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プーチン悩ます二つの出来事

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【ロシアと世界を見る目】陸上ドーピング疑惑と次女めぐる報道

公開日: 2015/11/12 (ワールド)

Reuters Reuters

小田 健:ロシアと世界を見る目 (ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)

  ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が不快に感じたであろうニュースが二件相次いだ。一件はロシアの陸上選手のドーピング疑惑。もう一つはプーチン大統領の次女に関する報道である。
 ロシア政府はドーピング疑惑について半ばこれを認め、半ば反論している。ビタリー・ムトコ・スポーツ相は、世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会が指摘した問題の半分には対応しなければならないが、残りの半分には根拠がないと述べた。高をくくったような反応だったが、早速、疑惑の渦中にあるドーピング検査機関のグリゴリー・ロトチェンコフ所長が辞任に追い込まれた。WADA調査委員会の報告書は325ページに及び、十分説得力を持つ。
 すでにフランス検察当局は先週、国際陸上競技連盟(IAAF)のラミネ・デアック元理事長ら関係者をロシアからの収賄容疑で逮捕している。ロシア側が否定しても外堀は埋まりつつある。プーチン大統領はムトコ・スポーツ相やロシアの競技団体役員と対応を協議するが、調査への協力姿勢がなければ、本当にロシアの陸上競技選手はリオデジャネイロ五輪から除外されるだろう。
 プーチン大統領は柔道のほかアイスホッケー、水泳、乗馬などをこなすスポーツマン。柔道からは相手への尊敬の念や公正の精神を学んだと言っている。そうであるならドーピング疑惑には怒り心頭に達しているはずで、ムトコ・スポーツ相の解任は必至だ。プーチン大統領がどうするか見ものだ。
 唯我独尊に映るプーチン大統領だが、実はロシアの対外イメージの改善には力を入れてきた。海外向けの英語テレビ放送局RTを立ち上げ、米国に政策広報の専門組織を設置し、米国のPR会社と契約するなど広報戦略を展開してきた。だが、いかに広報体制が整っても元々の政策に問題があれば、イメージは改善しない。昨年のクリミア併合や今年秋のシリア空爆のため米欧におけるロシアのイメージは一向に良くならない。
 ドーピング・スキャンダルはクリミア併合に劣らずロシアの評判を落とす。
 もう一件の次女カテリーナさん(29)についての報道は不祥事に関する話ではないが、家族についての情報の流出を嫌うプーチン大統領は心穏やかではないのではないか。
 ロイター通信は10日、カテリーナさんがプーチン大統領の友人である大富豪ビジネスマンの息子と結婚、夫婦でフランスに豪華別荘を所有しているなどと報じた。プーチン大統領には2年前に離婚したリュドミラ夫人との間にマリアさんとカテリーナさんの2人の娘がいる。
 ロイター通信によると、カテリーナさんはチーホノワとの苗字でモスクワ国立大学の幹部に就任、キャンパスの拡張事業や若手研究者の支援事業を手がけている。学外ではアクロバティック・ロックンロールのダンサーとして活躍しているという。
 カテリーナさんがプーチン大統領の娘だとの情報は今年1月から流れていたのだが、ロイターが独自取材で確認した。ただし大統領府は報道を否定している。
 モスクワ国立大学のウェブサイトを見ると、カテリーナ・ウラジーミロブナ・チーホノワという女性が学者の一員として紹介されている。このミドルネームはロシアでは父称と呼ばれ、父親のファーストネームを使用する。プーチン大統領のファーストネームはウラジーミルでカテリーナさんの父親がプーチン大統領であることと整合性がとれている。
 彼女は同大学の全国知的予備センター所長という肩書きを持つ。このセンターは若手研究者を支援する組織だ。なぜ29歳の彼女がロシアの東大とも言えるモスクワ国立大学の要職に就いているか。やはりプーチン大統領の威光からだろう。センターの協賛企業にはロシアの大企業の名前が並ぶ。
 ソ連崩壊後にロシアではオリガルヒと呼ばれる財界人が誕生、その中からプーチン大統領と一緒にKGB(国家保安委員会)やサンクトペテルブルグ市役所で仕事をした連中が生き残り、今その御曹司たちが第二世代の経営者として台頭している。カテリーナさんもそうした御曹司の一人と結婚したようだ。彼女が付き合う人物を調べると、プーチン大統領の人脈が浮かび上がるだろう。
 なおカテリーナさんはサンクトペテルブルグ大学で東洋学、特に日本語と歴史を専攻、日本にもお忍びで来たことがあるという話もある。
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小田 健:ロシアと世界を見る目(ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)
1973年東京外国語大学ロシア語科卒。日本経済新聞社入社。モスクワ、ロンドン駐在、論説委員などを務め2011年退社。

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