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プーチン大統領にとって、”ルカシェンコ弱体化”は好都合

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【ロシアと世界を見る目】ベラルーシの反ロ感情刺激しないよう配慮も

公開日: 2020/09/16 (ワールド)

CC BY プーチン大統領(左)とルカシェンコ大統領=CC BY /クレムリン

小田 健:ロシアと世界を見る目 (ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、大規模デモに揺れるベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領と14日、ロシア南部の保養地ソチで会談した。

 プーチン大統領は改めてルカシェンコの大統領選勝利を祝福、さらに15億ドルの新規融資を約束した。プーチン大統領はあくまでベラルーシの現政権を支持し、逆に反ルカシェンコ派を支持しないとの選択を下したように見えるかもしれないが、ルカシェンコ大統領に意外にも冷静に対応する姿勢もうかがえた。

 会談冒頭の様子が公表されたが、ルカシェンコ大統領はメモ帳を取り出し、プーチン大統領の発言を書き込んでいた。北朝鮮の最高指導者、金正恩党委員長の指示を受ける高官たちの姿を彷彿とさせ、ルカシェンコ大統領の弱体化した今の立場を象徴するようだった。

 会談は4時間続いたというから実際にどのようなやり取りがあったかは不明だが、冒頭のプーチン大統領の発言からは、ルカシェンコ大統領を熱烈歓迎する雰囲気は感じられなかった。

 プーチン大統領はまず、ベラルーシの政治状況を持ち出し、ロシアの基本姿勢を説明した。それは、ベラルーシ国民自身が外国からの圧力なしに落ち着いて相互に対話し、将来について共通の決定を下してほしいというものだった。ルカシェンコ政権だけに強く肩入れするとの姿勢はうかがえず、その基調は公表された発言全体を通じて感じられた。

 プーチン大統領が強調したのは、ベラルーシを含め旧ソ連6カ国で構成する集団安保条約機構(CSTO)やベラルーシとロシアの連合国家条約の重要性。

 両国は1999年に連合国家条約に調印、統合への道を歩み始めたはずだが、ロシアからみると、ルカシェンコ大統領の優柔不断、あるいは反抗的な態度のせいで、「連合国家」に実体が伴っていない。それどころか、両国は原油や酪農製品の貿易をめぐって再三対立してきた。

 プーチン大統領は、今回、改めて政府レベルでも企業レベルでももっと積極的に統合を進めるよう促、その中で、15億ドルを融資すると約束した。

 ベラルーシ経済も新型コロナウィルス感染拡大や政治の混乱などの影響で打撃を受け、特に対外債務の返済に問題を抱える。年末までに対ロシアを中心に30億ドルとも言われる債務の返済期限が迫っており、事実上、ロシアに頼るしか道がない。ここへ来てのルカシェンコ大統領の恭順とも受け止められる姿勢に納得がゆく。

 ロシアのベラルーシ政策の基本は、同国をロシア圏に留めることだ。その観点からは、弱体化したルカシェンコ大統領はロシアに極めて都合がいい。聞き分けがよくなりそうだからだ。だから、今回もルカシェンコ大統領に会い、表向き優しい言葉を掛けたのだろう。

 だが、ロシアといえどもベラルーシの政治を意のままには動かせない。西側メディアは反ルカシェンコ派の力を誇大表示しがちだが、抗議デモがこれまでみられなかったほどに広がっていることは事実だ。今、ロシアがルカシェンコ大統領を支えるため、仮に武力介入でもしたら、一気に、反ロ姿勢が広まるだろう。

 ベラルーシは民族事情が複雑なウクライナと違って反ロ姿勢が強い国ではない。リトアニアに逃れている反ルカシェンコ運動の象徴的存在であるスベトラーナ・ティハノフスカヤは、今回、プーチン大統領がルカシェンコ大統領と会うことを批判したが、反ロ姿勢を鮮明に打ち出しているわけではない。

 プーチン大統領は、弱体化したルカシェンコ大統領を歓迎しながらも、一方的に彼個人を支援するわけではないとの印象を与え、反ロ感情に火がつかないよう工夫して対応していくのが得策と考えているのだろう。
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小田 健:ロシアと世界を見る目(ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)
1973年東京外国語大学ロシア語科卒。日本経済新聞社入社。モスクワ、ロンドン駐在、論説委員などを務め2011年退社。

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