化、ナヴァルヌイ事件が追い打ちをかけた。

 米国務省報道官はプーチンがFSBの関与を否定したことについて、「この蛮行の責任はロシアにある」、さらに「ロシアの恥知らずの情報工作」が展開されていると強い口調で批判した。こうした反応は共和党にも民主党にも共通している。

 だが、プーチン大統領が今後もナヴァルヌイ事件への自らやFSBの関与を認めることは、ないだろう。従って、米国で1月20日にジョー・バイデン政権が発足しても、米ロ関係、そして欧ロ関係も基本的には冷たいままだろう。ただし、個別の問題、例えば戦略核兵器の削減を定めた新START条約の更新などでの妥協がありうる。それが精一杯だろう。今は新STARTの更新にだけは合意してほしいと願うだけだ。

 米ロ関係については、ロシア人記者から、なぜロシアのハッカーは今回、ドナルド・トランプ大統領の当選を手助けしなかったのかとの皮肉たっぷりの質問も飛びだした。プーチン大統領は、ロシアが米国の選挙に介入したという情報は「挑発だ」と強調、介入自体を否定した。

 ところで今年の記者会見は新型コロナウイルス感染の影響で、モスクワ郊外ノボオガリョボの大統領公邸と市内の国際貿易センター内のホール、さらに全国各地の会見場をビデオで結び進められた。

 今回の会見は、一部反政府団体などからプーチン大統領がパーキンソン病を患い1月には辞任するだろうとの情報が流れたこともあって、彼の健康状態も注目された。この筆者(小田)もプーチンの表情、頭や手の動きに注目したが、特に異常は感じられなかった。4時間半、流暢に受け答えしていた。プーチンの仕草に異常があったとの報道も特にないようだ。

 プーチンがパーキンソン病を患っているとか、1月に辞めるとの情報は、主にモスクワの反政府活動家、ヴァレリー・ソロヴェイが流してきた。彼はロシアの一流大学、モスクワ国際関係大の歴史学の教授だったが、昨年解雇された。今月初めには、サンクトペテルブルグで拘束された。ハバロフスクでの反政府デモへの支持を訴える集会のためサンクトペテルブルグを訪れたのだが、集会で感染防止のためのマスクを着用していなかった。これが拘束理由だったようで、その後釈放されたと思われる。プーチン病気説や1月辞任説の流布は少なくとも表向きはおとがめ無しのようだ。
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小田 健:ロシアと世界を見る目(ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)
1973年東京外国語大学ロシア語科卒。日本経済新聞社入社。モスクワ、ロンドン駐在、論説委員などを務め2011年退社。

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