• tw
  • mail

カテゴリー

 ニュースカテゴリー

  • TOP
  • 独自記事
  • コロナ
  • 統一教会
  • 政治
  • ワールド
  • マーケット
  • ビジネス
  • IT/メディア
  • ソサエティ
  • 気象/科学
  • スポーツ/芸術
  • ニュース一覧

共産党規約修正で習への権力集中加速か

あとで読む

【中国深層リポート(17)】20回党大会後の外遊宣伝など、着々と足場固める

公開日: 2022/09/14 (ワールド)

Reuters Reuters

林 愛華 (国際ジャーナリスト)

 9月9日、中国共産党中央政治局会議が開かれた。10月16日に開かれる中共第二十回代表大会報告案、「中国共産党章程(規約)」(以下「党の規約」と略称)の修正案と第十九回中央紀律検査委員会工作報告案のほか、二つの現状報告を審議したと新華社が報道した。

 10月の共産党大会で「党の規約」が修正されると政府が公表したのだ。習近平の三選と密接な関係があるので注目したい。

 「党の規約修正案」に関して、新華社は次のように報道した。

 「党の規約草案」は一部の中国共産党員に意見を求め、それらを集約した報告書を政治局委員向けに発表したものだ。

 「党の理論と実践及び創新発展にふさわしく、新時代の党の建設と偉大なプロジェクトを推進するために必要な中国共産党章程(規約)草案を作り出す」と中共中央政治局が決定した。

 また今回の党大会報告が確立する重大理論と重大戦略思想を「党の規約」に記入し、マルクス主義中国化の最新成果も規約に明示し、党の第十九回大会(習氏の二期目)以来の国を治めるための新理念、新思想、新戦略を体現するのが狙いだ。

 文面から見ると、習近平の権力はさらに強化されると思わざるをえない。総書記の”終身制”に利するように党の規約が修正される可能性もある。

 香港の「星島日報」は「修正に当たり、二つの確立が党の規約に記入される」とスクープした。「二つの確立」とは下記のことを指す。

 一つは習近平を党中央の核心・全党の「核心」としての地位を確立すること。二つ目は三選後の習近平の中国社会主義思想の指導的地位を確立すること。
 
 もし「二つの確立」が党の規約に盛り込まれると、習近平は単に三選されるだけではなく、毛沢東のように中国に君臨することになる。「党の規約を修正する目的は習近平の絶対的な権威を確立するためだ」と中国政治専門家が教えてくれた。

 今後の中国はますます北朝鮮化していくと中国の未来を悲観する見方だ。ただし、政治局の会議公告に「党中央の集中統一指導」も書き加えられたので、習近平の独裁体制にならぬよう、バランスが取られた形だ。

 中国共産党創建から2011年までの90年間、党の規約は17回修正された。1982年から2012年までの30年間では、修正はわずか6回だった。

 しかし、習近平がトップに就任した2013年からの約10年間で、権力集中のために党の規約などが恣意的に修正させられてきた。2017年の十九回党大会では、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」が党の規約に記入された。

 2018年には憲法を改正、国家主席の任期制を廃止させた。10月16日から開催予定の党大会でもまた、党の規約を修正する。権力への執着は並みではない。

 今度の中国政治局会議公告では「改革開放の堅持」ではなく、その経験を総括するだけだった。代わりに「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想」が強調された。習近平新時代の中国特色ある社会主義思想は全部で「八の明確」と「14の堅持」が多々あるが、ここで全部を言い切れない。あえて簡単に要約すると、習近平を党の核心することと中国共産党の指導地位を動揺してはならない、社会主義の道を断固と堅持することである。

 また、「習近平を核心とする党中央の指導の下、全国各民族の人民を率いて、再接再厉(引き続きますます励む)して、(中略)中国特色社会主義新局面を拓き続けよう」と書かれている。「習近平を核心とする」と「再接再厉」を繋げれば、中国政府は意図的に習氏三選のサインを出していると読み取れる。

 いわゆる「北戴河会議」のあと、中国政府は国内外に「習近平三選」の情報を意図的に流し続けた。

 今月14日に習氏がカザフスタンを公式訪問するとロシアの通信社が先に報道させ、中国側も追って公表した。また11月のG20でバイデン氏と会うとの情報も「ウォールストリートジャーナル」を初め、多くの海外通信社が取り上げた。外遊は権力基盤が安定してこそできることで、11月にG20に参加できるということは、習氏が権力の座にいられることを意味する。

 党大会を控え、もう一つ異例なできごとがあった。9月8日に、北部戦区司令・王強が上将(中国人民解放軍の最高位の階級)に昇進する祝賀の儀式が行われた。習近平がみずから式に出席し、令状を与えた。

 これまで無名だった王強は2016年に西部戦区副参謀長兼戦区空軍参謀長に就任、2018年に西部戦区副司令員となり、2020年に西部戦区空軍司令員を兼任した。そして今年9月8日に突然上将に抜擢された。二年ごとに昇進する異例の速さだ。

 普通ならば、中国軍区の一番トップの司令を二年以上勤めて、上将に昇進の資格が得られると言い伝えられたが、王強が2020年に西部戦区に属する空軍の司令になったばかりで、資格がないはずだ。また、毎年の年始、あるいは8月1日の中国人民解放軍設立記念日の前後で、上将になった人を祝う儀式が行われてきたが、9月に行うのはまれにないうえに、王強一人だけのために習氏が自ら授与式に出席し、祝ってあげるのは怪しい。

 理由を公表していないが、軍隊において習氏が信頼できる知名度の高い現任上将人材の乏しさの表れではないだろうか?

 党大会前の駆け込みで上将を任命し、彼一人を祝うための儀式を行う。この異例な行動は、「習近平が軍隊を完全に掌握しきれていない可能性を意味する」と分析する向きもある。

 もちろん、違う見方もある。着任してからの約10年間、習近平は計68人を上将に昇進させた。王強は68人目だ。「これで中国人民解放軍の高級将校は全員、習派になった」と見る中国ウオッチャーもいる。

 中国共産党第二十回大会まであと一か月あまり、注意深く見て行かなければならない。  

続報リクエストマイリストに追加

以下の記事がお勧めです

  • 【中国深層リポート】習氏の三選は堅いが、「北戴河会議」での習・李の妥協が透ける

  • 【中国深層リポート】習近平一族との密な関係が仇 有罪判決の肖建華

  • 林 愛華のバックナンバー

  • 一般学生より質高い論文作成力のChatGTP AI革命の神髄現る

  • 中国がNATOの東アジア進出に強い警戒感

  • 23年成長率はわずかだが上方修正、IMFの世界経済見通し

  • 北朝鮮 ロシア・ウクライナ戦争を利用、東アジアの“NATO化”に懸念

Tweet
LINEで送る

メニュー

    文字サイズ:

  • 小
  • 中
  • 大
ソクラとは 編集長プロフィール 利用案内 著作権について FAQ 利用規約 プライバシーポリシー 特定商取引法に基づく表示 メーキングソクラ お問い合わせ お知らせ一覧 コラムニストプロフィール

    文字サイズ:

  • 小
  • 中
  • 大
  • 一覧表示を切替
  • ソクラとは
  • 編集長プロフィール
  • 利用案内
  • 著作権について
  • メーキングソクラ
  • お知らせ一覧
  • FAQ
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー
  • 特定商取引法に基づく表示
  • お問い合わせ
  • コラムニストプロフィール

Copyright © News Socra, Ltd. All rights reserved