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中印「実効支配線」で衝突 いまも両軍にらみあい

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【世界を読み解く】中印国境問題の「棚上げ」,「現状維持」合意が機能せず

公開日: 2021/01/02 (ワールド)

【世界を読み解く】中印国境問題の「棚上げ」,「現状維持」合意が機能せず

井出 敬二 (ニュースソクラ コラムニスト)

 2020年6月15日,中印両軍が国境で衝突し(死者数十人),今も対峙を続けている。近年複数地点で衝突しており,状況は「1962年の紛争以来最も深刻」(ジャイシャンカル印外相)である。両国は2016年まで国境交渉にも取り組みつつ,国境問題を「棚上げ」し,「国境地域の平和と安寧」を守る(現状維持)合意をしてきた。しかし中国の経済活動拡大などにより,対立・緊張が高まっている。習近平,モディ両指導者下の近年の情勢と対立・緊張の背景,そして今後を展望する。

▽サマリー

①今回の西部国境(カシミール地方ラダック,ガルワン渓谷)での衝突(及び2017年の武力対峙)の背景は,係争地において「実効支配線」(実際にそれぞれが支配している地域の境となっている線。Line of Actual Control(LAC))がどこにあるのか曖昧で,また守るべき「国境地域の平和と安寧」が何を意味するのか共通の理解が無いなかで,中印指導者の領土主権への強硬な態度,一帯一路(中国・パキスタン経済回廊,中国によるブータンとの係争地での道路建設)やインド政府によるラダック州直轄化などに伴う辺境地域での諸活動の活発化がある。武力対峙・衝突の場所はいずれも戦略的要地であり,双方とも軍事力を増強した。係争地をめぐり相互不信が高まっている。

②中国はロシアとの間では「ウィン・ウィン」を求めて国境問題で妥協をし(2004年の合意と2008年の国境線引き作業終了により最終決着),インドとの間でも国境問題解決のための指導原則への合意(2005年),武力衝突回避のためのメカニズム作りなど努力してきた(ブータンとの間でも同様の努力あり)。(中露の国境問題への取り組み方と同様の手法(問題解決へのアプローチ,信頼醸成)が,中印でも見られた。)過去の諸合意もあって大規模な火力を使った対決へのエスカレートは避けられており,2016年頃までは国境交渉にも取り組まれていた。今回の衝突後にも様々なレベルで中印間の協議も行われているが,総じて2017年以降は中国側で融和的アプローチは後退しより強硬な路線がとられているようだ。

③中国とインド,ブータンは国境問題を「棚上げ」し「国境地域の平和と安寧」維持に合意していたが,何が「国境地域の平和と安寧」を破り,事態を複雑化させる行為なのかなどをめぐり理論的・実際的な困難が明らかになった。過去の外交的努力が全く無意味だったとは言えないが,今回45年ぶりの死者が出たこと(銃器による死者は無いが発砲事件は起きた),双方の軍の対峙の継続など,高い緊張が継続している。

▼今回の衝突の概要と特徴

 インド側によれば,中国側が2020年4、5月から5千人もの大勢の兵隊を西部の実効支配線に配置し,そして実効支配線を越えたという。衝突前の6月6日に現地軍指揮官(中国南疆軍区リュー・リン少将,インド第14部隊ハリンダー・シン中将)が長時間の会合を持ち,1ヶ月半もの軍の対峙への対応を議論した。

 しかし6月15日の衝突が発生した。インド側死者20人(インド報道では大佐クラス含む),中国側も死者が出たが人数は未発表(インド報道では40名超)である。中印の国境衝突で死者が出たのは,1975年の銃撃事件以来45年ぶりである。

 6月17日の電話会談でジャイカンシャル・インド外相は王毅中国外相に対して,「このような前例のない状況は,両国関係に深刻な影響をもたらす」「中国軍の予め目論まれた行動に衝突の責任がある」と伝え,その後インドは対中経済制裁を発動した。

 中国外交部趙立堅報道官は,6月18日,19日の記者会見で,インド側が実効支配線を越境し,道路,橋梁建設を行い,中国側兵士を攻撃した,全責任はインド側にあると主張した。

 6月15日の衝突は,棍棒,槍などが使われ火器は使われず,これは中印二国間の諸協定が武力行使を抑制してきたことの効果であった。しかし8月末から9月に銃器による発砲事件(警告のためらしい)が起き,これも45年ぶりであった。

 6月22日,同月30日に現地の軍司令官当局間の会合が持たれ,事態の沈静化,対話継続に合意したが,兵力引き離しの合意はできなかった。

 その後も双方から相手方が実効支配線を越え挑発をしたとの非難が行われた。いくつかの戦略上の要衝でインド側が反撃に出たとの指摘もある。8月31日,中国側は,ラダックのパンゴン湖(荒地にある湖)の南岸でインド軍が実効支配線を越えたと非難した。同日,インド側も,中国側がラダックで「現状を変えようとする挑発的な動き」をしたと発表。9月インドの報道は,中国側が一方的に現状を変え,インド側が押し込まれており,現地軍司令官の会合で,インド側が4月以前の現状に回復すべきと要求したと報じた。

 中印の国防相(9月4日),外相(9月10日),外務省高官の会合,現地軍指揮官(7月14日,8月3日,9月21日,10月12日,11月6日)が行われた。国防相会談ではシン国防相は,一方的に現状変更する試みは既存の二国間合意に反すると述べ,魏鳳和国防相は,緊張の責任は全てインド側にある,中国領土は1インチも渡さないと述べた。

 (魏鳳和国防相は12月1日パキスタンを訪問し,軍高官と会談すると共にアリフ・アルヴィ大統領とも会談した。魏国防相は,両国軍関係を高いレベルに上げ,共通のリスクと挑戦に共同対処し,主権と安全保障上の利益を守るべきと発言した(中国国防省ウェブサイト)。)

 12月に入っても中印軍の対峙は解消されておらず,双方合わせて10万人もの兵士が配置されていると報じられている。

▼2017年の中印衝突

 2017年にも中印衝突があった。6月,中国とブータンの係争地ドクラム地方(インド国境からも近く,これら3国の国境が接する)で,人民解放軍(約100名)がブルドーザー,土の運搬機械などを利用して道路建設をしているのをブータンが見とがめ,インドも出兵して乱闘があり,73日間中印両軍が対峙した(中国側1万6千人,インド軍1万2千人)。インド側は,中国が現状変更を試みたと非難した。

 6月20日,ブータンは,中国の行動は“国境の係争地で一方的に現状変更をしない”との合意(1998年12月8日署名「中国・ブータン国境地域の平和と安寧を保持する協定」)に違反すると外交的申し入れ行った。

 6月26日の記者会見で中国外交部耿爽報道官は,この地域の境界は1890年の清と英国のシッキム・チベットに関する条約で決まっており,中国の領土主権を尊重すべきと主張した。(井出コメント:紛争が起きた地は明白な中国領土であって「係争地」ではないとの趣旨だろうか?この条約がそれほど明確に領土画定をしているものか検討が必要だろう。)

 8月に両軍は撤退に合意し撤収した。

 8月,東部国境のラダック地方(パンゴン湖岸)でも中印兵士の乱闘があり,石や棒で争ったと報じられた。

▼中印間での国境問題解決と「実効支配線」管理の努力

 中国は14カ国と陸上国境で隣国と接しているが,まだ国境を画定できていないのはインドとブータンの2カ国である。中印間で最初の流血事件は1959年に発生した。それ以来の様々な衝突があったが(注1),東部の係争地(アルナチャル・プラデシュ,約9万平方km,中国チベットと接する)はインドが,西部の係争地(アクサイ・チン,約3万3千平方km,インドはラダックの一部と主張)は中国が,その他中部の係争地は中印それぞれがおよそ半分ずつ支配している。

 中印間で国境画定を図るための基本的考え方をまとめた合意,そして国境画定ができるまでの間武力衝突を抑え「国境地域の平和と安寧」を守ることを約束した合意が1993年から2013年にかけて6本の協定として締結された(注2)。当時の両国指導者(中国は江沢民,胡錦濤,インドはラーオ,ヴァージペーイー,シン),外交・国防当局が様々な努力をしていたことがうかがわれる。

 しかしどこに実効支配線があるのかは,そこに杭が打ち込まれて境界線が画定している訳ではなく曖昧である。また「国境地域の平和と安寧」を破って事態を複雑化させる行為とは何かについても共通の理解は無い。

▼カシミール問題への中国の立場

 2020年9月29日,外交部汪文斌報道官は,「係争地にインドが軍事目的でインフラを建設することに中国は反対する。なぜならこれは中印間で最近結ばれた“中印双方は係争地で情勢悪化を招く行動をとらない”,“情勢緩和のためのこれまでの努力を無駄にしてはならない”という合意事項に反するからである」「インドが違法に設けたいわゆる“ラダック中央直轄地”を中国は認めない」と発言した。これは西部国境で紛争が起きた背景を説明しているので,カシミールをめぐる中国の立場を振り返ってみたい。

 カシミールをめぐってはインド,パキスタン,中国の間で領土紛争がある。2014年,中国パキスタン経済回廊構想が発表されたのを受けて,インドは,同回廊が通るギルギト・バルチスタン(カシミール州)がパキスタンにより「占領されている」ことでパキスタンと中国を非難した。

 2019年8月,インド政府は議会に法案を送り,憲法上自治権を有していたジャム・カシミール州を連邦直轄とし,二つに分割して「ラダク連邦直轄州」と「ジャム・カシミール連邦直轄領」をつくることとした。ラダクは,中国との西部国境の最前線にある(新疆ウイグル自治区とチベットの両方に接している)。

 インドは,ラダクの東半分が中国に占領されていると主張している(中国のアクサイ・チン)。このラダクが連邦直轄領となることで,中国側のインフラ建設に対抗して,インド側もインフラ開発や軍事力配備を加速化せんとしている。インドは過去10年にわたり実効支配線近くで道路,橋等のインフラ建設を進めてきており,これは中国側の同様の動きに対抗するものであった。

 これに対し2019年8月6日,中国外交部華春莹報道官は記者会見で、インドが一方的に国内法律を変更することで中国の領土主権に損害を与えると批判し,関連の中印協定を遵守し、事態を複雑化させる行動を避けるべきと発言した。

 2019年8月22日習近平主席は甘粛省の空軍基地を訪問し,人民解放軍が戦闘能力と即応性を改善し続けることを求めた。翌日許其亮空軍上将(軍事委員会副主席)はパキスタンに飛び,パキスタンのバジヴォイ将軍と,ジャム・カシミール州情勢を含む地域情勢,二国間協力の発展について協議した。

 以上のように2019年8月からラダクをめぐって双方の立場の対立が先鋭化していた。

▼今後の展望

 中印国境問題は,軍事・戦略的要衝の確保,資源(水資源),一帯一路,テロ対策(テロリストの通行の阻止)と民族問題(新疆ウイグル,チベット),少なからぬ関係国(パキスタン,ブータン,ネパール,バングラデシュ)の存在など,複雑な要素がある。中国にとってロシアとの国境交渉よりも妥結が困難との見方もある。

 中印双方が自己主張を強める中で,国境を画定できる見通しは遠のいており,緊張が続いていくだろう。

(注1)中印国境紛争の経緯

1959年3月 チベット動乱。チベット人を鎮圧しようとしてインド実効支配地に侵入した中国軍とインド軍が衝突。

1959年8月25日 中印国境で最初の流血事件。

1962年10月 中国はインドを攻撃し,中国が勝利。

1967年9月 中印国境(シッキムとチベットの国境)で衝突,双方少なくとも数十人(更に多い死亡者の見積もりもあり)が死亡。

1975年10月20日 アルナチャル・プラデシュで,パトロール中の4人のインド兵が中国兵に狙撃され死亡。(その後は死者を出すような衝突は2020年6月まで起きなかった。)

1976年 中印は外交関係を大使レベルに戻すことに合意。

1987年 インド,東部係争地にアルナチャル州を設立。中国政府は抗議し,アルナチャル州を認めないと声明。

1988年12月 ラジブ・ガンジー印首相の訪中。共同声明で平和共存5原則を確認。国境問題に関する合同作業部会の設置に合意。

1993年9月7日,ラオ印首相訪中時に「中印国境の実効支配線に沿った地域の平和と安寧を保持する協定」に署名(詳細注2(1))。

1996年11月29日,江沢民主席訪印時に「中印国境の実効支配線に沿った地域の軍事分野での信頼醸成に関する協定」に署名(詳細注2(2))

1998年12月8日 中国とブータン,「中国・ブータン国境地域の平和と安寧を保持する協定」に署名。

2003年6月23日,ヴァージペーイー首相訪中時に「中印関係の原則及び全面的協力に関する宣言」に署名。全般的な関係強化を謳うが,国境問題関連として次の記述あり。公正,合理的,相互に受け入れ可能な解決を探求する。最終的解決がなされる迄は,国境地域の平和と安寧を維持するための協力を行う。実効支配線の明確化を含め諸合意の実施を確認。国境問題解決の枠組を検討するためそれぞれが特別代表を任命する(→中国が外交担当国務委員,インドが安全保障問題顧問)。

2005年4月11日 温家宝総理訪印時に「中印国境問題の解決の政治的パラメーターと指導原則に関する原則協定」(詳細注2(3)),「中印国境の実効支配線に沿った地域の軍事分野の信頼醸成措置の実施モダリティに関する議定書」(詳細注2(4))に署名。

2012年1月17日,「中印国境線の協議と調整の実務メカニズム創設に関する合意」署名(詳細注2(5))。

2013年4月15日 インド側によればラダックの東部のデプサン高原で中国人兵士約50人が侵入した。これに対し中国外交部華春莹報道官は,中国側は実効支配線を越境していないと反論した。

2013年10月23日,シン首相訪中時に「防衛協力協定」に署名(詳細注2(6))。

2014年 ラダックのチュマル(パンゴン湖の南の村)で紛争。

2014年 中国パキスタン経済回廊構想発表。インドは反発。

2016年4月 第19回中印国境問題特別代表会談会合(楊潔篪国務委員・ドバル国家安全保障担当補佐官)。発表文によれば,“国境交渉は肯定的モメンタムを維持しており,国境紛争も効果的に統御されていると認識が一致した”とあり,この頃までは国境で大きな緊張はなかったようである。

2017年6月 中国とブータンの係争地ドクラム地方で73日間中印両軍が対峙した(~8月下旬まで)。

8月 ラダック地方(パンゴン湖岸)で中印兵士の乱闘)。

2019年2月9日 モディ首相,アルナチャル・プラデシュ州(東部係争地)を訪問,空港の開業イベント等に出席。

同日 中国外交部華春莹報道官は記者会見でアルナチャル・プラデシュをインド領と認めたことはなく、インド指導者の訪問に反対と発言。

8月 インド政府、ラダク中央直轄州創設の法案を議会に送る。

8月6日、中国外交部華春莹報道官はラダク直轄州創設に反対を表明。

2020年6月15日 中印の国境(西部のラダックのガルワン渓谷)で数百人の中印部隊が衝突し,双方で死傷者が出た。


(注2)中印間の国境問題解決と「実効支配線」管理のための二国間協定

 次の6本の合意文書が締結された。(中露間の国境関連諸協定と類似している面あり。)

(1)1993年9月7日署名(即日発効)「中印国境の実効支配線に沿った地域の平和と安寧を保持する協定」・・・国境問題は平和的・友好的協議により解決されるべき。武力または武力行使の威嚇はしない。実効支配線を尊重し守る。実効支配線に沿った軍事力の削減に合意。軍事力削減の具体的態様は協議により決定する。一定区域における軍事演習をしない。本協定は国境問題に関するそれぞれの立場を害さない。

(2)1996年11月29日署名(後日批准)「中印国境の実効支配線に沿った地域の軍事分野での信頼醸成に関する協定」・・・両国は公正で合理的で相互に受け入れ可能な国境問題解決を探求する。国境問題の最終解決がまだなされない間,双方は,実効支配線を厳格に尊重し守るとのコミットメントを確認する。実効支配線に沿った地域での軍備の制限(戦車,戦闘車両,銃器,地対地ミサイル,地対空ミサイル等)。大規模(師団1万5千人以上)軍事演習を制限。一定の軍事演習の事前通告。空域侵犯の禁止。発砲の禁止。現地国境警備責任者の会合・連絡。災害時の協力。国境問題に関する合同実務会合の役割。

(3)2005年4月11日署名(即日発効)「中印国境問題の解決の政治的パラメーターと指導原則に関する原則協定」・・・国境問題での立場の違いは二国間関係全体の発展に影響を与えてはならない。国境問題は平和的・友好的協議で解決する。武力行使の脅しをしない。公正,合理的,相互に受け入れ可能な解決を目指す。国境問題に関する自らの立場を修正することで,国境問題全体を最終的に全セクターを包含するパッケージで解決する。他方の戦略的,合理的利益を考慮する。歴史的証拠,国民感情,現実上の困難,合理的な懸念,敏感さ,国境地域の実情を考慮する。国境は明確で容易に識別可能な自然地理的特徴に沿うべき。現地住民の利益を守る。国境問題の最終決着までは,実効支配線を守る。国境問題特別代表はその協議を継続し,国境問題決着の枠組に合意することを目指す。

(4)2005年4月11日署名(即日発効):「中印国境の実効支配線に沿った地域の軍事分野の信頼醸成措置の実施モダリティに関する議定書」・・・1996年協定(2)の詳細を規定。

(5)2012年1月17日署名(即日発効):「中印国境線の協議と調整の実務メカニズム創設に関する合意」・・・中印国境問題に関する協議と調整の実務メカニズムを創設することに合意。外務省局長クラスが団長,外務省と軍から参加。軍当局・現地駐在所間の連絡と協力増進の方策,国境地帯の協力を検討する。他方,国境問題そのものの解決は扱わない。年1回か2回開催。緊急会合も双方が合意すれば開催できる。

(6)2013年10月23日署名(即日発効):「国境防衛協力協定」・・・実効支配線地域での軍事演習,航空機,地雷等の情報交換。武器・野生生物等の密輸への共同対処。災害協力。各種会合(軍当局間,国境協議協力メカニズム)を通じての協力の実施。軍本部間のホットライン設置を検討。国境防衛軍当局間の社交・文化的交流。共同訓練。実効支配線について共通の理解が無い地域において,他方のパトロールを追跡しない,他方にクラリファイを求めることができる,国境防衛軍が面と向かい合う場合には挑発を避けて武力を行使せず火力を使わず最大限抑制的に対応する。




(参考文献)

伊藤融「コロナ禍の印中国境対立―インドの視点」『東亜』2020年11月
長尾賢「米アフガニスタン撤退と中国と国境を接するカシミールでの緊張―米印関係への影響―」笹川平和財団国際情報ネットワーク分析IINA,2019年8月22日
Sameer Lalwani, Yun Sun, Liv Dowling, “How Long Can China and India Avoid War in the Himalayas?”, Foreign Policy, August 2, 2017
Tayler, M.Fravel, “China’s Sovereignty Obsession – Beijing’s Need to Protect Strength Explains the Border Clash With India” Foreign Affairs, June 26, 2020
曹健中,曾笠「略论中印边界管控协定体系及局限及我国应对策略」『改革与开放』(「中印国境の管理・コントロールの協定の体系と限界ならびに我が国の対応策略の概論」『改革と開放』)2018年07期
Замараева, Н.А. “Китай и кашмирский вопрос”, Проблема Дальнего Востока,(ザマラエヴァ,「中国とカシミール問題」『極東の諸問題』)2020. No2



■井出敬二(元外交官)

1957年生まれ。1980年東大経済学部卒、外務省入省。米国国防省語学学校、ハーバード大学ロシア研究センター、モスクワ大学文学部でロシア語、ロシア政治を学ぶ。ロシア国立外交アカデミー修士(国際関係論)。外務本省、モスクワ、北京の日本大使館、OECD代表部勤務。駐クロアチア大使、国際テロ協力・組織犯罪協力担当大使、北極担当大使、国際貿易・経済担当大使(日本政府代表)を歴任。2020年外務省退職。著書に『中国のマスコミとの付き合い方―現役外交官第一線からの報告』(日本僑報社)、『パブリック・ディプロマシー―「世論の時代」の外交戦略』(PHP研究所、共著)、『<中露国境>交渉史~国境紛争はいかに決着したのか?』(作品社)、”Emerging Legal Orders in the Arctic - The Role of Non-Arctic Actors”(Routledge、共著)など。編訳書に『極東に生きたテュルク・タタール人―発見された満州のタタール語新聞』(2021年出版予定)。
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1957年生まれ。1980年東大経済学部卒、外務省入省。米国国防省語学学校、ハーバード大学ロシア研究センター、モスクワ大学文学部でロシア語、ロシア政治を学ぶ。ロシア国立外交アカデミー修士(国際関係論)。外務本省、モスクワ、北京の日本大使館、OECD代表部勤務。駐クロアチア大使、国際テロ協力・組織犯罪協力担当大使、北極担当大使、国際貿易・経済担当大使(日本政府代表)を歴任。2020年外務省退職。著書に『中国のマスコミとの付き合い方―現役外交官第一線からの報告』(日本僑報社)、『パブリック・ディプロマシー―「世論の時代」の外交戦略』(PHP研究所、共著)、『<中露国境>交渉史~国境紛争はいかに決着したのか?』(作品)、”Emerging Legal Orders inthe Arctic - The Role of Non-Arctic Actors”(Routledge、共著)など。編訳に『極東に生きたテュルク・タタール人―発見された満州のタタール語新聞』(出版に向け準備中)
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