フランス大統領の中国訪問は国際社会に衝撃を与えた。これまで中国と一線を画してアメリカに同調していたマクロン大統領が習近平の豪華接待で態度を一変して、アメリカとの関係を見直すような発言が目立った。
追いかけるようにブラジルのルラ大統領が中国を訪問してアメリカを非難した。日本の林外務大臣も訪中し、習近平外交に表面的とはいえ花を添えた。習近平の新しい世界秩序論もマスコミに頻繁に登場し、一部の国が中国へなびくように感じさせた。
元自民党幹事長の二階俊博氏も日中友好議員連盟会長に颯爽と就任し、「中国を相手にしないで日本が飯をくえるのか」といった発言も報道されるほど。このような発言はまさに中国の思う壺ではないだろうか。
実際、両国間の関係は相互によって成り立つものであり、中国も日本を必要であることを忘れてはならない。また日本の企業は中国を頼らなくても生きていけることはすでに証明済みだ。
レアメタルなどの希少金属の輸入は中国離れしており、日本に対して中国が政治的な目的で禁輸措置をとることはできない。日本は中国を相手にしなくても飯が食えるだけではなく、発想を変えて、広い世界に目を向ければ、もっと美味しいご飯を食べれる可能性が大いにある。
ここで考えていただきたい。中国は本当に二階さんが考えたように豊かな国であるか?中国に対して弱音を吐く前に、まず中国の真実を知るベキだ。
周知の通り、習近平の外交の柱は金のばら撒き。マクロン大統領やブラジルのルラ大統領に中国寄りの発言をさせたのも経済面の打算に過ぎなかった。しかし、習近平が中国のトップに立ってから、一帯一路や三年間にも及ぶ新型コロナの感染拡大を封じるために莫大な金を支出したが、経済もロックダウンによって停滞に追い込まれた。
何より彼は個人企業より国営企業を重視して、強引に市場経済から計画経済へと国の経済を転換させた結果、経済は活力を失った。その上、3年間にもおよぶコロナ感染が経済に大きなダメージを与えた。
今の中国経済は見せかけの繁栄で、本当は失速に直面している。特に地方財政の危機は深刻だ。
4月12日、中国貴州省人民政府発展研究センターが異例の悲鳴を発した。このセンターが調査した結果、省内各地の市の債務が厳しく、地方政府が自分の力だけで返すのは無理だと明言した。
つまり、省内にある多くの地方政府が自分の成績をよくするために大きな負債をしたが、余りに額が巨大で返済不能になった。だから省の研究センターが警報を鳴らして、企業に注意を喚起した。
貴州省が公に中国の中央政府に「助けて」の信号を発したと「澎湃新聞網」が報道した。その報道によると貴州省の債務額は2022年に12470.11億元に達したと貴州省の財務庁が公表している。この額は都市投資債など隠れ借金が含まれていなかった。
2022年の貴州省のGDPは20164.6億元で債務はその61%を超えた。同年、青海省の債務はGDP総額の84.3%を占めている。一番低い上海市でも19.1%だと中国のポータルサイト「網易」が報道した。
債務問題は貴州省だけの問題ではなかった。習近平政権が突然ゼロコロナ対策を放棄した原因の一つは無償のPCR検査やロックダウンなどで地方財政を圧迫したためであった。地方から国まで財政が悪化している。
原因不明であるが、中国貴州省人民政府発展研究センターの調査全文はサイト上から削除された。財政難の声をかき消したところで、金がないという地方財政の現実は消せないであろう。
4月18日、中国国家統計局が中国第1・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比4.5%増加したと公表。しかし、このデータに関して懐疑的な声が多かった。理由は税収にある。中国財政部の公表によると、今年1月から3月までに、全国の税収は去年同期より1.4%も減った。2022年、中国全国の税収が3.5%減り、特に不動産関係の税収は20.6%も減少した。
周知の通り、不動産業は中国経済の発展の主力で、税収が大きく減ったということは不景気としか言えない。こんな状況では実質GDP成長率が4.5%もあるというのは疑わしい。
国内経済だけではなく、中国の外貨貯蓄も楽観視できない。4月17日、「Rhodium Group」により中国の一帯一路に関する統計が「フィナンシャルタイムズ」に報道された。報道によると、2020年から2023年の3月までに中国が関係諸国のインフラを整備するために巨額の借款を提供した。
うち785億ドルは回収が難しい。過去の同期と比べると、回収不能の金額はおよそ4倍を超えた。2017年から2019年の間に、中国の回収不能の債務額は170億ドルであった。
すでに中国国内で外貨の管理が厳しくなって、予約しないと個人の外貨の交換もできなくなっている。もちろん額も制限されている。
市場に対する過剰な関与やコロナの影響で失業も大きな問題となっている。経済が一番栄えている広東省ですら2025年までに30万人の青年が農村へ行って、農業に従事するプロジェクトを公表した。
文化大革命時期の「上山下郷運動」とは異なると中国政府は言っているが、過剰労働力を緩和するためのやむを得ない策であることは間違いがない。4月17日、中国初の「農業総合行政执法隊(農業に法律を総合的に執行する隊)」が設立された。
都市へ出稼ぎをしていた農民たちはコロナなどで仕事ができなくなったので、再び農村が過剰人口になった。だから「执法隊」も彼らを慰めるために設立されたと揶揄されている。農村人口も過剰で、中国政府が暴動などを恐れて、「执法隊」に監視の役割を与えたともいう。
習近平の3期目政権は彼が思ったほどには順調に進んでいない。内外に問題が山積し、金もなくなりつつある。誰よりも外国の資金や企業に来てほしがっている。
もし、中国が外国にとって一方的に頼れる存在であるなら、習近平は来る客を選んで、もっと威張るはずだ。現に中国は来る客を拒まなくなっている。一見、中国になびく国がでてきているようで、実は金欠で中国の方がなびいているのであろう。