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習体制で腐敗撲滅運動、仲間が自殺者の家族の面倒みることも

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【基礎研究・中国共産党②】高級レストランががらがら、商品券売れず

公開日: 2020/07/12 (ワールド)

Reuters Reuters

ニュースソクラ編集部

 「習近平体制になってから、商品券の売り上げが落ちた」

そう語るのは、四川省・成都のイトーヨーカドー関係者だ。中国において日本のスーパー・コンビニエンスストアは高級路線を走る。高級ショップの商品券は贈り物に最適だったが、習近平体制後は「賄賂」として厳格に処罰されるようになった。

 2012年に習近平が国家主席に就任してから、腐敗撲滅キャンペーンが本格的に始動した。
 
 2012年11月に閉会した第17期中央紀律検査委員会第7回会議上で、「反腐敗」という話が話題とされ、注目を集めた。胡錦濤氏が共産党総書記を退任し、習近平氏が新たに総書記に選任された直後。習氏はが大規模な腐敗撲滅キャンペーンを提唱。同じ太子党(共産党幹部の息子や娘)の王岐山を中央規律検査委員会の主任に据えた。「“老虎”要露头就打,“苍蝇”乱飞也要拍(トラもハエも叩く)」というスローガンを掲げ、大規模な腐敗撲滅キャンペーンを実施した。

 具体的には、「腐敗政治は党を弱くする」「中国の特色ある社会主義への重要な疾患」(2019年1月31日に出された中華人民共和国中央人民政府意見より)などと汚職を激しく批判し、クリーンな政治を実現させるために、疑わしきを罰するというものだ。

 では、どんなことが腐敗にあたるのか。中央紀検監察報によれば、「中央八項目規定の精神に違反した者」とある。これは何を指すか。一つに、「職務中に責任を果たさなかったり、見せかけで仕事をしていたりする者のために、結果に重大な影響を及ぼした場合」「高価な品物や金を送ったり受け取ったりする者」「飲食規定に違反する者」などである。

 2020年4月の1ヵ月だけで、9032件の摘発があり、7186人が政務処分され、12816人が処理されている。政務処分は公職者(なおかつ党員)に下される政治処分で、処理は非党員への「お叱り」程度の処分を指す。

 かつて中国で盛んに行われていた夜の会食にも変化が生じているようだ。

 接待による宴会はかなり質素で静かなものとなり、接待でよく使用されていた高級飲食店からは客足が遠のいた。

 この腐敗撲滅キャンペーンで、変わった現象も起きている。

 汚職をしているとの嫌疑をかけられたある天津市政府関係者は、捕まるのを恐れて自殺したのだが、未亡人とその子供は生活に困らないというのだ。一体、どういうことなのか。

 ある天津の大学関係者は言う。「汚職にはいろいろな関係者がいますが、その人が自殺して『くれた』おかげで、自分の罪が明らかにならなくて済むと考える人が多い。だから、残された家族の面倒は、感謝の意をもって自分がなんとかする、という人が多いようなのです」。

 汚職の嫌疑をかけられ自殺した人は、中国メディアには流れない。だからどれほどの人が自身の罪が明るみになるのを恐れ自殺したかは分からない。だが多くの人が習氏の撲滅キャンペーンを恐れていることはわかる。

 このキャンペーンでは、いわゆる「大物政治家」も容赦なく処罰されていった。

 2012年3月、胡錦濤体制の終盤、中央政治局員・重慶市トップ(当時)の薄熙来氏が解任された。彼は私企業との癒着によって党の重職を解かれたが、江沢民派であったことでも知られている。習近平という新たな体制になろうとしている時、他派閥で野心家だった彼の存在は疎ましかったろう。

 2013年秋には、中国共産党政治局前常務委員の周永康氏と子分たちが摘発された。「最高指導部である政治局常務委員の経験者は汚職で摘発されない」という不文律を破ったのである。周氏は党籍をはく奪され、無期懲役に処された。

 2014年3月には、人民解放軍制服組ナンバー2である徐才厚氏と、郭伯雄氏の身辺に取り調べが入った。同年6月、徐氏は党籍をはく奪された。

 実は、周氏と郭氏は江沢民氏に重用された、江沢民氏に「近い」人物だった。周氏は薄熙来解任を、当時の中央常務委員の中で唯一反対した人物でもある。また、胡錦濤前国家主席の側近だった令計画氏も汚職で摘発されている。他にも「ポスト温家宝」と言われていた孫政才氏は、政治局委員の現職として初めて調査され、当時の重慶市トップという職から解かれている。孫氏は2018年に収賄罪で無期懲役となり、政治権利をはく奪され、財産もすべて没収された。

 「クリーンな政治」を謳っているが、この腐敗撲滅キャンペーンは派閥争いの側面もありそうだ。

 2018年には、国家監察体系として国家監察委員会も設立された。これは2017年の全人代で、王岐山が呼びかけ成立された国家監察法に基づいている。王岐山は高齢のために2017年に国家紀律検査委員会のトップを退任し、副主席の職のみとなった。委員会の後任は趙楽際氏(2017年~)、国家監察委員会は楊暁渡氏(2019年~)である。

 では、「腐敗撲滅機関」のトップが変われば、摘発件数にも違いがあるのだろうか。

 王岐山がトップだった2016年上半期では、2人の省級幹部、231人の地方幹部が捜査をうけ、4人の省級幹部、305人の地方幹部が処理(お叱り)されている。

 合計、15055件の問題が発生し、20951人が処理されていた。政務処分された人の数に至っては15725人である。(2016年6月21日の中央紀委国家監委公式ページより)

 王岐山後任の趙楽際氏がトップになった2018年上半期では、中央幹部6人、地方幹部165人が捜査を受け、中央幹部9人、地方幹部136人が政務処分を受けている。合計、全国で48779の問題が発生し、70501人が処理を受けていた。(2018年7月4日の中央紀委国家監委公式ページより)

2014年以降の「大物政治家」摘発数の推移


 前述のように、王岐山氏退任以降の方が全体の摘発数(通報数も相まって)は増えている。だが、左のグラフのように、「大虎(大物汚職政治家)」の摘発数は、腐敗撲滅キャンペーンを始めた頃の方が多い。

 この摘発数は、王岐山氏から趙楽際氏に代わっても、「反腐敗を緩めない」姿勢を表すための数になっているのだろう。また、趙楽際氏は陕西帮(習派)。習近平肝いり政策を腹心が担わされている。
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