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ウクライナ東部、戦闘ほぼ収まる

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【ロシアと世界を見る目】独仏の強い圧力が奏功

公開日: 2015/10/19 (ワールド)

Reuters Reuters

小田 健:ロシアと世界を見る目 (ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)

 世界の目がシリア情勢に貼り付けられる一方でウクライナへの関心は下がりつつある。それもその筈。実はウクライナ東部における戦闘は9月以降、下火になり、状況は落ち着きを取り戻し始めた。暗いトンネルの向こうに少しずつ明かりが見えてきたといった感じだ。
 独仏にウクライナとロシアを加えた4カ国の首脳が昨年6月にフランスのノルマンディ地方の城で会合、ウクライナ東部の紛争に終止符を打つ方策を話し合った。以来、この4カ国は「ノルマンディ・フォー」と呼ばれ、首脳、外相レベルで接触を続けてきた。
 今年2月にはベラルーシの首都ミンスクで首脳が会合、新たな停戦や正常化について合意した。これは昨年9月の合意に続く2回目の合意で「ミンスクⅡ」と言われる。改めて即時停戦を取り決めたのだが、案の定、戦闘当事者のウクライナ政府軍と東部の親ロ派勢力が互いに相手の合意違反を指摘、戦闘が収まらなかった。
 しかし、9月1日に当事者間で停戦合意が成立、以来、ほとんど戦闘は起きていない。9月末には新たに口径が100mm以下の小火器を幅30kmの緩衝地帯の外に運び出すことでも合意した。
 東部には中立的なOSCE(欧州安保協力機構)の監視団が派遣されているが、彼らは10月7日、合意された地域から小火器や戦車の撤収が進んでいることを確認したと発表した。さらに親ロ派勢力は支配しているルガンスクとドネツクの二地方でそれぞれ10月末と11月初めに選挙を実施するとの予定を取り止めた。選挙は分離独立への地盤固めにつながることからウクライナ政府は不法な選挙で認められないと反発していた。
 ウクライナ東部の情勢が落ち着き始めた背景としては、ウクライナ政府軍と親ロ派勢力の戦力が拮抗し、どちらも優勢になれないと分かってきたことが一つ。もう一つは紛争の仲介役であるドイツとフランス、特にドイツのアンジェラ・メルケル首相がウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領に新たな作戦の展開を控えるよう圧力をかけたことが挙げられている。
 欧州諸国は米国とともにウクライナ危機でのロシアの行動に怒り制裁を課し、そのため欧州の対ロ輸出は減っている。ドイツ産業界は制裁解除を求め、フランスでも農民を中心に制裁は不人気だ。
 ウクライナ経済が破綻寸前にまで追い込まれているが、紛争が続き、戦況がウクライナにとって悪化すれば、EU(欧州連合)はウクライナ支援を更に求められる。ウクライナは冬を控え、このほどロシアにガス代金を前払いした。ロシアはこれを受けて止めていたガス供給を再開したが、この前払いはEUがウクライナに5億㌦を支援することで可能になった。こうした支援を増やさないためには東部の紛争を収めてもらわなければならない。
一言で言えば、ドイツなどはウクライナ情勢をもてあましつつあり、いきり立つポロシェンコ大統領の抑え込みに入ったと考えられる。
 親ロ派勢力に大きな影響力を持つロシアも基本的には同じ考えだろう。クリミア併合は既成事実化しつつある。メルケル首相は10月2日、パリでウラジーミル・プーチン大統領に対し併合を事実上認めたとの説も出ている。これ以上紛争を悪化させ、制裁をながびかせたくないだろうし、今はシリアでの作戦を優先して考えなければならないという事情もある。
 パリでのノルマンディ・フォー首脳の会合は良い雰囲気で終わったという。もちろん、このまま東部の紛争がすんなりと落ち着くとは限らない。停戦合意は何度も破られてきた。今後はウクライナ議会がミンスクⅡで合意されている東部二地方への「特別な地位」の付与を認める憲法改正を実現できるかどうかが焦点だ。これがもたつくと紛争はだらだらと長期化するだろう。
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小田 健:ロシアと世界を見る目(ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)
1973年東京外国語大学ロシア語科卒。日本経済新聞社入社。モスクワ、ロンドン駐在、論説委員などを務め2011年退社。

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